あらすじ
8歳の頃、呪詛を引きつける体質となった主人公の拓哉は、同郷の未希と結婚の挨拶のため地元に戻ってきた。
地元の仲間であるシゲが開催してくれたパーティーに赴くが、会場には誰もいなかった。
2日前から、シゲの他にも仲間たち8人がまったく家に戻ってきていないという。
そんな拓哉の携帯にシゲから着信が入る。
「祕十村」にいるから助けて、という声がかろうじて聞こえた。
警察があてにならない、と分かった拓哉と未希は2人で祕十村に向かうと決意する。
祕十村に行くために山に入った2人は、妙な結界の内側に入ってしまう。
呪詛にやられそうになった時、2人は仲間の1人である舞と合流した。
強力な呪詛、そして呪いのハコを体内に宿す覇の子などと戦いながら、なんとか森を抜けられた。
祕十村に到着し、仲間たちが隠れている神殿へあと一歩というところで、未希が覇の子たちにさらわれてしまう。
呪詛の塊のような覇の子たちに近づけなかった拓哉は、仲間たちと共に未希を救出するため、まずはこの祕十村について知るところから始めるのだった。
感想(ネタバレ注意)
一応、このカテゴリは「おすすめマンガコーナー」ではあるのですが、正直おすすめという程ではなかったと思います。
まぁ、全部で3巻しかないですから、最終的に色々詰めたんでしょうけど、以下の点がちょっとぼやけ気味なんですよね。
ぼやけている点
- 祕十村ができあがった背景
- 覇の子7人がどのように生まれて結界にどのように閉じ込められたかの経緯
- 覇の子たちが結界を抜け自分たちを閉じ込めた人々に復讐したいという怒りの対象の描写
祕十村に元々閉じ込められていた覇の子たちの描写や強さが怖い割に、その誕生の背景やそもそも祕十村が出来上がった経緯など覇の子たちの存在がイマイチ読者に伝わりづらい。
拓哉たち仲間の細かい設定描写もそれほど多くはないのですが、覇の子たち側も同じように多くないので、前半は拓哉と既に祕十村に迷い込んだ仲間たちが、覇の子たちが待ち受ける社へ未希を助けに行く、という文章にするといたって普通のストーリーで進んでいきます。
色々ぼやけた点が多くありながら、とりあえず物語は、拓哉がどのようにして未希を助けるのかが焦点でしたね。
そこへ仲間たちも役割を分担しながら一緒に行動するわけですが、戦いの場面では覇の子の強さや悪鬼の姿の怖さがインパクトある割には、戦いの場面がものすごく短いです。
そのため見た目のインパクトほど、悪鬼や覇の子の強さがイマイチ伝わらなかったのですが、圧倒的に仲間たちが殺されてしまうくらい強いのか、3巻という紙面の都合のせいか、というところでしょう(笑)
しかし、結果的に仲間の内で裏切り者であったあの人の悪知恵が原因でした。
この裏切り者の先祖が昔「シャーマン」で、この結界を作ったのも先祖であったと後に語られますが、この裏切り者が未希へ抱いていた感情のせいですべてが振り回されていた、というわけでした。
最終的には、拓哉と未希が無事にこの祕十村から脱出できるかがカギとなるのですが、その過程でバタバタと仲間がみんな死んでいきます。
1人は最後に行方が分からないままですが、それ以外は裏切り者も含め全員死んでしまいました。
何人かは生き残って一緒に外に出られるのか、と思っていたのですが、おそらく、覇の子たちの自分たちを閉じ込めた人々への復讐が成功しているという暗示なのでしょうか。
この成功は、最後の方で覇の子のトップ「詠」が、他の覇の子たちに発した言葉へとつながっているのかもしれません。
それにしても、祕十村にいた拓哉の仲間たちは、気持ちいいくらいみんな死んでいきましたね。
結界を開けられる8人目の覇の子(ハッカイ)は、結局拓哉と未希の子供でした。
この子供は、拓哉と未希をお父さん・お母さんと認識しているので、覇の子たちから両親を守りつつ、拓哉と未希を結界の外へと導いてくれました。
ただ、覇の子の詠(よみ)は「これでいいのだ」と言います。
本来、覇の子最強のハッカイを作るのが目的で、このハッカイと共に他の覇の子全員で結界を通り抜け、人々に復讐するのが覇の子たちの目的でした。
でも、ハッカイがたとえ拓哉と未希とだけ一緒に結界の外に出たとしても、いずれは人々に災いをもたらしくれる存在になってくれると思っているのでしょう。
その言葉が合っているのかどうかは分かりませんが、結界の外をハッカイが歩いただけで、虫が死んでいたのが最後の場面なのかな、と思っています。
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価格:759円 |
祕十村
連載 | ヤングマガジン |
作者 | 宗方 馨 白輝 蓮 |
巻数 | 3巻 |
現況 | 完結 |
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