楽天証券を使っていて投資信託(ファンド)を購入しているなら「投信スーパーサーチ」を使っている方は多いでしょう。
様々な条件から簡単に目的のファンドを探せて、口座を持っている人が誰でも利用できるツールとなっています。
まだ投資を始めたばかりの人が、「これを買う(名前が好き!)」みないな勢いだけで買わず、「投信スーパーサーチ」を使ってどのような目線で優良ファンドを探したらいいのかをお伝えしたいと思います。
今回見極めるポイントはたったの3つ。
- 手数料
- 投資先
- ファンドスコア
それでは、順番に抽出していきましょう。
手数料を安く抑える
ファンドにも、短期間である程度高いリターンを狙う「ハイリスク・ハイリターン」のものもあれば、長い期間で運用して積立てながらリターンを形成していく「インデックス型(長期運用型)」のものと様々な商品があります。
投資を始めたばかりの方は、まず「手数料を安く抑える」ように考えてみましょう。
手数料は誰に払う?
ファンドの手数料を支払う先は以下の3社です。
手数料支払い先
■販売会社
ファンドを取り扱っている会社。今回のお話では楽天証券になります。
■委託会社(運用会社)
投資家から集めた資産を実際に運用する会社です。
参考楽天証券の場合、各ファンドを開いて下の画像のあたりに委託会社が記載されています。
■受託会社(管理会社)
ファンドの資産や運用利益などを管理する会社です。
受託会社は、目論見書に記載されています。
これら3社にどのくらいの頻度で手数料を支払うかは以下のようになります。
項目名 | 支払先 | 頻度 |
---|---|---|
買付手数料 | 販売会社 | 最初だけ |
信託報酬 | 販売会社 委託会社 受託会社 | 毎日 |
信託財産留保額 | なし | 売却時 |
各手数料率は、各ファンドの以下の赤い部分に記載されています(目論見書にも記載されています)。
手数料なしも多い
先ほど見たように、手数料は3種類ありますが、それぞれ以下のようになります。
買付手数料
ファンドを購入する際に、1度だけ発生する手数料になります。
ただし、「楽天証券」で購入するファンドは、記事執筆時点ですべて無料なので、「なし」になります。
ファンド名に「ノーロード」とついているものはどの販売会社でも手数料無料となります。
信託報酬
ファンドの保有期間中は、3社すべてに支払う手数料になります。
「純資産総額の〇%」という料率で配分され、安いものでは「0.1%未満」というファンドもあります。
手数料が安ければ安いほど、運用している資産から余計なお金が減らないので、運用の効率も良くなります。
なお、信託報酬は日々計算され基準価額に反映されているので、保有期間中に直接各投資家の口座から支払うような場面はありません。
信託財産留保額
ファンドの解約(売却)時に、資産を取り崩して投資家に資金を戻すための手数料となり、一指定の料率分を引かれて投資家の手にお金が戻されます。
ファンドによっては、「信託財産留保額」を取らないものもありますので、少しでも手数料を抑えたい時には、チェックする点となります。
インデックス型ファンドで抽出する
リターンを得るためにリスクを取るファンドは、「信託報酬」が高めで、「信託財産留保額」はほぼ発生します。
そのため、始めたばかりの内は、手数料が安い「インデックス型」で探してみましょう。
- 「インデックスのみ」にチェック
- 「管理費用」を昇順に並べ替える
この2つを覚えておくと、いつでも手数料の安いファンドを探せます。
自ら支払う場面はなし
運用中から売却時にかけて発生するファンドの手数料は、計算されたうえで最終的に投資家の手に戻ってきますので、「証券口座にお金を入れておかなければならない」という手間はありません。
楽天証券は、全体で2,650本のファンドを取り扱っていますが、「インデックスのみ」だけで383本に絞られます。
投資対象は日本を含めたグローバル
手数料が安い「インデックス型」でだいぶ数を絞りましたが、その中で投資対象をどの範囲にするか考えてみましょう。
今回は投資を始めたばかりの方が対象なので、先進国である日本とアメリカだけに絞って、さらに資産タイプを株式と債券だけにしてみます。
- 国内株式
- 米国株式(為替ヘッジなし)
- 国内債券
- 米国債券(為替ヘッジなし)
上の4つを選択しました。
今回選択した「為替ヘッジなし」とは、外国の金融商品を売買する際に発生する為替損益のリスクを考慮せずに運用します。
現在の円安局面だと、為替差益も手に入れられますが、逆に為替差損が発生する場合は損失を受け入れる必要があります。
ただし、「為替ヘッジ」にはコストがかかるので、同じファンドでも「為替ヘッジなし」を選択すると信託報酬や信託財産留保額が安くなります。
この時点で、さらに本数が絞られ134本になりました。
さて、最後にファンドスコアで絞ってみましょう。
運用の効率性を見るファンドスコア
楽天証券が独自に測定している「ファンドスコア」は、星の数が多いほど「効率的に運用されているファンド」となります。
ただ、ファンドスコアが高いだけで、そのファンドを購入すべき・・・というわけではありません。
「ファンドスコア」が高くても、
- ファンドから高いリターンを得られるわけではない
- これから上昇していくというわけではない
という点は注意しておきたいところですね。
計測期間でファンドの評価も変わってきます。
計測期間が長くなるほど、ファンドスコアが高いファンドは少なくなっていきます。
先ほどの134件の中から、計測期間が3年も5年も「ファンドスコアが5」のファンドを探してみたいと思います。
「iシェアーズ 米国株式(S&P500)インデックスファンド」(以降、iシェアーズ)が唯一長期間でも「ファンドスコア」が5になっているファンドですね。
同じ「米国株式(S&P500)インデックス」であれば、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」(以降、eMAXIS)が投資家の間では人気なのですが、こちらの「ファンドスコア」はどうなっているでしょうか。
調べてみましょう。
3年で「ファンドスコア」が最高の5になっています(1年では4)。
設定日(運用開始日)からまだ5年が経過していないので、最長の「ファンドスコア」は3年になります。
ちなみに楽天証券内のファンドで、「買付ランキング」が1位になっていますね。
「iシェアーズ」と「eMAXIS」を比較すると、以下の点が共通しています。
- 為替ヘッジをしない米国株式
- 3年のファンドスコアが最高の5
- 信託報酬が安い
むしろ「信託報酬」は、「iシェアーズ」の方が若干安いくらいですが、「eMAXIS」の方が断然人気がありますね。
これは、おそらく「iシェアーズ」の運用期間が「eMAXIS」より5年も長く、資産が順調に増えて基準価額が高くなっているからだと思われます。
同じようなファンドであれば、基準価額が安い方がその分多くの口数を購入できるからですね。
基準価額=1万口あたりの金額
同じファンドでも、3ヶ月や6か月などの短期の「ファンドスコア」の星が5つなのに、1年や3年になると「ファンドスコア」の星が2つとなる場合もあります。
「ファンドスコア」はなるべく長期で見るようにして、星の数だけで「いいファンドだ」と特定しないようにしてくださいね。
まとめ様々な条件で比較できる
さて、今回は楽天証券の「投信スーパーサーチ」を使って、優良ファンドを探すための3つの条件検索を行ってみました。
もちろん、投資に慣れてくれば、「アクティブファンド」や「ブル・ベア型」のようなハイリスク・ハイリターン銘柄を探すのもいいと思います。
これから投資金額をどんどん増やしていく方は、投資対象に株式やリートなども組み入れて、投資対象国も先進国・新興国を混ぜてもいいと思いますが、最初の内は、手数料をなるべくかけずに、先進国重視のリスクを抑えた買い方がいいかもしれません。
今回は、正に比較的ローリターンから優良ファンドを探してみる方法でした。