今回のタイトル文字を読んだ方の99.9%は、
あの毎年恒例のクリスマスソングが思い浮かんだかもしれないし、
その内の90%くらいの方は思わず口ずさんでしまった・・・
かもしれません。
世代によっては、右足で無い空き缶を”カランコロン”と蹴り上げる深津絵里だったり
駅の中を走りに走って帰省した彼氏を驚かすために息も切れ切れに柱の陰に隠れる牧瀬里穂だったり、あの有名なCMを思い出した方もいるでしょう。
分からない方は、YouTubeで「JR東海 CM」などで検索してみてくださいね。
これ、今の・・というかスマホなどの電子機器やインターネットが当たり前の世代だと分からない点が結構多いらしいんですよ。
まずもって、深津絵里がなんであんなに駅で待ちぼうけているのかがわからない。
現代のように、どこでも簡単にスマホで連絡を取り合ったり、GPSなんかで相手の居場所を特定できるような世の中で、駅であんな”無い缶”を蹴ってふてくされてしまうぐらいに待たされているのかが分からないんですね。
出発地の公衆電話や新幹線の中の公衆電話から彼女の家の固定電話にかけて
”だいたいこの時間ぐらいに着くよ~”
”じゃぁ、その時間に駅に迎えに行くわ~”
という「事前」のやり取りがあって、そこから発生する予定外の時間ロス、
例えば電車が時間調整で止まったり、到着した駅で人がいっぱいで身動き取れなかったり、迷ったりなどがあって、約束した時間になっても彼は現れないし、
その間に彼が現在どういう状態にいるのか確認ができない、というのが当時の待ちぼうけの理論なんですけどね。
「待っている彼女は、この待っている時間をどう過ごすの?」と不思議がる現代人に、
「人の流れや去りゆく電車を見つめて思いに耽るのさ」と答えても、
「は?」
という感じで話が通じない。
そもそも、公衆電話や固定電話なるものが理解できない世代ですから
”昔は不便だったんだね”
という至極あっさりとした感想を漏らし、
”昔はテレビなんかなかったのよ”
”ふ~ん、昔はつまんなかったんだね”
というやり取りをした昔の自分の姿がデジャブしちゃったりします。
次に理解できないのが、駅構内の次の到着電車のお知らせ版、いわゆる「発車標」が手作りっぽい、という点です。
おそらく、この当時は「反転フラップ式」が多くの駅で使われていたのではないかと思います。
「歌のベストテン」で、パタパタと色んな歌手の名前がめくれていって、
”さぁ、今週の1位は?!”
という、アレです。
現在のLEDなどの電光掲示板と違って、確かに手作り感がありますよね。
知人の乗った電車がホームを出発して、次の電車をお知らせするフラップが回転して、
”あぁ~、帰っちゃったなぁ”
と寂しく感じたのを思い出します・・。
もちろん、「歌のベストテン」を知らない世代に上記の説明をしたところで
「?」が深まるばかりですけどね。
あっ、今までのは深津絵里バージョンで、最後は牧瀬里穂バージョンです。
到着した電車から彼氏がホームに降り立ち、歩みを進め、駅の改札口に向かって歩いてきます。
走って駅に迎えに来た牧瀬里穂が、彼氏を見つけ嬉しそうに柱の陰に隠れます・・・
ハイ!そこっ!!
改札口で、「出口」と書かれた狭い箱みたいな中に駅員が立っています。
この駅員達が、何をしているのかが分からない・・・。
今の時代、改札を出る時にはSUICAなどのICカードを改札機にタッチするだけで、簡単に改札を抜けて外に出られます。
もし、料金が足りない場合は、自動で改札機の扉が閉じ警告音が鳴りますので、
ただ単にチャージ金額が少ない人も、確信犯もそこでシャットアウトされます。
でも、昔はCMのように出口で駅員が乗客から切符を受け取っていましたよね。
つまり、次から次へと目の前に出される1つ1つの切符を駅員が目で追って、料金が違う場合は駅員がそのお客さんに
”料金が足りませんよ”などと声を掛けて止めるわけです。
ということは、区間ごとの料金がすべて頭に入っていたんでしょうね。
定期券の人も同様に駅員に見せながら足早に過ぎようとするのですが、
定期券の期限が過ぎている場合などは、呼び止められます。
逆に、乗客が改札に入るときには、次から次へと駅員に出される切符を彼らは手動で切っていくのです。
乗降客の多い駅でこの切符処理を行う駅員のハサミさばきは正に神技でしたよね。
でも、地方の駅には切符を手動で切る名残は残っていますが、
”ピッ”、”ピッ”と改札を通過する世代には、駅員がこの狭いボックスに立っている意味が分からないのですよ。
CMを思い出してもらった、という前提で現代人には不明瞭な点を3つほど挙げてきましたが、
このCMの背景に流れている曲が、そう
山下達郎の「クリスマスイブ」になります。
今でもクリスマスの時期には、定番中の定番というぐらい必ずこの曲が流れますよね。
奥さんである竹内まりやの「すてきなホリデイ」は、毎年クリスマス時期のケンタッキーのCMソングとして流れますし、
夫婦でクリスマス時期を席巻するわけです。
さて、そんなクリスマスの定番ソングである「クリスマスイブ」でイントロからの最初の歌詞である
「雨は夜更け過ぎに雪へと変わるだろう」
という部分。
これ、降る雨が雪に変わる可能性がクリスマス時期とちょうど合うのは、
寒くても雪なんぞほとんどお目にかからない地域に限定されるんですね。
”今日寒くない?”
”うん、夜雪になるかもね”
”えっと今日は・・・12月25日!ホワイトクリスマスじゃん!”
”おぉ~、ということは・・・雨は夜更け過ぎに♪”
みたいな会話を交わした経験がありますが、
毎年降るかどうか分からない雪がちょうどクリスマスに合わせて、しかも夜にだけ降るとテンションも上がるわけです。
でも、北海道を始め雪が当たり前の地域では、
クリスマス時期に雨が降るなんてまず無いんですね。
クリスマスはほぼ雪景色ですから。
では、山下達郎を思い起こさせる今回のタイトル文字はいつ頃聞かれるのか・・。
それは、テレビやラジオなどの
「お天気コーナー」
で11月上旬から中旬にかけてよく聞かれるセリフなのです。
”夜にはぐっと冷え込む可能性があります。
さらに日中に降り出した雨は夜更け過ぎに雪へと変わるでしょう”
北海道に移住して何年も経ちますが、今でもこのセリフがカーラジオのお天気情報から流れると
”おっ、山下達郎!”
と思わず歌ってしまいます。
嘉門達夫の
「♪きっと君は関西人、間違いなく関西人」
という替え歌も頭に浮かんでしまうのが悩ましいところですが。
それにしても、このセリフを吐き出す気象協会の担当者も
”あっ、あたし今山下達郎みたい”
って思ったりするんでしょうかねぇ~。
残念ながら、クリスマス時期には雪がさらに大雪になることはあっても
雨が雪になるというシチュエーションはほぼないと言っていい北海道ですが、
秋から冬の入口へと差し掛かった頃には既に
「クリスマスイブ」の曲を思い起こさせる風景へと変わっているのです。