米国やグローバルの株式銘柄は、業種を11のセクターに分類しています。
11のセクターの詳細は、以下のようになります。
セクター | 業種 | 時価総額TOP5 |
---|---|---|
生活必需品 | 食料・飲料・タバコ 個人用品 非耐久家庭用品 | ・ウォルマート(WMT) ・プロクターアンドギャンブル(PG) ・ネスレ(NSRGY) ・コカ・コーラ(KO) ・ペプシコ(PEP) |
ヘルスケア | 医薬品・ヘルスケア用品 バイオテクノロジー ライフサイエンス | ・ユナイテッドヘルス(UNH) ・ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ) ・イーライリリー・アンド・カンパニー(LLY) ・Roche Holding(RHHBY) ・ファイザー(PFE) |
公共事業 | 電気・ガス・水道 エネルギー販売業者 | ・ネクステラ・エナジー・リソーシズ(NEE) ・デューク・エナジー(DUK) ・サザン・カンパニー(SO) ・Iberdrola SA(IBDRY) ・ENEL Societa per Azioni(ENLAY) |
情報技術 | コンピュータ・ソフトウェア 半導体 通信機器 電子装置 | ・アップル(AAPL) ・マイクロソフト(MSFT) ・ビザ(V) ・エヌビディア(NVDA) ・台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM) |
資本財 | 航空宇宙・防衛 建設・土木 航空貨物・物流サービス 旅客機・鉄道・陸運 海洋インフラ | ・FuelCell Energy Pref(FCELB) ・ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS) ・ハネウェル・インターナショナル(HON) ・レイセオン・テクノロジーズ(RTX) ・ユニオンパシフィック(UNP) |
エネルギー | 石油を中心としたエネルギー関連の販売・精製・輸送など | ・エクソン・モービル(XOM) ・シェブロン(CVX) ・Shell(shell) ・コノコフィリップス(COP) ・Saipem(SAPMY) |
通信サービス | サービス双方向型メディアおよびサービス | ・アルファベット(GOOG) ・Tencent(TCEHY) ・メタ・プラットフォーム(META) ・T-モバイル・US(TMUS) ・ウォルト・ディズニー(DIS) |
一般消費財・サービス | 小売 ホテル・レストラン・レジャー 自動車 家庭用耐久財 | ・アマゾン・ドット・コム(AMZN) ・テスラ(TSLA) ・Louis Vuitton(LVMUY) ・ホーム・デポ(HD) ・マクドナルド(MCD) |
金融 | 商業銀行 資本市場 各種金融サービス 保険 モーゲージREIT等の業種 | ・バークシャー・ハサウェイ(BRKb) ・JPモルガン・チェース(JPM) ・バンク・オブ・アメリカ(BAC) ・ウェルズ・ファーゴ・アンド・カンパニー(WFC) ・モルガンスタンレー(MS) |
素材 | 化学 建設資材 ガラス 紙 林産品の製造業 金属・鉱業 | ・リンデ(LIN) ・BHP(BHP) ・リオ・ティント(RIO) ・Glencore(GLCNF) ・エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ(APD) |
不動産 | 不動産の販売や賃貸、管理の事業を行う企業 | ・プロロジス(PLD) ・アメリカンタワー(AMT) ・エクイニクス(EQIX) ・クラウン・キャッスル(CCI) ・サイモン・プロパティ・グループ(SPG) |
時価総額の上位に挙がっている企業は、聞いた名前も多くあると思います。
これらのセクターは、経済状況などで上昇傾向・下降傾向があり、例えば「グロース株」と呼ばれる新興産業の多い「情報技術セクター」は、好景気には強いセクターですが、一転不景気になると売られやすいセクターになります。
一方、「生活必需品」や「ヘルスケア」、「公共事業」などのセクターは、世の中が不景気であっても消費者から必要とされる業種のため、不況時でも上昇傾向となったりします。
生活必需品はトイレットペーパーなど、ヘルスケアは医薬品、公共は水道やガス。どれも売上が経済状況には影響しにくいのです。
では、経済状況に応じて各セクターに属する個別銘柄を購入すればいいのでしょうか?
実は、ETFには、各セクターの銘柄に幅広く投資する「セクターETF」というものが存在します。
今回は、この「セクターETF」について見ていきたいと思います。
セクターの範囲
業種を大きく11に分類した「セクター」ですが、ETF銘柄には、「米国だけ」と「グローバル(全世界)」という2つの対象範囲があります。
米国セクターETF
「米国セクターETF」は、「ステート・ストリート・コーポレーション」という金融機関の傘下である「ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ」が運用している「SPDR(スパイダー)シリーズ」と「バンガード」が運用している「バンガードシリーズ」の2つがあります。
これらのETFは、経費率が「0.1%ほど」と手数料体系も割安となっています。
SPDR | バンガード |
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(XLP) 生活必需品セレクト・セクターSPDRファンド | (VDC) バンガード米国生活必需品セクターETF |
(XLV) ヘルスケアセレクト・セクターSPDRファンド | (VHT) バンガード米国ヘルスケア・セクターETF |
(XLU) 公益事業セレクト・セクターSPDRファンド | (VPU) バンガード 米国公益事業セクターETF |
(XLK) テクノロジーセレクト・セクターSPDRファンド | (VGT) バンガード米国情報技術セクターETF |
(XLI) 資本財セレクト・セクターSPDRファンド | (VIS) バンガード米国資本財・サービス・セクターETF |
(XLE) エネルギーセレクト・セクターSPDRファンド | (VDE) バンガード米国エネルギー・セクターETF |
(XLC) コミュニケーション・サービス・セレクト・セクターSPDRファンド | (VOX) バンガード 米国通信サービス・セクターETF |
(XLY) 一般消費財セレクト・セクターSPDRファンド | (VCR) バンガード米国一般消費財・サービス・セクターETF |
(XLF) 金融セレクト・セクターSPDRファンド | (VFH) バンガード米国金融セクターETF |
(XLB) 素材セレクト・セクターSPDRファンド | (VAW) バンガード米国素材セクターETF |
(XLRE) 不動産セレクト・セクターSPDRファンド | (VNQ) バンガード不動産ETF |
※VNQは日本のネット証券会社では取り扱っていません
「生活必需品セクター」で言えば、両者の保有銘柄Top5は以下のようになります(記事執筆時点)。
XLP | VDC |
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プロクター&ギャンブル | プロクター&ギャンブル |
ペプシ・コーラ | コカ・コーラ |
コカ・コーラ | ペプシ・コーラ |
コストコ | コストコ |
ウォルマート | ウォルマート |
「コカ・コーラ」と「ペプシ」の順番が違うだけで上位はほぼ同じ銘柄へ投資していますね。
ファンドへの銘柄組み入れ比率は、両社ともサイトで公開しています。
これらの情報ソースを運用会社のホームページで覗いてみましょう。
XLP(ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ)
「ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ」が運用する「生活必需品セレクト・セクターSPDRファンド」は、ティッカーが「XLP」でしたね。
それでは、「ステート・ストリート」のサイトへ入ってみましょう。
「ETF一覧」から「XLP」を探して「XLP」のページへと移動します。
出所:ステート・ストリートHP
「純資産総額」や「経費率」の情報が確認できます。
「XLP」の構成銘柄は、『ベンチマークである「S&P500指数」に採用されている銘柄から構成されている』となっています。
上の画像には表示されていませんが、実際の画面でもう少し下のほうに行くと「分配利回り」や「運用実績」などの数値も確認できるようになっています。
出所:ステート・ストリートHP
「XLP」に組み入れている銘柄と組み入れ比率も確認できますし、投資しているすべての銘柄も確認できるようになっています。
VDC(バンガード)
「バンガード」が運用する「バンガード米国生活必需品セクターETF」はティッカーが「VDC」でした。
「バンガード」は、日本語サイトがありませんので、英語サイトとなります。
早速、「バンガード」のサイトへ入ってみましょう。
「Search」で「VDC」と入力して検索します。
出所:バンガードHP
「株価(Market Price)」や「純資産総額(NAV Price)」、「経費率(Expense Ratio)」が確認できます。
、
出所:バンガードHP
「XLP」とは違って、こちらは組み入れている銘柄数が100銘柄となります(画面右下に100銘柄の内の~と表示されていますね)。
「VDC」がベンチマークとしている指数は、アメリカの「MSCI社」が提供している「MSCI US IMI」になります。
中型株や小型株なども含めているため、その指数に連動する「VDC」も組み入れ銘柄に様々な大中小株が含まれます。
「XLP」では40ほどだった組み入れ銘柄数も、「VDC」では100と増えるわけですね。
グローバルセクターETF
米国の各セクターに投資するETFとは別に、グローバル(全世界)のセクターに投資するETFが「ブラックロック」という運用会社から「iシェアーズ」シリーズとして提供されています。
ブラックロック(iシェアーズ)
iシェアーズ |
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(KXI) iシェアーズ グローバル生活必需品 ETF |
(IXJ) iシェアーズ グローバル・ヘルスケア ETF |
(JXI) iシェアーズ グローバル公益事業 ETF |
(IXN) iシェアーズ グローバル・テクノロジー ETF |
(EXI) iシェアーズ グローバル資本財 ETF |
(IXC) iシェアーズ グローバル・エネルギー ETF |
(IXP) iシェアーズ グローバル通信サービス ETF |
(RXI) iシェアーズ グローバル一般消費財 ETF |
(IXG) iシェアーズ グローバル金融 ETF |
(MXI) iシェアーズ グローバル素材 ETF |
※グローバル不動産のETFはありません。
先ほどの「XLP」や「VDC」と同じように「ブラックロック」のページを覗いてみましょう。
「ファンド・ETF情報->全iシェアーズETF」をクリックして、「iシェアーズ グローバル生活必需品 ETF」のティッカーである「KXI」を探してみます。
出所:ブラックロックHP
株価や純資産総額、配当利回りなどの基本情報を確認できます。
保有銘柄が「94」となっていますが、その内のTOP10が上のようになっています。
「P&G」や「コカ・コーラ」などアメリカ企業が大半を占めていますが、グローバル企業への投資なので「ユニリーバー(イギリス)」や「ロレアル(フランス)」のようなアメリカ以外の企業も保有比率が高くなっています。
出所:ブラックロックHP
グローバルセクターとは言え、アメリカが6割弱、9割強は先進国で占められているのが分かりますね。
まとめセクターETF
さて、今回は海外ETFから業種別(セクター別)に特化したETF銘柄と各運用会社のホームページの記載内容をご紹介してきました。
セクターに特化したETFは、景気によってどのセクターが上昇するかもしくは下降するかが変わってきますので、自分のセクターETFの保有状況は経済状況によって変化すると思います。
例えば、S&P500種指数に連動するようなインデックスファンドやETFを中心に保有している場合は、それとは別に特定のセクターに特化したファンドやETFの保有比率を高めるのは戦略的にも使える方法となります。