無料で利用できるSNSなどには、アップロードした文字や画像がたくさん保存されています。
しかし、何かの拍子にアカウントが凍結されたり、突然アカウントにアクセスできなくなったりすると、それまで保存してきたデータはすべて見られなくなるでしょう。
この「何かの拍子」や「突然」はいつやってくるか分かりません。
つまり、フェイスブックやインスタにアップした自分の写真や動画は、アップした時点で実は自分のものではなくなっているのです。
クラウドドライブの特定の領域分を無料で提供しているグーグルやマイクロソフトも、その領域を常に同じサイズで提供してくれるかどうかは分かりませんし、アップロードしたデータを元にそのユーザーの興味や関心を探っているわけですから、個人のデータでありながら実は、プラットフォーム側は常に監視ができている状態にあるわけですね。
さて、インターネットには3つの時代があります。
Web1.0
誰でもブラウザでキーワードを入力して検索すれば、ウェブサイトからあらゆる内容を見られるようになりました。
Web2.0
サイトを誰でも簡単に作成・管理できるCMSが登場し、ブログやSNSなどを使って大衆に向けて情報を発信できるようになりました。
Web3.0
インターネット構造が変わり所有権が民主化されます。GAFAMのような企業でなくても誰もがネットワークのステークホルダーになれます。
現在、Web3.0が着々と進行しているわけですが、その中心となるのが「ブロックチェーン技術」となるでしょう。
ブロックチェーン技術には、以下のような特徴があります。
- 分散管理
- データの透明性
- データの耐改ざん性
- データの追跡可能性
これからは、大企業や政府に管理されないデジタル資産を作る方法でもあります。
つまり、自分が持つデジタルデータを暗号資産などと同様にトークン化して保存できるようになるわけですね。
さて、今後この「ブロックチェーン技術」はどのような分野で活用されるようになるのでしょうか。
金融
「分散型金融(DeFi)」で中央管理者を必要とせず、貸付、保険、取引などを自動化する。
「クロスボーダー送金」で銀行を介さず、迅速かつ低コストな国際送金が可能となる。
サプライチェーン
製品の製造から流通、販売までのプロセスを記録し、透明性を向上する。
食品や医薬品のトレーサビリティ(追跡可能性)が向上する。
医療・ヘルスケア
患者データの安全な共有する。
偽造薬の防止や治験データの信頼性が向上する。
不動産
所有権記録や契約をスマートコントラクトで管理する。
トークン化による資産の部分的な所有や売買を管理する。
エンターテイメントとアート
NFT(非代替性トークン)を活用してデジタル資産を管理する。
アーティストの収益分配の透明性を向上させる。
エネルギー
再生可能エネルギーの取引を記録する。
個人間での電力売買(P2Pエネルギー取引)を可能にする。
金融資産のトークン化
これからは、SNS上の自分のデータを簡単に別のSNSへと移行できるようになるし、自分の「財務情報」をトークン化しておくのも可能となります。
「トークン化」とは
物理的な資産や権利、データなどをブロックチェーン上でデジタル化し、トークン(売買可能なデジタル単位)に変換することを言う。
金融業界は、デジタル資産とトークン化への戦略のために一足先に実験を始めています。
国際決済銀行(BIS)は商業銀行の預金をトークン化し、即時決済を可能にする実験を行っています。
さらに、ゴールドマンサックスは2025年中に3つのトークン化プロジェクトを開始する計画を発表しています。
トークン化された金融商品はブロックチェーン上でトークンとして取引されるようになります。
従来の株式市場での取引とどのように変わっていくのかを、私たちは目の当たりにするのでしょうね。
新時代の始まり
トークン化は「資産」の概念を根本的に変え、金融、データ、そして個人の自由を新しい形で実現していくと思います。
国際的な規制と技術標準化が進み、多くの企業が参入して、広範囲な産業に革命を起こす可能性があるでしょう。
ブロックチェーン技術の活用範囲が広がり、新たなビジネスモデルも生まれるかもしれません。
私たちが所有している資産とその所有権について、新たな時代の幕が明けようとしています。