自分のポートフォリオに「配当株」を含めている人は、その株を米国株などの外国株で持っている人も多いのではないでしょうか。
「S&P500」のインデックスやオルカン(全世界株式)をファンドで保有しながら、それらとは別に個別株を保有してバリエーションを持たせるのですが、その個別株が配当株であれば配当金を得られます。
つまり、得た配当金をさらに投資元本に加えるので、「配当株」は短い期間で投資資金を増やすための有効な手段となるわけです。
外国の配当株は、3か月に1回支払われる銘柄が多いので、長期保有を前提にすれば株価の上下に一喜一憂する必要もありません。
ウォーレンバフェットも長期保有で配当株から利益を得ていますね。
日本の配当株のように「半年に1回」とか「1年に1回」という配当金の支払い頻度を考えると、外国株の配当はスパンが短くていいな、と思うかもしれません。
ただし、外国株から発生した利益については、「外国源泉税」が発生します。
例え、配当金の発生した外国株が日本の「NISA口座」で運用されていたとしても、外国での源泉税の支払いは発生してしまうのです。
さて、これから「外国株で配当株投資を始めよう」と思っているかたに、この「外国源泉税」について1点覚えておいてほしい内容があります。
それは、「外国源泉税」が発生する配当金と発生しない配当金がある点です。
厳密に言えば、外国源泉税が発生しない配当金は「配当」ではないのですが、今後配当金が発生した際に証券会社から発行される取引報告書を見ても勘違いをしないように注意してほしいと思います。
配当と資本の払い戻し
通常、投資している企業の所在が外国にある場合、その所在地による国の税制によって源泉税率が決まります。
外国株から配当金を受け取ると、受け取った金額から決められた一定の率を外国源泉税として支払うわけですが、その税率が「0%」になる場合があり、その理由の一つして「資本利子の配分」があるのです。
これは、株式配当の一部が配当ではなく「資本の払い戻し」として処理される、と言う意味になります。
つまり、企業の収益から発生した余剰金を投資家に配った「配当」というわけではなく、元々投資家が投資している資金の中から一部を返却しているだけに過ぎないので、配当所得としてみなされず源泉税が「0%」となるのです。
資本の払い戻しは経営悪化なのか?
なんとなく、こういう話を聞くと、「本来の収益が上げられなくて、配当金を用意できなかったからやむを得ず資本を取り崩している」ように見えるので、経営状況が悪化しているのではないか、と考えるかたもいるかもしれません。
しかし、以下のような理由から資本を払い戻す場合もあります。
- 税務上の利益を配当として支払うよりも投資家に有利な場合があり、税金を軽減するため。
- 企業が余剰資金を持っているのに効率的に運用できない場合、資金の効率的な活用策の一環として株主に還元するため。
もちろん、企業が十分な利益を上げておらず、通常の配当を支払う代わりに元本を返還している場合もあるので、これが続くのであれば、財務的に問題があるのかもしれません。
また、経営がうまくいっていない企業が、キャッシュフローの減少や事業縮小の一環として資本の払い戻しを行うケースも考えられます。
一概に、「経営が悪化している」という理由だけで「資本の払い戻し」が実行されるわけではないのですが、企業の財務報告書やアナリストレポートなどが証券会社でも確認できると思いますので、目を通しておくようにしたほうがいいでしょう。
(まとめ)円安も背景に
ここ最近の円安傾向で、日本株オンリーだったが外国株中心のポートフォリオへシフトしたと言う人も多いかもしれません。
今回は、これから外国株投資を始める人に向けて書きました。
なぜ同じ銘柄からの配当金の支払いで外国源泉税率が違うのか、と疑問に思ったらまずは「資本の払い戻しかどうかを確認する」、そして「なぜ今回の配当金支払いが資本の払い戻しになったのかを調べてみる」という意識を持っておきたいところですね。