今更このお話をしても世間は十分騒いでいるからスルーするかな、と思ったのですけど・・・。
当サイトでもAIについてはたまに記事を書いているし、やっぱり触れておくかなと思い直しました。
そう、阿部慎之助の件です。
そう聞いて「何の件?」と思ったかたは、検索でもAIでも調べてください。
最初に言っておくと、同世代(筆者の2歳下)の阿部元監督を擁護するわけでもないし、長女さんの味方をするわけでもないし、児相や警察の対応を批判するわけでもありません。
報道ベースで伝え聞いた事件を淡々と振り返ってみると見えてくるものがあります。
阿部が昭和気質だとか、長女さんがAIなんかに聞くからだとか、もうちょっと穏便にできなかったのかとか、そういう感情論も一切排除しましょう。そう、AIのように。
内容はこうです。
- まず阿部家で長女と次女による姉妹喧嘩が始まった。
- 父親がそこに割って入った。
- 長女が父親に反抗した。
- 父親が反抗的な長女の態度に怒って手を上げた。
- 長女は父親から暴力を受けて相談相手にChatGPTを選んだ。
- ChatGPTは数ある解決方法の中から「児相に連絡しなさい」と教えた。
- 長女は言われた通り児相に連絡した。
- 長女が18歳以上だったが見過ごせないと思い児相が警察に相談した。
- 警察は子供に手を上げた父親が同じ家の中にいたので現行犯逮捕で父と娘を引き離した。
誰も間違った行動をしていないですよね。
「兄弟や姉妹が家の中で喧嘩をする」なんてどの家庭にもある話です。
「喧嘩の仲裁に父親が割って入る」
「長女はお父さんに怒られたー、と誰かに相談する」
「児相は18歳以上は対応しないけど緊急の要素を感じて警察に連絡する」
「えっ、巨人の監督の阿部だったの?と警察は思ったかもしれないけど緊急だからとりあえず一旦現行犯逮捕で娘と引き離す」
誰も間違っていないのにここまで大事になる・・。
大衆が大騒ぎする。
その理由は以下だからでしょう。
- 児相からの緊急連絡で動いた先の家が読売巨人軍監督の家だった
- 阿部が娘に暴力を振るった
- 長女がChatGPTに相談した
それでは順番に見ていきましょう。
巨人の監督は格好のネタ
現プロ野球チームの監督の家で起きた親子喧嘩です。そりゃあメディアにとっては格好のネタでしょう。
しかも「現行犯逮捕」という言葉で警察に連行される様子を報道しまくり、まるで極悪人の首を取ったように吊るし上げる。
「現行犯逮捕」というのは、裁判官の令状がなくても緊急時において罪を犯した犯罪者を被害者から引き離せる効力があるものです。
例えばひったくりなどの犯罪者を通りかかった人が捕まえて抑えておく、というのもよく聞きますよね。
こういったのも「現行犯逮捕」です。警察官でなくても一般人でも逮捕できます。
そして自分が監禁罪に問われる前に、警察を呼んで速やかに犯人を引き渡しましょう。
そう、こういった場合にも「現行犯逮捕」と言う言葉は使われるので、加害者の方は犯罪者というイメージが強くなります。
ただし加害者と被害者の間にあるトラブルをこれ以上回避するための緊急対応でもあります。
今回は家庭内でトラブルとなった父と娘を引き離したのです。
父親が加害者と言う立場ですから父親を「現行犯逮捕」です。
親子喧嘩の仲裁が発展して、警察が「現行犯逮捕」を使って一旦落ち着かせたわけです。
もう一度断っておくと、筆者は巨人ファンでも阿部ファンでもありません。
ただこの案件で阿部に犯罪者というレッテルを貼るのであれば、世の中は犯罪者だらけになってしまうでしょうね。
暴力
次に世間が騒ぐ理由は、娘への暴力です。
プロ野球の監督たるものが「自分の子供に暴力を振るうなんて」というわけです。
確かに近年は児童虐待のニュースが多いですよね。
「事前に相談していたのに、未然に防げなかったのか」と憤る人も多いでしょう。
児相が動くのは18歳未満の子供が対象です。
しかしそういった背景もあるので、今回は18歳以上からの相談でも緊急を要すると判断した。
だから児相の対応は間違っていないのです。
「特に怪我をしていなかった」と長女さんは自分自身でもそう話しているのに、「暴力とは何事」のような風潮を世間に広めようとするかのようなメディアの煽り対応には辟易しますけどね。
ChatGPT
今回長女さんは、お父さんに怒られて手を上げられた結果、お母さんや友達、学校の先生などではなくChatGPTを相談相手に指名しました。
もし娘さんがお父さんに引っぱたかれたら、うわ~んと泣きながら「お母さん!」とお母さんに駆け寄る子が、皆さんが想像する親子喧嘩の姿ではないでしょうか。
それにも関わらず、長女さんはChatGPTを相談相手に選びました。
これも間違っていないのですよ。だって、今はAIに聞けば何でも教えてくれるわけですから。
怒られた直後に、もしかしたら自分の部屋に駆け込んだのか、外に飛び出したのかそれは分かりません。
常に肌身離さず持ち歩くスマホを開けば、AIのアプリが入っていて、いつでも相談に乗ってくれる。
昔はAIがなかった。今はAIがある。それだけです。
散々誰も間違っていないと言っておきながら、唯一間違いがあるとしたら、それは長女さんが「AIに感情を委ねた」点でしょう。
AIは、自由な意志を持っていません。
それと同時に、将来の想定もできません。
人間っぽく言えば将来の夢を持てません。
感情がないのですから。
だから、もし長女さんの相談した相手が人間だったら「あんたのパパ、慎之助でしょ。大事になったらヤバいって。あんたケガしてないんでしょ。自分から謝った方がいいよ。」って言えるんです。
想定の範囲を超えた感情でも動けるし、ルールを一旦脇にも置けるからです。
でも今回の相談相手はAIです。
「うわっ、あんたのパパ、あの阿部監督なん?巨人の?いやぁ~まだシーズン中やで。ここでおいらが児相に相談せえ、なんて言って警察沙汰にでもなったら後々えらいことになるわ~。」とは思わないわけですね。
親から暴力を受けた際の対応について、最善策の中からよく検索されるデータ等を計算ではじき出しているだけです。
その答え方が、質問者に寄り添っているように感じるだけです。
だから、長女さんが親からの暴力と捉えて誰かに相談して、誰かから答えをもらったのは間違いではないのです。
「もしAIだったら感情的に相談しないで、参考程度にする」という条件付きではありますけどね。
今は文明の進化の途中
これまでの常識や想定内では収まらない出来事がこれからもたくさん起きるでしょう。新しい文明の進化の途中ですから。
ちなみに昨年亡くなった長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督は、その昔、息子の一茂がまだ小さかった頃に、一茂を球場に置き忘れたまま帰宅してしまった、というエピソードがあります。
これ、今では笑い話で語られますけど、普通にヤバい案件です。
監視カメラなどもなく携帯電話すらない時代に、長嶋監督の息子だとばれたら、誘拐されたり不慮の事故が起きたりしてもおかしくなかったと思うのです。
でも「ミスターらしいね」で終わってしまう。
だから今回も「あの阿部慎之助らしいじゃん。昭和気質なんだからそれでいいんじゃねえか?」で終わっても良かったのです。
だって誰も間違っていないし、だれもケガすらしていないわけですから。

