あらすじ
高校生の佐原が学校前の横断歩道で交通事故にあった。
事故後も幽霊として学校に居続ける佐原は、事故の瞬間一緒にいたクラスメートの千秋に「なんで自分を殺したのか?」と問う。
もちろん、千秋は死んだ佐原の姿や声を認識はできないが、佐原は「なぜ千秋がこのような事故に見せかけた他殺を繰り返すのか」が分からなかった。
子供の頃、佐原と千秋とよく一緒に遊んでいた飛鳥実知も同じように交通事故で亡くなっていた。
同じく幽霊となって事故現場付近にいた実知と合流した佐原は、自分だけではなく実知を殺したのも千秋だと考えた。
佐原は、違うクラスで霊感の強いメイに話しかけ、佐原のクラスメートだった託や蓮乗、そして千秋を調べさせた。
メイが色々と調査をしていくと、託が事故に合い救急車で運ばれてしまった。
なんと託と一緒にいた千秋が事故の第一通報者であった。
その後もメイが調査を続けると、サッカー部で実知の兄である謙汰にもかかわりがあると分かってきた。
やがて、見つかってきた事故の答えと佐原の記憶。
佐原が「これ以上死者を出さない」と自分を殺した千秋におくったことばに対する千秋の答えは何だったのか?
悲しい真実だけがそこにはあったのだった。
感想(ネタバレ注意)
全3巻と短いので、割とすぐに読めるでしょう。
最初から、事故のシーンや子供も事故による死を暗示している雰囲気があり、そして幽霊になって・・と言う始まり方だったので、どんな黒いお話なのかと思いましたね。
主人公である佐原が、事故で命を落とし幽霊になってからも、自身を貶めた千秋にこれ以上同じ殺人を行わせないようにするために奔走する物語なのかと思いきや、似非霊媒師を父に持つ霊感のあるメイが佐原に頼まれてその真相を暴いていくと、どうも各人物とも皆なにか匂う・・。
ところどころ見せる千秋の怖い表情は、幼少期の体験をそのまま表情にしているだけでしたが、何か皆若いのに後ろ暗い感じがありますよね。
2巻から3巻の初めくらいまでは、千秋犯人説で進んでいたのですが、まぁ千秋も結果的には被害者のような状況に置かれていたわけです。
犯人捜しは、最終的に佐原の記憶を取り戻す旅となりましたが、それでも結果的に全員が救われた形になりました。
佐原は、人気者で正義のヒーロー像でしたが、最後が近づくにつれ、そのイメージはもろくも崩れ去ってしまいましたね。
ちょっとしたすれ違いから大事故になってしまう過程は、子供の時でも大人になってからでも変わらないものです。
この「おくることば」の各子供たちのすれ違いも、始まりはほんの些細なものでしたが、結果的に事件・事故へと繋がってしまいましたね。
最終3巻で、佐原の記憶が段々と戻ってくるあたりから、最後千秋が病院で見た光景まで怒涛の展開でしたが、リーダーシップを取れる人、仕事ができる人にありがちな「周りが自分に合わせろ」タイプはいつか佐原のように足元を救われるのかもしれませんね。
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価格:759円 |
おくることば
連載 | シリウスコミックス |
作者 | 町田 とし子 |
巻数 | 3巻 |
現況 | 完結 |
おすすめ度 |