先日、日本のAIベンチャーでエヌビディアも出資して話題となった「Sakana AI」について書きましたが、今回は「Sakana AI」以外にも注目されているベンチャー企業が開発したAIツールについて見ていきたいと思います。
こちらもCHECK
「Sakana AI」—日本発の革新的AIスタートアップの挑戦
AI(人工知能)技術が急速に進化する中、日本のAIスタートアップ「Sakana AI」はその卓越した技術力と独自のアプローチで、創業からわずか1年足らずで企業価値300億円(約11億ドル)に達しました ...
続きを見る
Kinkaku(akuma.ai)
まず最初は 画像生成 AIの「Kinkaku」です。
金閣の特徴は、画像生成 AI では特に難しいと言われるキャラクターの一貫性を保ちながら出力できる点です。
例えば、自分のサイトやYouTubeで固定のキャラクターを置きたいとします。
様々な表情や動作を見せるためにAIを使った画像生成では、同じキャラクターを作りづらかったりします。
Midjourneyの「キャラクターリファレンス」が話題になったのも、このキャラクターの一貫性を表現できたからでしたね。
「Kinkaku」が運営している「Akuma.ai」では数十個ほどのモデルを用意している上に、ユーザーが画像生成モデルのファイルをアップロードすればキャラクターの一貫性を保ちながら色々なビジュアルを出力できるようになっています。
主な特徴は以下のようになります。
- ブラウザベースで利用可能
- 日本語のプロンプトに対応
- テキストプロンプト意外にリアルタイム生成が可能
- 商用利用可能
リアルタイム生成は、その場の思いつきでざっくり描いた絵からAIが判断して画像を生成してくれるものです。
法人化したのが2023年5月で、若いメンバー数人で会社を盛り上げているようですね。
ayumo
歩行困難の原因をAIで発見してくれる「疾患診断支援システム」を開発したのが、「株式会社ayumo」です。
「いつまでも自分の足で歩く」をテーマに、独自の技術で疾患の早期発見や運動機能の改善に取り組んでいます。
歩行困難の原因は、医師などの専門家であっても見極めるのが難しい場合が多く、「疾患診断支援システム」で疾患の原因を早期に発見します。
大学や医療機関との共同研究から新たな患者さんの症状をモデル化し、様々な疾患の開発にも取り組んでいるようです。
2023年8月に設立したベンチャー企業ですが、GSAPに採択されたように国内はもちろん海外からの評価も高く、アメリカやヨーロッパなどで研究や治療薬の開発が進む「医療とAIの組み合わせ」に日本のベンチャーが追随できるかどうかが期待されるところです。
アシオット
自動検針サービスの「A Smart」を開発しているのが、「アシオット株式会社」になります。
電気や水道などのアナログ機器メーターに、後付けで数値読み取り用のアタッチメントカメラを設置し、エッジAI技術でデータがクラウドに送信され、点検業務の自動化を助けます。
エッジAIとは
クラウド上のAIで処理する「クラウドAI」と違い、ネットワークの端末側に直接搭載されるAIシステムを指す。
例えば、今回のカメラのようにカメラ側にAIを搭載して処理すると、必要な端末のみのデータを端末側でAIが処理してくれる。
リアルタイムでの解析・分析に向く。
カメラのエッジAIで計測されたデータは、「LPWA方式」でクラウドへ送信されるので、バッテリー消費や通信料など省電力でありながら、コストも安く済みます。
IoTの分野では非常に注目されている技術であり、その技術を「A Smart」は取り入れているというわけです。
Pleap(プリープ)
カルテの原稿を自動作成してくれるサービス「medimo」を運営しているのが、「株式会社Pleap」になります。
生成AIにより正確な医療用語での文字起こしが可能となって、医療看護の記録方法である「SOAP」による要約を行ってくれます。
その病院、その先生に応じたカルテの要約方式をmedimoの専任スタッフがオーダーメイドしてくれるので、煩雑な作業となるカルテの作成を慣れた方式で半自動化させられます。
診察時に、患者さんとの会話からカルテが自動作成されるので、患者さんの様子をじっくり確認しながら診察できるのも特徴です。
患者さんとの会話は録音されているので、カルテが自動で作成された後でも、足りない部分などを何度でも確認できます。
これまで電子カルテを使っていた場合にはクラウド型システムで対応し、紙で管理していた場合にはオンプレミス型システムも選択できるようです。
(まとめ)国産AIも活発化
AI市場は、アメリカ西海岸のベンチャー企業が主役でしたが、日本からも様々な分野でAIを活用したシステムが開発されています。
今後、どのようなサービスが展開されていくか非常に楽しみですね。
今回の記事は、週刊東洋経済2024年9月21日・9月28日合併号の記事を参照しています。