最近、新札切り替えや都知事選などの国内イベントや物価高による経済動向から詐欺事件がさらに増えてきたような気がしています。
外野から見てみると、本当にどうしようもない詐欺も多いのですが、それでもやはり騙されてしまう人は多くいるようです。
2年ほど前に、北海道の片田舎で詐欺事件が起きました。
騙し取るまでの手順が割と用意周到で、いわゆる「ポンジ・スキーム」なのですが改めてその内容を書いておきたいと思います。
今年のアメリカ大統領選挙は「ビットコイン選挙」とも言われておりますが、仮想通貨に絡めた「儲かる話」などに軽々しく乗らないように十分お気を付けください。
事件は2年前のもので、現在このようなクリプトアプリによる詐欺は発生していません。それでは内容をどうぞ。
北海道の「後志振興局管内(倶知安やニセコなどのある地域)」で、「キムウンジュンからの儲け話」という”いかにも”な詐欺事件が発生したようです。
管内に暮らすマレーシア人女性(以降、女性)が被害にあったのですが、詐欺までの流れを簡単に解説すると、以下のようになります。
- 女性が語学練習の言語交換アプリで「キムウンジュン(以降、キム)」と名乗る人物とマッチング
- LINEで連絡を取り始める
- 女性がキムからビットコインの儲け話に誘われる
- 女性は正規の仮想通貨取引サイトで25万円のビットコインを購入
- 女性はキムから言われた「Crypto(クリプト)」というアプリをインストール
- 25万円分をクリプトに送金し、「テザー」という通貨に交換
- クリプト上で25万円が29万円になっていたため、出金手続き
- 正式に出金できたため女性がキムを信頼
- その後キムからの指示で女性が合計4回1,400万円のビットコインを購入しクリプトに送金
- クリプトで儲けが1,800万円と表示される
- 合計3,200万円を出金しようとしたが、出金できず女性が詐欺だと気が付く
さて、色々と突っ込みどころのある(笑)詐欺事件ですが、一つ一つ追っていきましょうか。
アプリ上でマッチングした人物からの儲け話
まず、投資詐欺に関係なく驚いたのが「語学練習のためのアプリでもマッチングができる」ところです。
まぁ、言われてみれば語学練習なので話し相手が必要になるでしょうし、日本人とアメリカ人のように日本語と英語をそれぞれ母国語とする両者がマッチングでやりとりできれば、お互いの語学習得にも都合がいいので、機能としてマッチングサービスが付いていたアプリなのでしょう。
「LINEで連絡を取り始めた」
と言うからには、意気投合したのかもしれませんが、それでもやはりマッチングしてLINEのメッセージを送り合うだけだった相手の「うまい話」に乗っかるべきではありませんね。
ビットコインとテザーは本物。でもアプリは・・・
この詐欺を働いたキム側の用意周到さは、「クリプト」と言う詐欺用アプリの存在に表れています。
「ビットコイン」や「テザー」と言うのは公に取引されている仮想通貨になります。
女性は、仮想通貨の取引に興味があったようなので、おそらく「ビットコイン」や「テザー」が絡む今回の詐欺を信用した一因になっていると思います。
結果的に、今回の詐欺のために開発された「クリプト」というアプリが女性のお金を奪い取る役割を担っていたわけですが、アプリ上でやり取りした仮想通貨は本物だったため、女性は簡単に「クリプト」に入金してしまったのでしょう。
なぜ、「クリプト」アプリを使うだけで仮想通貨取引での利益がでるのか・・・
ここで不思議に思えば「クリプト」をもっとよく調べたり、このアプリを紹介した人物を疑ったりとできたわけです。
「クリプト」アプリには、カスタマセンター(もちろん形だけ)もあったようですから、カスタマーの対応に先に触れていれば、”詐欺に引っかかる前”に詐欺だと確認できたかもしれませんね。
一度は成功体験を与えられる
投資詐欺の多くは、被害者となる相手に対して一度は成功体験を与えます。
今回の例でも、やはり「クリプト」上で実際に4万円の利益を上げ女性に出金させています。
これで味をしめた女性が、その後に1,400万円という高額の入金を実行してしまいました。
最初の「4万円の利益」が餌となっているわけですが、キムにもアプリにも信頼度を高めた女性は、自分の貯金や友人からの借金でお金を工面したようです。
やはりこの手の詐欺は、「だます相手をいかに信用させるか」が肝ですから、たった4万円で1,400万円を獲得できたキムは満足したのでしょう。
もし、女性が4万円の利益を手にした後に、10万円や20万円などの少額しか入金してこなかったら、
また少し利益を出させて、キム側は”もっと高額に入金すればさらに利益も大きくなる”などと言って、高額なお金を入金させる算段だったと思います。
勝手に増えた4万円は何から発生した利益なのか・・・
女性がここを疑問に思えばその後の1,400万円は失わずに済んだかもしれませんね。
まとめ何もかも怪しい
自分と同じ北海道内に暮らす方(それも日本という異国の地で暮らしている方)がこのような詐欺被害に遭った
ニュースを聞いて、まず思うのは
”またか・・・”
という残念な思いですね。
第三者的に見ると、怪しむべき点はたくさんあるのですが、
「拠り所がなかったのかなぁ」
「それおかしいよ、と言う友人はいなかったのかなぁ」
と、被害に遭ったこの女性の生活環境を想像してしまいますね。
ネット社会の今、都会であろうと地方であろうと、詐欺案件はいつどこで発生するか分かりません。
「うまい儲け話」が、自分に降って湧いて出てきたら、とにかく二歩も三歩も下がって外野からその話を見直すようにしてください。
- 専門家であっても「うまい儲け話」は簡単に信用しない
- 自分が何を得よう(購入しよう)としているのかを理解する
当サイトでもよく言うこの2点は、どんな投資話に対応する時にもあてはまります。
皆さんもどうぞお気を付けください。