今回は前回の読解力問題の続きとなります。
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本当の読解力とは
今回は「PRESIDENT」最新号で特集されていた「読解力」について語ってみたいと思います。 合わせて本書にも載っていた読解力が試される「係り受け」問題や「メジャーリーグ」問題なども一緒に解いてみまし ...
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それでは前回の解答から行ってみましょう。
係り受け問題
以下の文章を読んでください
この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。
- EVシフト
- 工作機械
- EV部品の増産
- 設備投資
答えは「EVシフト」です。
本来の主語は「EVシフトは」で、述語は「機会だ」になり、「EVシフトは機会だ。」と言っているわけです。
他の文節は、この主語と述語にそれぞれ係って主語や述語を説明しています。
この主語の「EVシフト」が何であるかを説明しているのが「ガソリン車からEVへの大転換」となります。
『ガソリン車からEVへの大転換である「EVシフト」は、~』となっていると分かりやすかったかもしれませんね。
上のように「=」が見えれば、主語は「EVシフト」しかないと分かるのです。
それでは「EVシフト」は何の機会だと言っているのでしょうか。
細かく文節を区切ると、それぞれが係り受けとなっています。
つまり「EVシフト」は
- 期待できる機会だ
- 需要が期待できる機会だ
- 大きな需要が期待できる機会だ
ここまで来ると、問題の答えが見えてしまいましたね。
順番に見ていくと、答えは「EVシフト」しかしっくり来ないと思います。
「工作機械にとっての設備投資や機械更新」が大きな需要になると説明されていて、大きな需要を期待できる機会となっているのが「EVシフト」であるというわけですね。
メジャーリーグ問題
次の文を読み、メジャーリーグ選手の出身国の内訳を表す図として適当なものをすべて選びなさい。
以下の文章を読んでください
前回書いた通り、「メジャーリーグ」というものが全く分からなくても、文章を読み解くにはさほど影響はありません。
冒頭の「メジャーリーグの選手のうち~」の部分は、「(ある集団の)全体のうち~」と読めます。
「メジャーリーグの選手=100%」とすると、文章前半までで分かる内訳は以下の通りになります。
- 「28%」はアメリカ合衆国以外
- 残りの「72%」はアメリカ合衆国
「72%」の内訳は、文章内ではっきりと明示されていません。
しかし選手全体の内、「アメリカ合衆国以外の出身国」に関する比率を出しているわけですから、残りの比率は「出身国がアメリカ合衆国である」と考えていいでしょう。
つまり「メジャーリーグというものが、アメリカ合衆国で毎年開催されているプロ野球リーグで多国籍の選手が集まってプレーしている」と知らなくても文章の読解には何の影響もないわけです。
文章の後半は、「その出身国を見ると、ドミニカ共和国が最も多くおよそ35%である」と書いてあります。
その出身国の「その」は「アメリカ合衆国以外」を指していますね。
今度は「28%」の内訳から、最も比率の高い国は「35%のドミニカ共和国」であると読み取れます。
計算式は「28%×35%=9.8%」となります。
ここまでで選択肢のグラフを見てみましょう。
3と4は、アメリカとドミニカ共和国の比率が全く違うので間違いと分かります。
1に関しては、グラフ上の単位が数字で表されているのもミソですね。
「アメリカ合衆国の720人」と「外国人選手の280人」と言うのは、単位が「人」でも比率は72%と28%で合っています。
しかし280人の内の「ドミニカ共和国の35人」と言うのは比率としておかしいですね。
この場合の計算式は、「280人×35%」で「ドミニカ共和国は98人」とならなければ間違いです。
したがってこの1のグラフは、次の様であれば正解です。
よって正解は2のグラフとなります。
「28%」の内訳の中に、最多となる「35%」の比率を持つ「ドミニカ共和国(9.8%)」が表示されています。
(まとめ)読解力の練習方法は色々ありそう
「PRESIDENT」には、今回の「係り受け」や「グラフ」とは別に、「助詞トレーニング」や「新聞記事を1文でまとめる」、「音読トレーニング」など読解力を付けるトレーニングが紹介されていました。
「AIにすべてを任せるわけにはいかない」と思いつつも、手軽に頼める文章要約やリサーチなどはついつい使ってしまいます。
AIを使う場合でも文章をきちんと伝える、文章を理解する力は必要ですから、今回のようなトレーニングで日本語の読解力が落ちないように維持しておきたいものですね。