街中を歩いていると、「〇〇寝具店」という昔からずっとやっているような寝具店を見かけたりします。
一般市民が布団を購入するタイミングなど数年に1回あればいいくらいだと思うのですが、このような寝具店は意外に(と言っては失礼ですが)ずっと商売を続けているような気がしませんか?
以前は、「嫁入り道具」として購入されるケースが多くありました。
その内訳は布団だけでなく、お客様用の布団や座布団なども含めた布団一式だったので、寝具店側としては値段の高い高級品が売れる理由の一つにもなっていました。
その寝具店で購入した新婚夫婦は、買い替え時にも同じ寝具店を利用するという正のスパイラルができあがっていたわけです。
また、購入とは別に「修繕」対応も行っています。
いわゆる「打ち直し」というもので、長く使用して硬くなった布団を機械でほぐしながらゴミや塵を取り除き、新品と同じように使えるようにするため、「リメイク」とも言えるかもしれませんね。
長年使ってきた布団をまだまだ使い続けたいお客さんにとっては、寝具店のこのような修繕対応があると助かるでしょう。
今では、アスリート推奨の高級マットレスや低反発枕などが大々的に宣伝されていますが、昔ながらの寝具店ではこのような商品を並べたりはしないでしょう。
「嫁入り道具」というものが死語になりつつある今、「打ち直し」の依頼も減少していると思うのですが、このような寝具店は現状どのような形で収益を上げているのでしょうか。
一番大きな収入源となるのは、やはり「貸し布団サービス」でしょう。
病院やホテルなどで寝具を多く必要とする場所に対して、メンテナンス込みでリースやレンタルを行うのです。
常に新しい寝具を必要とするこのような場所では、毎回新しい布団などを購入するよりメンテナンスが付いたレンタルサービスの方が使い勝手が良く、寝具店側にとっても大きな需要のある取引先となるので、双方にとってプラスの効果があるのでしょう。
先日、葬儀場に大量の布団を運んでいる寝具店を見ましたが、このような葬儀場に宿泊するご家族のかたへの布団も、葬祭会社が寝具店のレンタルを利用して用意しているのが分かりますね。
この「貸し布団」の形態というのは、現代では非常に様々な形で使われています。
それが「サブスク」ですね。
寝具店というのは、正に収益構造を「サブスク」に頼ったビジネスモデルを構築しているわけです。
病院やホテル、葬祭場などは民間企業が多いので直接取引できますが、例えば警察や消防など寝泊りが発生するような官公庁相手の場合、料金によっては事前の入札にも参加できるような体制を取っておく必要があるでしょう。
そういった意味で、取引先が官民かかわらず、そして販売形態が購入及びレンタルにかかわらず寝具店は様々な体制を取っておく必要があるのです。
同じサブスクでも「VOD」のようなネット上だけで完結するものとは違い、実物の運搬や引き上げがある以上、車両や人手の確保も必要となりますから、「町の寝具店がなぜ潰れないのか?」と言う疑問は、その業界の人達にとっては「余計なお世話」なのかもしれませんね。