中国のAI企業「DeepSeek」が高性能なAIを無償で利用できると発表して、一気にエヌビディア株や米国のハイテク株が値を下げました。
今回発表された「DeepSeek」は、最先端の半導体を使わずに圧倒的に安いコストで業界トップの生成AIと同等の性能を実現してしまいました。
しかも、起業からわずか1年という短さで・・。
これが事実であれば、エヌビディアや米ハイテク企業の優位性が揺らいでしまうために、今回の暴落が起きてしまったわけです。
しかし、今回のエヌビディア株の暴落には驚いたかたも多かったでしょう。
というのも、エヌビディア自体に特別問題があったわけでもなく、いわゆる外国の競合企業があまりにも凄い発表をしただけで、心配売りが加速しただけですからね。
エヌビディア株を保有していたかたは、釣られて狼狽売りに走ってしまったかたもいるかもしれませんが、一旦落ち着くとは思いますからもう少し静観してもいいかもしれません。
今回の暴落騒ぎで、トランプ大統領になり注目の高い暗号資産も軒並み下落しました。
さて、この「DeepSeek」は何が凄いのでしょうか?
それは、AI最新モデルの「R1」にあります。
この「R1」は、OpenAIが開発した最先端の生成AIモデルと同じレベルにあります。
しかも、米国の半導体規制を受けている中国の企業なので、最先端のGPUを使用する場合は他国から調達する必要があります。
つまり、最先端の半導体を利用しづらいのに、最先端で開発している米国のAI企業と並んでしまったわけです。
しかも、この「DeepSeek」はAIモデルをオープンソース化しました。
他の開発者や技術者にプログラムの内部構造をすべて公開する「オープンソース化」によって、「R1」の内部構造は誰でも確認できる上、実際にこのプログラムを参考にして独自に新しいAIモデルを作成しても何の問題もないのです。
ちなみに「OpenAI」は、ChatGPTの開発をオープンソースにはしていません。
実際に、「OpenAI」のCEOである「サム・アルトマン氏」は、自分たちの技術に絶対の自信を持っていて、「開発コストの少ないスタートアップ企業たちに自分たちと同じようなAIモデルは作れない」と言う旨を常々語っていたので、正にこれがライバル国である中国の企業によってひっくり返されてしまったというわけです。
今回、「DeepSeek」の登場によって米国のハイテク株やAI関連株は軒並み値を下げました。
でも、だからと言ってアメリカのAI開発が遅れをとるわけではなく、むしろ逆に開発が加速するのではないかと思っています。
「DeepSeek」のようなトレーニング手法の改善によってコストと時間が削減されると、これに続いて有用なAI製品を生み出す企業がさらに登場するでしょう。
そして、最終的にAIは高度な頭脳となり、ロボットなど人類と同じ生活空間に溶け込むような、そんな未来がますます近づいたのではないかと思うのです。
今回の「DeepSeek」のブレークスルーは、米国のAI企業や関連分野にとっても、飛躍のきっかけとなるでしょうし、様々な分野での幅広い技術の応用にも繋がっていくでしょう。
とにかく、利用者側にしてみたら無償で高性能な生成AIを利用できるでしょうし、投資家目線としても中国のAI企業から目が離せなくなりましたね。