この3人の名前、誰だか分りますか?
苗字も何もなくただ「たけし」と言っているにも関わらず、まず「ビートたけし」が出てくると思います。
同じように、「さんま」と言われても魚の「秋刀魚」よりはまず「明石家さんま」が浮かぶでしょうし、「所」とか「所さん」とか言えばやっぱり「所ジョージ」が思い浮かびますよね。
テレビが黄金時代ではなくなった現在も様々な番組で活躍しているこの3人と共に、多くのテレビ番組を制作してきた元日テレ名物プロデューサーが「この3人がなぜ凄いのか」を語っているのが以下の本になります。
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久しぶりに読み返してみましたが、2017年が初版なんですね。
もう7年も前です。
2017年当時から昔のテレビ番組を振り返りつつ、この3人の番組に対する向き合い方など、著者である吉川氏が生の現場で見てきた情報をそのまま書いてくれている名著です。
昔よくテレビで見た懐かしい番組の裏話も多く、コンプライアンスなどなかった昭和・平成初期世代のかたにとっては、あの頃テレビを見て大笑いした日を一瞬で思い出すかもしれません。
さて、3人とも凄いと語る著者の吉川氏が、特に大絶賛している人がいます。
それが、「所ジョージ」ですね。
一見、たけしやさんまと違って「強烈な個性がない」と見られがちな「所ジョージ」の凄さを本の中から抜粋して、少しご紹介していみたいと思います。
「クイズ笑って許して!!」の毒消し
現在でも続く人気番組、「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」の前身である「クイズ笑って許して!!」の放送当時から、有名人の誰がスタジオゲストに来ているかを街頭インタビューを見て、パネラーが当てるおなじみのコーナーがある。
所ジョージは、この司会で見事な毒消し役を果たす。
その日は、ようやく「タモリ」がゲストとして来てくれた回だった。
いつものように街頭に出て素人にインタビューでタモリの印象を聞くと、「気持ち悪い」、「気味が悪い」と散々な言われようでだった。
当のタモリは大爆笑していたが、それをうまく軌道修正したのが所ジョージだった。
また、パネラーに「横山やすし」がいて、ゲストとして東京に進出してきたばかりの「笑福亭鶴瓶」が来た時には、横山やすしが「なんで東京に来た!?」と大暴れして悪態をついていたが、番組収録が終わって、やすしが帰宅する時には機嫌が良くなっていた。
おそらく所はやすしに対して何か言ったり諭したりしたわけではないが、それも「所ジョージ」のなせる技なのかもしれない。
テレビの向こうを意識している
「所ジョージ」は、カンペー(ADがカメラの横などで出すカンニングペーパー)を一切見ない。
そして、どんなに感動的なVTRを見ても涙を流さない。
それは、お茶の間を意識しているからだ。
カンペ―を見て読んだら、テレビを見ている人は「なんか読んでいる」とすぐに分かるし、司会者がゲストと一緒に涙を流そうもんなら、「見ている方がしらける」。
番組の進行内容やゲストの情報などを事前にきちっと把握している所ジョージは、番組が逸脱した時に正しい場所へと戻してくれる。
そのため、司会進行上の間違いは滅多に起こらない。
自己客観能力が凄い
「所ジョージ」が収録で発した言葉に、「オンエアで使えない」ものがない。
そんな所は、以下のようにも言う。
・収録であっても、生放送のような「編集なし」が望ましい
・タレントや芸人をひな壇にたくさん入れるような番組はやりたくない
これは、ゲストを山ほど積み込み、カメラを長回しする最近のテレビ制作に苦言を呈している。
映画界からも重宝される
黒澤明、宮崎駿ような映画界の重鎮からも慕われた。
特に、世界の巨匠「黒澤監督」とのエピソードは、味わい深い。
エピソードの詳細は、本に書かれています。
「トイ・ストーリー」に声優として出演した所を「崖の上のポニョ」でポニョの父親役に抜擢したのは宮崎駿である。
林家正蔵へのプレゼント
林家正蔵(旧、林家こぶ平)が、真打襲名披露の時に「所ジョージ」に渡されたのは、「林家」の家紋である花菱が刻まれた刀の鍔であった。
鍔は銀色のラッカーで塗られていたが、後日正蔵が古美術商に見せると、「ラッカーを塗らなければ100万円以上の価値があった」と言われた。
なぜ、所は価値を落としたプレゼントを正蔵に渡したのか?
正蔵は、プレゼントを入れてあった桐箱のふた裏に何かが書いてあったのを見つけた。
そこには、「〇〇〇〇〇〇〇〇〇意味がない」と書かれていて、それを読んだ正蔵は軽くめまいがしたと言う。
(まとめ)そして世界まる見えへ
さて、今回は昔読んだ本の「たけし、さんま、所のすごい仕事現場」を案内してみました。
テレビの黄金時代に見ていたテレビ番組ばかりで、それらに出演していたこの3人が今でも第一線で活躍しているのは本当に「すごい」と思いますね。
著者は「所ジョージに救われた」と書いていましたが、現在も続く「世界まる見え!テレビ特捜部」も企画からレギュラー化する時に、まず思い浮かんだキャスティングが「所ジョージ」だったそうです。
その後に、楠田絵里子とビートたけしが決まりましたが、確かに所ジョージはいい意味で暴走するたけしとマイペースな楠田絵里子とその他ゲストのまとめ役になっていますよね。
所ジョージのあの脱力感を維持しつつ、番組進行やゲストなどとの落ち着いたやり取りを見ていると、見ている方にも安心感があります。
今回は、所ジョージの話の部分を拾ってみましたが、もちろんたけしやさんまの話も読みどころ満載で、リアルなお話を通して「プロと言うのは現場でどのように考えて行動する」のかがとても面白く、二度目なのに思わず一気読みしてしまいました。
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