今回は「PRESIDENT」最新号で特集されていた「読解力」について語ってみたいと思います。
合わせて本書にも載っていた読解力が試される「係り受け」問題や「メジャーリーグ」問題なども一緒に解いてみましょう。
読解力の本質
「読解力」というと学生時代に受けた国語の授業では、作者の気持ちを文章中から読み取ったり、主人公など物語の登場人物の心情を理解したり、と言う場面が多かったように思います。
文学やストーリーを味わいながら「なぜ、彼はそう思ったのか」、「なぜ、彼女はそういう行動を取ったのか」と文脈から答えとなる情報を探し出し、あるいは筆者が読者に伝えたい核となる部分は何だったのかを発見していくような、そんな文章の行間を読み解くような勉強だった気がします。
そしてそれを長期の休みで損なわないようにするために、読書が奨励され、読書感想文を書かされていたような気もしています。
しかし社会に出てから必要となる「読解力」とは、実はもっと易しいものなのです。
なぜなら「書いてある文章や話に出てきた言葉をただそのまま読んだり解釈したりするだけ」だからです。
新聞記事やニュース速報など一般的な日本語で書かれたものを正確に読み解く、さらにプロのライターが書いたものではない報告書などの文章の意図している部分を組み取る、1対1での会話や質疑応答をする、といったものが、個々の読解力として定義されるのです。
例えばこんな場面を経験した人はいないでしょうか?
読解力が苦手な人の特徴
スポーツの生中継など実況と解説のやり取りで、実況が解説者に質問したい内容を解説者が組み取れずに、解説者の答えがあさっての方向で落ち着いてしまい、実況が何とかうまく繋いでいる場面です。
見ている側からすると「いや、今の質問の意図はそこじゃないやろ」というのが正にそうですね。
これは解説者の立場で言えば本当に大変です。
この場合、生中継というリアルタイムの状況と、フィールドを見ながら相手(実況)の質問も頭に一度記憶しつつ、そこから自分の言葉に組み立てて返答する解説者の力量が必要となるからです。
それでも一度だけであれば「なんか違ったね」で済むかもしれませんけど、何度もとんちんかんな答えを返すようであれば、見ている側も「今日の解説者はなんか無能だね」と思うかもしれませんね。
同じように、普段のちょっとした会話のやり取りでも、自分が相手に質問した際に相手が質問の意図を組めずにとんちんかんな答えを返してくる場合はないでしょうか。
「いやいや、そうではなくて・・」
ともう一度説明し直す、というやり取りですね。
会話となると口頭だけなので、質問された側は、一度聞いた内容を瞬時に理解しそれに対する返答を質問者に分かるように返してあげる力量が必要となります。
テレビカメラが回っているわけでも、大勢の人に見られているわけでもないので、そういった緊張感はないはずなのに「会話がスムーズに進まない」と思わせる人もちらほらいたりします。
ではこれが文書だったらどうでしょうか?
文書の場合、「仕様書」や「説明書」のような長い文章を正しく読んでその通りに実行できるかどうかですね。
一度読んでニュアンスが伝わりづらくても、何度でも読み返せますし、書いてある内容を組み取るだけでいいのです。
でもこれが意外と難しかったりするようで、難しいと感じる場合は、読解力を鍛えた方がいい可能性もあります。
会話や文書での読解力というのは、誰かに教えてもらうでも自ら特別に何かを学ぶわけでもないのに、社会では諸にビジネスの生産性に直結するわけです。
AIを使うにも読解力は必要
読解するのが面倒な場合に便利なのが「AIによる要約」です。
当初は要約してほしい文章を手入力していたのに、今では画像ファイル内の文章も読み取ってくれるようになり、スクショした複数ページの画像の文章を要約する、という作業も簡単になりました。
AIが使えるから自分が読解する必要はない・・・と思ったかたもいるかもしれません。
しかしAIを使うにも読解力が必要です。
なぜならAIが出力した文章は、もっともらしくインターネット上の膨大なデータから引っ張り出されたものを読みやすいようにまとめたもので、正確に読めなければ何が嘘(ハルシネーション)で何が間違いなのかも気が付かないからです。
自分がしてほしい作業を正確にAIに伝え、AIの回答をまた正確に読み解く。
今後はAIが主流となる世界で、AIをコントロールできる実力を持つためにも、人間との会話や文章の内容の把握にも必要な読解力を身に付けなければならないのです。
問題となると結構難しい?
「PRESIDENT(2025.7.18)」にはそんな読解力をテストするための問題がいくつか出ていました。
その内2つについて全く同じ問題を以下に載せますので、やってみてください。
係り受け問題
以下の文章を読んでください
この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。
- EVシフト
- 工作機械
- EV部品の増産
- 設備投資
ヒントは主語と述語、修飾語の関係がきちんと読み解けるかどうかです。
それさえ分かれば簡単ですね。
メジャーリーグ問題
次の文を読み、メジャーリーグ選手の出身国の内訳を表す図として適当なものをすべて選びなさい。
以下の文章を読んでください
例え「メジャーリーグ」がどういうものかが分からなくても、文章だけで読み解けます。
一応説明しておくと、「メジャーリーグ」というのはアメリカ合衆国のプロ野球リーグです。
様々な国籍の選手が参加していて、その出身国の内訳を正しくグラフ化できている物を選びます。
最初に気をつけたいのは、「正しいものはすべて選ぶ」点です。
つまり正解がいくつかある可能性があるわけですね。
次に文章内です。
ヒントとしては、最初にメジャーリーグ全体の選手数を100%とすると、アメリカ合衆国出身の選手とアメリカ合衆国以外の出身選手とに分けられ、そのまま数値化できます。
そして、「、その出身国を見ると、」の”出身国”がどの国を指しているのかを正しく読み解く必要があります。
その出身国の内、ドミニカ共和国出身の選手数の割合が表示されているのでこちらも正しく数値化できるでしょう。
指示語や、示された数値が何の数値であるかを正しく読めれば、どのグラフが適正であるかを判断できると思います。
(まとめ)解答は次回の記事の冒頭に載せます
さていざ問題を前にするとどうでしたか?
正しく文章を読めているのに、少し迷ったり難しく感じたりしたかもしれませんね。
2つの問題の解答は次回の記事の冒頭に載せますので少々お待ちください。
読解力の訓練は文章を素直に読んで、主語と述語、修飾語と被修飾語の関係性をしっかり読み解くだけでもできます。
これからのAI全盛時代に、AIとのやり取りで必須の文章読解力をパワーアップして、AIを使う側の人間になりたいものですね。