「新宿スワン」の概要
新宿歌舞伎町を舞台に、かつて実在したスカウト会社に身を置いた作者の実体験を元に描かれる。
主人公の白鳥龍彦(関さん的に言えばタチュヒコ)がスカウト会社バーストの幹部である真虎に
「今日からスカウトだ」
と誘われ、スカウトとして歌舞伎町から渋谷、横浜、すすきの、そして再び新宿へと渡り歩く中で様々な問題に直面しながらも成長を遂げていく。
全38巻。
実際に振り込め先が横行する前に世に浸透していた「闇金」を取り締まるヤミ金対策法や迷惑防止条例によってスカウト行為が禁止される前後の話しでもあり、作者の実体験が正確な年代と伴って如実に現れるのでリアリティーのある作品となっている。
バーストが渋谷に進出する「渋谷編」や横浜に進出する「横浜編」など前半は、タチュヒコが仲間との友情や裏切り、風俗に紹介した女性たちに起こる問題など、自身のスカウトマンとして、そして社会人としての成長も垣間見れる。
タチュヒコがバースト幹部に昇格しそうな後半からは、自身が出世していく内容に加え、山城兄弟によるスカウト会社起ちあげ時の過去の話しから新宿一のミネルバを起ち上げた辰巳の死の真相、その裏で暗躍した柚木組の内部抗争、そして真虎が抱えていた真実がだんだんと明らかになり、スカウトや風俗などの裏側にあるダークな世界が繰り広げられていく。
マンガ評(少しネタバレ)
新宿を舞台にしたハードボイルドであり、友情モノであり、サスペンスでもあるマンガでしたね。
スカウト会社や仲間が闇金融に手を出したり、借金返済のためにタチュヒコがホストクラブに潜入したり、ケツモチやくざの抗争に巻き込まれたりなど裏社会の事情も事細かに描かれているため、その手の話があまり好きではない方にはおすすめできないかもしれません。
迷惑防止条例が発動される前後のスカウトの裏話的なものが単発的に続くのかな、と思って読み始めたんですけど・・。
完結まで38巻もあるし、そんなに話がもつんだろうか・・、と思って読み進めていたら、後半はある意味、一スカウトマンである真虎の復讐の伏線が随所に散りばめられ、紋舞会の天野の思惑から柚木組の内部抗争などが絡んだミステリーチックなお話へと流れていき、バースト社長となったタチュヒコと一緒にあちこち走り回った気分になりましたねぇ。
柚木組組長と成り上がっていく天野が卯月を使って情報を手に入れて、真虎の元にスパイとして送り込んでいたと思いきや、実は卯月は・・・、という展開は何となく読めましたが、レオがドン!は読めなかったですね。
タチュヒコが真虎を抱えて叫ぶシーンは、ほんの何年か前にパチンコに負けてその辺を歩いていた19歳のタチュヒコと、バーストというスカウト会社の幹部で新宿でスカウトをしていた真虎という一介の上司と部下でしかなかった二人の華々しい最後の瞬間でした。
周りからの人望とお茶目なキャラも手伝って短期間で社長に上り詰めたタチュヒコと、スカウトマンとして生きていた間、復讐とその後の死を望んでいた真虎、そしてスカウトや風俗のような世界で生きづらくなっても、散り散りとなってその世界で生き続けるスカウトの仲間達の熱く少し切ない物語です。
新品価格 |
新宿スワンの情報
連載 | 週間ヤングマガジン |
作者 | 和久井健 |
巻数 | 38巻 |
現況 | 完結 |
おすすめ度 |
6,695円から