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投資にまつわるお話

iDeCoで損する人、泣く人

2025年1月21日

今回も少し税制改正のお話をしたいと思います。

というのも、「iDeCo」の税優遇措置が改悪となる可能性があるからです。

与党から提示されている2025年の税制改正大網では実質の増税対応となりそうな「iDeCo」について、どのような制度変更があるのかを確認しておきましょう。

iDeCoを一時金で受け取る場合の退職金控除

老後資金として積立している人も多いと思うのですが、「iDeCo」は積み立てたお金を60歳まで引き出せない代わりに、企業の退職金控除で税を優遇できるというのが特徴です。

その中でも受け取り方法は2種類あって、すべて一括で受け取る「一時金」と年金のように定期的に一定額を支払ってもらえる「年金形式」があります。

今回、一時金でもらう場合の改悪された制度を確認してみたいと思います。

これまでは・・

現在までiDeCoで一時金を受け取る場合は、60歳で「iDeCo」から一時金を受け取った後、5年経てば企業からの退職金にも退職金控除が使える「5年ルール」というものがあります。

「5年ルール」の例を見てみましょう。

Aさんは、60歳で30年間勤めた会社を定年退職しました。

60歳時点でもらう「iDeCo」の一時金から控除できる金額は以下のように1,500万円となります。

40万円×20年=800万円
70万円×10年=700万円
800万円+700万円=1,500万円

つまり、この時点では「iDeCo」で発生する税金は0円となります。

そして、65歳で企業の退職金を受け取るように申請しました。

5年経てば「iDeCo」で使った退職金控除がリセットされ、退職金控除額1,500万円が適用された退職金を受け取れます。

これからは・・

Aさんは、60歳で30年間勤めた会社を定年退職しました。

60歳時点でもらう「iDeCo」の一時金から控除できる金額は以下のように1,500万円となります。

40万円×20年=800万円
70万円×10年=700万円
800万円+700万円=1,500万円

そして、70歳で企業の退職金を受け取るように申請しました。

10年経てば「iDeCo」で使った退職金控除がリセットされ、退職金控除額1,500万円が適用された退職金を受け取れます。

退職金を先にもらうとどうなる?

では、「退職金を先にもらってしまおう」と考えたらどうでしょうか?

これは、現行制度にもある通り退職金に対する退職金控除を利用してから「20年」経たないと「iDeCo」で退職金控除は使えないのです。

つまり、どちらを先に受け取っても優遇制度を利用するまで非常に時間が掛かるようになりそうなのです。

「iDeCo」を年金形式でもらうと

「iDeCo」を一時金で一度にもらうのではなく、年金形式でもらう場合は「公的年金等控除」が適用されます。

公的年金等収入額控除後の雑所得額
65歳未満60万円以下0円
65歳以上110万円以下0円

65歳以上で年間の公的年金等の合計収入額が110万円以下に抑えられるのであれば、全額控除となり雑所得は0円となるので課税はありません。

ただし、60歳から65歳までは、控除される金額も少なくなるので、節税効果はあまり期待できないかもしれません。

そのため、多くの人は「iDeCo」の「5年ルール」を使ってきたわけですが、今回の改悪で予定が狂ってしまう人が続出する可能性を秘めているのです。

(まとめ)「iDeCo」だけでは間に合わない

ある程度の出世を果たしても、企業が今回の「iDeCo一時金の税制改悪内容」を理解してくれない限り、退職金を10年後に設定するのは難しいかもしれませんね。

つまり、以下のようになります。

  • 60歳で「iDeCo」の一時金を受け取ってからもしばらく退職せずに会社に残って退職金を70歳でもらう(10年ルール)
  • 「iDeCo」の一時金を受け取る60歳から退職金を受け取る年齢までの年数分だけの退職所得控除で我慢する
  • 退職金をもらって「iDeCo」はずっと年金で受けとる

退職金を先にもらってから20年待てば退職所得控除が全額適用される「iDeCo」の一時金をもらうのは、得策ではないと思います。

国民が有利になると、財務省が制裁を加えるために追いかけてくるように見えてしまうのは気のせいではないでしょうね。

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