「熊が出没した!」
というニュースは、近年本当によく聞くようになりました。
それも、一昔前のような郊外の山里だけではなく、普通の住宅街にも出てくるようになり、各自治体は熊避け対策に必死です。
熊の習性として、自分の行動範囲で味をしめたものを見つければ、再びそこを訪れる可能性は高くなります。
熊の興味を引くものを外に置かないようにするのが、一番いい対策なのですが、中々そういうわけにもいかないでしょう。
特に、家庭菜園などを行っている場合は、すぐに片づけるわけにもいかず、どうしても狙われやすくなりますよね。
最近は、人がたくさんいるような住宅街でもよく出没するようになったとは言え、まだまだ熊が出やすいのは自然の多い田舎の方が圧倒的でしょう。
実は、このような少し人里から離れた地域では、熊が寄ってきやすいある物が置かれている可能性が高かったりします。
そう、それは「コンポスト」です。
「コンポスト?」という人の方が多いと思いますので簡単に説明すると、家庭内の生ごみを発酵して肥料にしてくれる容器を言います。
コンポストを使う利点は以下の通りです。
- ゴミ出しの手間が掛からない
- ゴミの焼却による環境負荷の軽減
- 自作の堆肥を肥料として使える
一番大きな点は、自宅で出る生ごみをそのまま肥料に転換できる点でしょう。
生ごみの処理と肥料づくりを同時に行えるわけですから、環境にもやさしいという社会的意義から「コンポスト」を置くご家庭は結構いらっしゃると思います。
逆に不便な点としては以下のようになります。
- 悪臭や害虫が発生する
- 微生物が分解できないゴミはコンポストに入れられない
- 肥料ができるまでに時間が掛かる
コンポストの設置は簡単にできます。
適切な場所に穴をあけたら地中10cmほどに埋め込まれるように設置するだけです。
コンポスト自体も価格が安く手に入れやすいため、地方であれば「コンポスト」で肥料を作っているというかたは多いかもしれません。
しかし、この「コンポスト」に熊が狙いを定めるのです。
熊の嗅覚は、犬の6倍~8倍と言われるほどとても強く、数km先でも匂いをかぎ分けると言います。
実際に、北海道のある自治体で熊が頻繁に目撃されるようになった時に、一帯に「コンポストを設置しないように」という通達をしたほどでした。
人口が少なかったとは言え、この自治体としてもそのような通達をするのは難しい判断だったと思います。
地方だと家の庭も広く、野菜や花の栽培をしているご家庭も多いので、その流れから「コンポスト」を設置するわけですが、これが却って熊を寄せ付けてしまっているのですね。
先ほどの自治体のように、どの家でも「コンポスト」を設置してしまうと、なおさら熊をおびき寄せてしまうために、最終的に「コンポストを置かないようにする」というのが熊避けとしてはある意味正解だったのかもしれません。
資源のリサイクル、環境問題などに対応し、地域で暮らす人々が簡単に導入しやすいというメリットばかりに見えるものでも、やはりどこかで大きなデメリットは発生するものです。
普段の生活でも、デメリットとメリットの境界線を決めて、メリットを増やすのかデメリットを減らすのか、そしてこういう時こそビジネスチャンスが転がっていたりするものですね。