昨年ごろからやたらと「3年B組金八先生」を観るようになったんですよ。
Tverで全シリーズ放送されている影響もあって、何の気なしに第6シリーズから見始めました(おいおい)
筆者の年齢は現在49歳です。
「3年B組金八先生」と言えば、小学生くらいの時に第1シリーズや第2シリーズが再放送で入っていたのを親が見ていたような記憶があります。
その後もシリーズはスペシャルを挟んでシリーズ8まで続いていたわけですが、金八先生というドラマがあると知った小さい頃からつい最近までの40数年間に、筆者は率先してこのドラマを観ようという気持ちにはならなかったのです。
そもそもドラマ自体をほとんど見ない人生でしたね。最後に見たのは「踊る大捜査線」だったかも・・
なぜ金八先生を敬遠していたのか・・。
それは第2シリーズで中島みゆきの「世情」をバックに「加藤優」が警察に連れていかれるシーンを見ていた親が、涙を流しながらドラマを観ていたからです。
あまり親の涙を見る機会がなかったのもあり、なぜかこの暗い感じの不良生徒が警察とワチャワチャやりあうシーンに、何かこう見てはいけないものを見てしまったようなトラウマみたいなものがあったのかもしれません。
その後も「金八先生の名場面」みたいな過去作を振り返るような番組をたまたま目にすると、あの「加藤優」のシーンが必ずと言っていいほど放送されるわけです。
そのたびに「あぁ、金八か」という感じで、まったく興味も湧きませんでした。
しかし40も半ばを過ぎた頃から、少しだけ時間に余裕ができたのと当サイトでメディアコンテンツのお話をするためにも、少しずつドラマを観るようにしたのです。
そして身近なかたに「金八先生ファン」がいて、筆者が金八先生を観ない経緯を話してみたら「いや、とりあえず実際に全話見てみるといい」と言われ、仕方なく観始めたのです(おいおい)
その時Tverで入っていたのが「第6シリーズ」だったわけで、それから7,8,ファイナル,卒業スペシャルと順番に観ていきました。
「不良生徒たちを熱血教師が改心させていく」ようなハードな教育から、やがてお決まりの先生と生徒たちが一つになって・・そんなイメージを抱いていた筆者は、だんだん回が進むごとに一緒に生徒を見守る気持ちで観るようになっていったのです。
「不良の根性を叩き直す熱血教師」から「本当の学校の1クラスで起きているドキュメンタリーのようなイメージ」に変わった、とも言えるでしょうか。
筆者が年齢を重ねたせいもあります。
現在は教師や巡回警察官と同じ大人目線で見るわけですから、昔小学生の時に少しだけ触れた時のように「中学生みたいな大きい人たちの危うさを怖い」とは思いませんしね。
単純に「懐かしい中学生という子供たちの学校生活」を面白いと思って観られるようになったので、金八先生に対するイメージも変わったのでしょう。
卒業スペシャルでは金八先生のシリーズ終了に立ち会うために、これまでの3年B組卒業生の内、参加できた人たちが一同に桜中学の体育館に集まるという見ごたえのあるシーンもありました。
全話見た方がいい、と言われたものの最初のいくつかのシリーズを見逃してしまい後悔していました。
「次に金八先生がTverで放送されたら、今度は最初のシリーズから全部観てみよう」
と、思っていた矢先に前回の放送から間髪開けずにまたTverで金八先生が始まったのです。
今度は第1シリーズから順番に観て、現在かの有名な第2シリーズを観覧中となります。
さて、前置きがだいぶ長くなりました。私は何を言いたかったのか・・・
以前にちらっと少しだけ見た時の印象や「名場面」などのように瞬間を切り取られたものを鵜吞みにするのはやはり危険だな、と再認識したのです。
そう思わせてくれたのは、やはり「加藤優」でしたね。
第2シリーズの警察が学校内に突入するシーンは、良くも悪くも筆者から「金八先生を遠ざけた」わけです。
しかし改めて最初からすべて観てみると、「加藤優」の印象はだいぶ変わります。
暴走族のたまり場である「スナックZ」でアルバイトをしていたり、松浦(演・沖田浩之)と殴り合いの喧嘩をしたりヤンチャな一面はもちろんあります。
それを差し引いても、八重子や他のクラスメートとの接し方、松浦の母親のお産を助けるための奔走など、普段の言動を見る限り、あの警察に介入され引きずられていた加藤優だけを見ていたら、完全に誤解していたと思うのです。
第2シリーズの重要人物である「加藤優」は、ダークなイメージで人気が出たのかもしれませんが、実はシリーズを通して観てみると男気のある名前通りの「優しい奴」でもあったわけです。
人からちょっと聞いただけだったり、うまくまとめられたものを見せられただけでは、その本質というのははっきりと見えないものだな、と改めて思いましたね。
ただ残念ながら前述のとおり、シリーズ6から卒業スペシャルまでを先に観てしまった筆者は、本質を見過ぎてしまった部分もありました。
それは第2シリーズの以下のシーンが流れた時です。
他の私立高校で受験の最中だった生徒たちの代わりに、内緒で各高校の合格発表を見て回り、公衆電話から金八先生に「誰々が受かっていた」という報告をするシーンがあります。
金八先生に「なんだお前、代わりに見に行ってくれていたのか。お前から連絡をもらったんだって、みんなにも伝えておくよ。」と言われた加藤優は、照れ隠しで、
「きんぱっつぁんが気ぃ揉んでると思ってさ。髪の毛薄くなったろ」と金八の頭皮を心配する発言をするのです。
筆者は思わず微笑みました。
「いや、可愛そうだが加藤。君がそうなるんじゃよ。フォフォフォ」
ファイナルから卒業スペシャルですっかり変化を遂げた「加藤優」を見て、これもまたある意味「世情だろうなぁ」と感じずにはいられないのでした。

