あらすじ
犬屋敷は、ローンを組んで家を建てた。
でも、家族はバラバラで自分は、娘にも息子にもそして妻にも相手にされていなかった。
ある時、飼い始めた犬と共に夜の公園へと散歩に出かけ、奇妙な体験をする。
突然とんでもない爆発に巻き込まれてしまったのだ。
次の朝、公園で普通に目覚めた犬屋敷は、はな子を連れて家へと帰る。
自分の部屋へと戻ってから自分の体の異変に気が付いた。
体の痛みは消え、視力は眼鏡なしでも見えるようになっていた。
そして病院では、何よりガンと診断されていた体のレントゲンには一切の内臓や骨が映らなかったのだ。
もちろん、ガンも消えていた・・・。
犬屋敷の体は機械になっていた。
そして、同じ夜の公園にいたもう一人の人間、獅子神晧も機械の体となってしまった。
手に入れた機械の体は最高だった。
銃で撃たれても、ナイフで切りつけられても死ぬわけではない。
おまけに体からは好きなだけ弾丸などの飛び道具を放てるし、空も飛べる。
脳内のレーダーに記憶されれば通信も可能だし、ありとあらゆる機能を取り入れたマシーンと化していたのだ。
ただ、2人とも機械になった自分の体の使い方は違っていた。
獅子神は人や物の破壊に生きている価値を見出し、犬屋敷は人を救うたびに生きているのだと実感する。
獅子神は、機械となった体でまったく見ず知らずの人を殺していたため、殺人犯として追われていた。
自分にはもう味方はいない・・・日本を敵とみなした。
つまり、日本人全員を殺して日本を消そうと決めたのだ。
殺戮を繰り返す獅子神を阻止しようと犬屋敷は初めて彼と対峙する。
獅子神は、自分も犬屋敷も同じ「悪」だと思っていた。
しかし、人の命を救った時しか生きていると実感できない犬屋敷を「悪ではない」と感じた。
獅子神は犬屋敷にやられた。
両手を失った・・というより戦闘で両手を壊された。
そして、とうとう隕石が地球に接近してきた。
アメリカ大統領の緊急会見で、3日後に地球に衝突すると言う。
核大国が核を使っても隕石を止められなかった。
犬屋敷は隕石を止めると決意する。
全世界の人を救うために。
その時、獅子神は・・・。
感想ネタバレ
まず、すいすい読めるマンガであるとお伝えしておきたいです。
この「いぬやしき」は全部で10巻あるんですけど、とにかく文字サイズが大きくて絵が多いのですよ。
午前中9時半くらいに読み始めたら午前中の内に全部読み終わってしまうくらいの勢いで読めます。
そして世界観が特殊ですよね。
でも特殊なようで、実は誰もがこのように強大な力を手に入れたら、善に使うか悪に染まるかのどちらかになるようなそんな気がします。
「強大な力」とは機械人間になったらという意味ではないですよ(笑)
おそらく地球外生命体によって体を破壊され、異物となってしまった犬屋敷と獅子神の2つの機会人間だけが、地球上の普通の生活からとてつもなくかけ離れた存在になってしまったわけです。
機械化された人間は、いわゆるスーパーマンであり死とは無縁で、攻撃力は飛び道具を手に入れ、メカニックで通信傍受や映像まで好きなように手に入れられる。
力を試してみたくなってもおかしくないですが、一方で力を使って「周りに素晴らしいと認められたい」という気持ちになる人もいるわけで、それがそのまま他者からの善悪の判断基準となってしまっているのですね。
犬屋敷は人に愛を持って接しているのに対し、獅子神は人を敵として見なしていましたが、同時に自分の母親や同級生のしおん、そのおばあちゃんには愛を持って助けようとします。
人生のベテランである犬屋敷の懐の広さと未熟な獅子神の不安定さも対比として表現されているような気がします。
でも、最後の隕石の衝突阻止では、この2つの異物がある意味協力のような形で消滅すると同時に、隕石も葬り去って地球は助かったわけです。
元々機械人間になった時点で、人間としては死亡しているのですが、機械人間の不死身の強さを手に入れても、やはりその身を”壊して”まで戦うべきものがいずれは現れるのだ、と教えてくれているのかもしれませんね。
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いぬやしき
連載 | イブニング |
作者 | 奥 浩哉 |
巻数 | 10巻 |
現況 | 完結 |
おすすめ度 |