先日、ある人からこんな質問をされました。
「AIに聞くっていうのがよく分からない。調べる行為は同じなのに検索するのと何が違うのですか?」
このかたは、普段からAIをまったく使っていないそうで、「AIの返答がいつも正しいとは限らないから自分で確認し直すんですよね。」と聞いてきた後に、「だったら最初から自分で調べた方が早くないですか?」と言っていました。
さて、インターネットが世に出てからずっと「分からない時は検索」してきた人たちにとって、「AIに聞く利点」というのはどのように伝えたらいいでしょうか。
筆者は、もし上のように質問されたら「一方通行」か「双方向」かを説明するために、ある例を提示します。
それは、「数式の解答を調べる」検索です。
一つ例に出してみましょう。
よくある公式に「n(n+1)/2」というのがあります。
これ、何の公式だか分かりますか?
よくある計算の公式でしたね。
1からnまでの数字を全部足した時の合計を求める公式になります。
もちろん、「1から10まで」のような短い範囲であれば、手で計算しても問題ないでしょう。
しかし、「1から100」や「1から10000」など範囲の広い数字をすべて足すには、手計算では難しいですよね。
そのような時に、今回の公式を使って答えを出すわけですが、この公式を知らなかったと仮定して「ある範囲の数字をすべて足した時の答えはいくつであるか」を調べる時に、以下のように検索すると思うのです。
Google検索で「Search Labs」を有効にしています。
検索結果は、上のようになりました。
試験運用中の「Search Labs」がAIによって特定のサイトから要約しているので、答えがすぐに分かる場合もあります。
検索結果のページを下に行くと、このように表示されました。
もちろん、単純に答えだけを求めたければ、先ほどの「Search Labs」も含めて検索結果内に答えが出ている部分を探してもいいでしょう。
もし、どのようにその答えを求めたのか、もしくは公式のようなものがあるのかと疑問が湧けば、この結果の一覧からどれか「自分で」特定のサイトをクリックして閲覧する必要があります。
閲覧したサイトがあまり自分の求めていたものでなければ、また検索結果に戻り違うサイトを探します。
どうにも良いサイトが見つからない・・・となれば、改めて検索し直して、また一からサイトを探すという流れになると思います。
検索というのはすべて、ユーザーから目的のサイトまでの一方通行になります。
上の例で言えば、
- スタート
- ユーザーが検索「ある範囲の合計の答えを知りたい」→結果を調査→見つからない
- 再度ユーザーが検索「ある範囲の合計の答えを知りたい」→結果を調査→見つからない
- ユーザーが検索ワードを変更「数字から数字の特定の範囲の合計は?」→結果を調査→見つかった
- ゴール
では、同じ質問をAIに問い合わせるとどうなるでしょうか。
今回は、「ChatGPT」を使ってみました。
まず、AIは会話なので、提示されたものをわざわざ探しに行く必要がありません。
上の例で言えば、「1から100までの数字をすべて足した合計を教えて」と「合計」だけを聞いたのですが、ご丁寧に必要な公式から、今回の質問を公式に当てはめた計算結果まですべて教えてくれました。
最初の「ユーザーが検索する」までは「Google検索」とほぼ同じです。
”ほぼ”というのは、「AIに聞く」のは会話の質問ですから、「ユーザーが検索する(質問する)」という意味で「ほぼ同じ」となります。
そして、結果を自分で調査する必要はなく、返答を吟味すればいいだけです。
「Google検索」の再検索は、最初の検索と全く紐づかず、新たな検索となってしまいますが、AIの場合は最初の質問と返答からその流れで新たな質問ができるのです。
「1から101まで」みたいにキリの悪い数字になったらどうなるのかを質問してみたところ、同じで大丈夫と教えてくれました。
これ、もし検索時の最初の「検索結果」で見たサイトに、「nはなんでもすべて当てはまる」や「nは自然数」という説明があればいいですが、もしそのような説明がなかったら以下のようなキーワードで再検索する羽目になると思います。
- 1から101までのすべての数字を合計 公式 同じ?
- 1から101までのすべての数字合計 1から100までと同じ公式?
- n(n+1)/2のnはどの数字でも問題ない?
- n(n+1)/2 nは自然数?
おそらく、こういった再検索で改めて検索結果一覧を探してサイトを見つける、という流れになったでしょう。
この辺りまでを「例」として説明すると、「1対多」と「1対1」の違い、「検索」と「会話」の違いがなんとなく見えたようで、まだ難しい顔をしているものの、そのかたの顔が少し明るくなっていました。
AIから得られた情報が正しいかどうかも、最終的にユーザーが精査する必要はあるにしても、AIの精度が向上している点とAIの返答の情報元となる出典が表示されるサービスも多くなってきている点を挙げて説明してみました。
まぁ、でもそうですよね。
「何なのAIって?」と思っている人にとっては、ただただ胡散臭く見えるのでしょうね。
「答えを得る方法の違い」の”答え”という部分で今回たまたま思いついた検索方法が、「数式の答え」でした。
質問の結果、分数の計算式でも一発で綺麗に返事が表示されたので驚嘆していましたね。
まだまだAIがよく分からない・・という人も多いでしょうから、その場合はやはり実際に動作を見せるのが一番ですが、中でも数式は結構インパクトが強い気がしました。
この人だけかもしれませんが・・(笑)
ご参考までに。