「孤島の鬼」の概要
簑浦金之助は、婚約者である木崎初代を殺され、その疑いを親友の諸戸道雄に向ける。
学生時代から付き合いのあった諸戸が、自分に友情以上の好意を持っていると気づいていたからだ。
それを証拠に、諸戸は木崎初代を簑浦から引き離そうとせんばかりに、初代の母親に簑浦の現状が初代にふさわしくないと告げ口し、あろうことか初代にプロポーズまでしていた。
諸戸が怪しいと思いつつも、初代を殺した犯人を自分で探すために、簑浦は昔からの知り合いである深山木に応援を頼みに行く。
色々と調査し始めた深山木は、恐ろしい発見をした、と簑浦に告げた後、自身宛に届いた脅迫状を簑浦に見せる。
そして、人が混みあう海岸で何者かに殺されてしまった。
初代殺しと深山木殺しの手口が似ていると感じた簑浦は、警察に協力しながらも諸戸への疑いをさらに深める。
簑浦が死ぬ直前に深山木と会話した際に、大事な品物を簑浦宛に送っておいた、という言葉通り簑浦の元にはある品物が届いていた。
それは、乃木大将の像だった。
訳が分からなくなった簑浦は、諸戸の家に乗り込んで、諸戸を問い詰めようとした。
諸戸は、簑浦を初代に取られたくなかった、初代に求婚したが一切初代の気持ちは簑浦から動かなかった、と正直に打ち明けた。
しかし、初代や深山木を殺してはいない、と言う。
諸戸は、簑浦を抱きしめながらこう囁いた。
「僕は犯人を知っている・・」
マンガ評(少しネタバレ)
江戸川乱歩の同名小説「孤島の鬼」のマンガ版です。
美しい青年簑浦とその親友である諸戸が関わった事件を簑浦が回想しているお話となります。
諸戸が簑浦に想いを寄せているのが読者にも分かっているので、簑浦の婚約者と友人が殺されたとなると、犯人捜しを行っているとは言え、諸戸がずっと怪しく見えてしまいます。
警察が怪しんでいるのも諸戸(と簑浦)だったりするので、諸戸が疑いを晴らすために探偵のように犯人捜しを行っているのではないか・・・と。
しかし、深山木から簑浦に送られた乃木将軍の像のからくりに気づいた2人は、深山木が結構な真相に近づいていたと分かります。
そして、その真相は諸戸の生い立ち、そして彼の育った場所に関係していたのです。
後半は、簑浦がオール白髪となってしまった原因となる、洞窟の財宝探しがあるのですが、この財宝探しまでも諸戸が簑浦を誘導したように見えるところに諸戸の妖艶さがありますね。
もし助からなければ、それはそれで諸戸の思い通りになったのではないか、と。
果たして、本当の鬼は誰だったのか・・。
美しい青年たちが生きる大正の終わりから昭和初期にかけての日常を、身近に起きた殺人事件と共に華麗に描かれています。
江戸川乱歩の世界がビジュアルとして読めるので、サスペンスやミステリーが好きな方にはさらっと読める全3巻となるでしょう。
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孤島の鬼の情報
連載 | 月刊ARIA |
作者 | naked ape(原作:江戸川乱歩) |
巻数 | 3巻 |
現況 | 完結 |
1,980円から