セミの鳴き声が聞こえてくると
「あ~夏だなぁ」というより
「あ~夏休みぃ♪」
という方も多いかもしれませんが、実はセミには春に鳴いて夏前に死んでしまう
「エゾハルゼミ」
というセミがいるんです。
このセミ、「エゾ(蝦夷)」という名前が付いていますが、実は北海道以外でも九州地方などに生息しています。
ただし、標高の高い山あいの森林など気温が低めの場所に生息しているので、比較的暖かい(というか暑い)街中ではあまり聞ける鳴き声ではありません。
北海道は、広く各地域で5月でもまだまだ寒い時間帯があります(朝はストーブを付ける日もあったり)。
下手をすると峠は雪が降って冬タイヤでなければ車は道路を走れなくなるくらい積もったりします。
そんな5月の北海道の街中でも聞かれる「エゾハルゼミ」の鳴き声はこのような鳴き声です。
夏のセミのように、暑さを助長するような鳴き方というよりは、「ミーーーーー」とちょっと合唱のような感じがしませんか?
セミの鳴き声は基本的に”オスだけ”と言われています。
メスに対してオスは鳴いてアピールするわけですが、この鳴き声、実は1匹や2匹だけの鳴き声だけでなく、集団で鳴いている声なんです。
「エゾハルゼミ」のオスは、集団で合唱のように鳴く性質があって、他のオスが鳴くようになるまで鳴かずに待ちます。
そして、みんなが鳴けるようになり1匹のオスが鳴き始めると、周りのオスたちも一斉に同調して鳴くのです。
北海道以外、特に5月にはもう既に暑くなっている地域に住んでいる方は、5月頃にこの鳴き声を聞いても「セミ」の鳴き声だと気が付かないかたもいらっしゃいます。
特に、筆者宅のように周りをカッコウやホトトギス、ウグイスの鳴き声がよく聞こえるような鳥が集まる木がたくさん生えているような場所では、なおさら何かの鳥の声だと思うかたもいます。
さて、というわけで今回お聞きいただいたこの「エゾハルゼミ」の声は、筆者自宅の裏の森から聞こえてきた声を録ったものです。
そして、この声を聞きながら、まず今年度最初の自宅敷地内の「草むしり」に勤しみました。
ゴールデンウィーク前までは、ほとんど何もなかった庭全体が、雑草や蕗の葉でいっぱいになったので、しょうがなく「エゾハルゼミ」の声をバックにひと汗かこうか、と。
・・・と言いたいところですが実は汗はかいていなかったんですよー、残念ながら。
なぜかと言うと・・・。
「エゾハルゼミ」が鳴くくらい気温が涼しかったからです。
汗をかきながら草むしりをする夏本番の頃には、「エゾハルゼミ」たちは既にその生涯を終えています。
そして、暑さを助長する「ナツゼミ」たちが「エゾハルゼミ」たちに代わって、暑い夏の盛り上げに一役買っているでしょう。