「ラファって凄かったよね」・・・と言われたら誰を想像しますか?
ここで分かる人はもちろんたくさんいるでしょう。
分からなかったかたは、「ラファの試合凄かったよね。」だったら何となく分かりますか?
では「ラファがまたクレーで勝ったってよ」だったら?
これで最後にしましょう。
「ナダル」だったら?
「Netflixでナダルの番組やるみたい」と人に話したら、違う方のナダルを想像されてしまったのですが・・・。
そう、「ラファエル・ナダル」、2024年のシーズンで引退した元プロテニスプレーヤーです。
この人は別名で「クレーキング(赤土の王者)」と呼ばれています。
本当に最近はテニスを見なくなりました。
- ロジャー・フェデラー
- ラファエル・ナダル
- ノバク・ジョコビッチ
2000年代中盤から2010年代は、男子テニス界はいわゆるこのBig3が頂点を極めていました。
3人の内、ジョコビッチはまだ現役ですが、だいぶ往年のプレーにも陰りが見えてきていますね。
今回Netflixで、ナダルの幼少期から引退までのドキュメンタリー動画がアップされました。
このドキュメンタリーの出来がとても素晴らしかったのです。
1話が約1時間で、全4話の構成となっています。
日本で放映されるスポーツ系のドキュメンタリーだと、必ずと言っていいほどナレーションが入って、映像に集中したい時に声に引っ張られる時があります。
しかもナレーションの多くは芸能人で、主役を引き立てるために常に解説が入ります。
印象に残った試合や凄いプレーなどを中心に置いて、後はこの主役がいかに凄いプレーヤーなのか、という話が周りの選手や観客へのインタビューで明らかにされます。
それどころかそのスポーツのファンである有名人が合間に割って、その凄さを興奮気味に語る場合もあるでしょう。
効果音や曲などの音で盛り上がりを表現し、いかに主役が主役たる所以なのかを追い続ける物が多いのです。
しかしこの「RAFA」の構成を見ると、もの凄く画面に引き込まれるのです。
日本で作られるドキュメンタリーとは違い、音楽などはほぼなしで、ナレーションも一切入りません。
本人やチームスタッフ、そしてライバルであったフェデラーやジョコビッチがカメラに語る形で進んでいきます。
何より憎いのは、1話の最後の方でフェデラーが少し出て2話に期待を持たせ、2話の最後の方でジョコビッチが出て、同じく3話へと引き継がれていく構成ですよね。
無音、というより普通の生活音や試合会場の生の音、そして極々最小限の効果音をバックに、人々が語るナダルの真実が明らかにされていきます。
ナダルがいかに凄い選手だったかは誰でも分かります。
でも凄いプレーヤーだったナダルを追いかけるのではなく、ナダルが積み上げてきた歴史を関係者の話を中心に淡々と振り返っているだけに徹しているのです。
その上で、ナダルが味わった怪我による苦悩など、現役生活の舞台裏が如実に明らかにされていきます。
こんな怪我を抱え、痛み止めや麻酔などを打ちながらプレーしていた事実は中々知る所ではないですし、体力の限界が来てもなお現役を続けた精神力にはやはり凡人には簡単に真似できない何かがあります。
自分を語り、そして自分を振り返るナダルは、カメラを前に自宅のソファに座っています。
引退後ですから、こういった静かな環境がさらにナダルが語るテニス人生に重みを加えていますね。
もちろん、名勝負のハイライトも出てきます。
2007年、2008年のウィンブルドン決勝のフェデラー戦や、2012年の全豪オープン決勝のジョコビッチ戦は、テニスファンなら誰もが知るところです。
でもこの「RAFA」では、逆にだらだらと試合のハイライトを流すわけではなく、あくまでナダルの歴史を振り返る本人や関係者たちのお話の一部として紹介されるだけなのです。
ここでナダルが、このようなドキュメンタリーを組まれるくらい凄い選手だったのかを簡単に見てみましょう。
テニスでは、一番グレードの高いグランドスラムという大会が年に四回行われます。
全豪、全仏、全英、全米の各大会で優勝できるプレーヤーはほんの一握り・・・のはずが、2000年代中盤から2010年代後半くらいまでは、先ほど挙げた3選手とイギリスの「アンディー・マレー」を加えたBig4が優勝を独占します。
つまりこの時代、主要な大きい大会ではこの4人の内の誰かしか優勝できない、と言われるほどこのBig4は強かったというわけです。
ナダルは、このグランドスラムを通算22回優勝しています。
内訳は全豪が2回、全仏が14回、全英が2回、全米が4回です。
通算優勝回数の歴代1位はジョコビッチの24回、2位がナダルの22回、3位がフェデラーの20回ですから、如何にこの3人だけで独占したかが分かるでしょう。
しかもナダルは男子では唯一の記録を持っていて、それは「生涯ゴールデンスラム+オリンピックダブルス金メダル」です。
生涯ゴールデンスラムでさえ、ナダルが2008年の北京オリンピックで金メダルを取った時点では、史上2人目の快挙でした。
後にジョコビッチも達成しています
ちなみに「生涯ゴールデンスラム」というのは、現役の間に全豪、全仏、全英、全米の4つのグランドスラムタイトルとオリンピックの金メダル獲得の達成を言います。
それに加えてナダルは2016年のリオオリンピックでダブルスの金メダルも取ってしまったと言うわけです。
ちなみにフェデラーは生涯グランドスラム+オリンピックダブルス金メダルで終わってしまい、生涯ゴールデンスラムは達成できませんでした
そして冒頭で軽く触れた「クレーキング」と言う称号です。
全仏(ローランギャロス)と言う大会は、コートの種類が「クレーコート(土のコート)」となります。
このクレーコートにめっぽう強かったのがナダルで、ローランギャロスの成績は凄まじいものがあります。
【通算112勝4敗】
勝率は実に96%です。
グランドスラムは1つの大会で優勝するまでに7戦あります。
毎年決勝まで勝ち残るのを15年続けても105回しか戦えないわけですから、116戦というのはお化けのような数字です。
つまり116回も戦える選手など、他にはまずいないわけです。
そしてケガの影響のあった時期や引退間際に出場して負けているのを加味すれば、全盛期で負けたのは「1敗」だけと見ていいと言えるでしょう。
このナダルの「1敗」があったおかげで、フェデラーはローランギャロスをたった1度だけ制覇でき、生涯グランドスラムを達成できました。
興味があるかたはWikiなどで色々調べてみてください
ナダルは、この「RAFA」という番組の最後にこう語っていました。
もし記録が破られるとしたら。
ジョコビッチの24回というグランドスラム優勝回数の方が先だと思う。自分が達成した1つの大会で14回優勝する方が難しい。
穏やかに自分を振り返ってきた「クレーキング」が、最後に少しだけ意地を見せた瞬間でもありましたね。
「RAFA」は、Netflix独占で現在も配信されています。
