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フリートーク

量と質の勘違い

2026年5月26日

先日知り合いのかたと少し雑談していた時に、そのかたの「又甥」についてのお話となりました。

たびたび出てきそうなので、仮に「和田さん」とでもしておきましょうか。

そうそう、お話を振られた時に「いや、実は又甥がね、~」から始まったのですけど、「またおい」がすぐに分からなかったですね。

話を聞くと、和田さんの弟さんの息子さんの息子さん、つまり甥っ子さんのお子さんとなります。

「息子がさあ~」とか「いとこがさあ~」であればまだ瞬時に理解できますけど、又甥になると頭に家系図を浮かべながらでないと中々どこの人かが出てこないですね。

まあそれはさておき・・。

この又甥さんが、どうやら4年勤めた会社を退社なさったようなのです。

そこそこ名の通った企業で、「運よく入社できたようなんだけどね」と和田さんも前置きしつつ、勤め始めてから2年くらいはちゃんと会社に通っていた、と言うのです。

ところが、3年目あたりから定期的に会社を休むようになってしまい、4年目はちょくちょく休むようになってしまいました。

この又甥さんは現在27歳で、就職浪人中です。

大学卒業後の新卒入社でしたから、現在は1年近く職探しをしているような状態ですよね。

弟さんから話を聞いた和田さんもため息交じりに「会社に行かなくなった理由がねぇ~。なんとも・・」と呆れたようにこう話してくれました。

又甥さんは色々な趣味を持っていて、休日はしっかり休みたいタイプなんだそうです。

会社としても福利厚生がしっかりしていて、有給もきちんと消化できそうだったので、入社できた時の又甥さんは非常に喜んでいました。

しかしいざ入社してみると、それなりに自信のあった又甥さんは仕事の難しさに直面します。

当の本人のやる気とは別に、その当時の上司からは「仕事を満足に教えてもらえない」というマイナスな感情もあり、中々うまくいかなかったようです。

ただ又甥さんの要領の良さもあって、最初こそ少しつまづきながらも段々と仕事のコツを掴んできた、と言うのです。

それから1年、2年と月日が経ち、逆に又甥さんの仕事の質が上がって来ると、色々と任されるようになってきます。

今度は休日出勤や残業が当たり前となり、思っていたよりも忙しくなってしまいます。

そう、趣味の時間も取れなくなってきたわけです。

ただそれらはブラック企業と言われるものとは程遠く、むしろ忙しく仕事を任されるのはいい傾向なのでは、と周囲からは思われるくらいのものでした。

仕事量が増えた。

それが理由で、又甥さんは何かと理由を付けて、遅刻や欠勤などをするようになってしまいました。

そして現在に至っている、と言うのです。

ここまでのお話を聞いて、和田さんには「割と今の時代の若者にはありがちなお話である」と伝えました。

まず又甥さんが入社した当時の上司について見てみましょうか。

このかたの立場で見ると、これはもう完全に「パワハラ対策」ですよね。

パワハラと言われないように、程よい距離感を保とうとする。

距離を詰めて教え込むより、少し離れた位置からそっと見守るわけです。

現代ではパワハラの逆で、ホワイトな環境を目指すあまりにきちんと教育しない「ホワイトハラスメント」と呼ばれてしまうかもしれません。

面倒くさいですよね。パワハラ対策をすると今度はホワハラだと言われる。

会社の上司さんには多少同情してしまいます。

それでも又甥さんの要領の良さで、会社としては何とか仕事も覚えてもらったし、続けて働いてもらえそうな目途が立った。

すると会社としては当然、仕事ができる人にどんどんと新しい仕事を任せていきます。

これは企業の在り方としては当然なわけです。

将来の会社の利益を上げるために、これまで社員教育をしてきたわけで、順当に育ってきた社員には活躍してもらわなければなりません。

パワハラに気を付けながらですけどね(笑)

すると、又甥さんは自分の時間が取れなくなったために、会社に行きたくなくなってしまった。

おそらく自分なりに仕事の質を上げて、自分の趣味のために今後の仕事量を最小限に抑えようと努力したのでしょう。

会社としては仕事の質の高い人から仕事量を多くするのは、仕方がないと思うのです。

質が少し上がったから、その中の自分のペースで仕事量をセーブしたい又甥さんと、仕事を割り振りたい会社の果てしない攻防の末、又甥さんは周囲が呆れるほどの選択をしてしまったというわけですね。

時代と言えばそれまでですけど・・。

「働き方改革」や「ブラック企業」などという言葉によって、仕事の量は少なく自分の時間を持てる生き方が推奨されているのは事実です。

しかし質というものに上限はなく、量があってこそ質が上がるというものです。

又甥さんは要領が良く、自分なりに質を上げて満足してしまったのかもしれません。

しかし入社当時の「あまり教えてもらえなかった」というマイナス感情を忘れていなければ、次は自分が教える番であり、その姿を次の新しい世代に伝えていくためにも、もっと量をこなしていかなければならなかったと思うのです。

質をうまく上げられたために、そこで上限を決めて量を調節しようとする働き方が、今の時代には根付いているのかもしれませんね。

和田さんや又甥さんの実の祖父である弟さんが嘆くのは、それは最もです。

どちらかと言えば筆者も和田さんたちに同情してしまいます。

こういう話をすると、「じゃあ、あんたたちの時代みたいにがむしゃらに何でもやれと言うのかよ。」と言われそうですね。

このイメージというのは、休みなく毎日長時間働いて、家には寝に帰るだけで、終わらなければ会社に泊まり込む、そんなところでしょうか。

そうではないのです。

自分のやりたい仕事、とりあえず今はしょうがなくやっている仕事、何でもいいです。

これらの仕事の質を上げるには、量をこなすしかありません。

正に同じような作業の反復を1年中やっている場合もあるでしょう。

それと同時に以下のような自分にしか分からないものは、すべて自分が決めなければなりません。

  • 少し休息の取れるタイミングの見極め
  • 体の不調をきちんと相談できる勇気
  • 自分を追い込むタイミング

休んでもいいのです。

でもそれは次の量をこなすためのステップです。

今少し無理をし過ぎて調子が悪い、と思ってもいいのです。

自分の不調を感じたら休息を取って、次に備える。

そうやって自分を管理し、それを会社側もしっかり寄り添ってあげる。

それが本来の働き方改革の意味であって、「自分の仕事量を自分の都合だけで減らしたい」というのは「働き方」でも「改革」でもありません。

質だけを見るのではなく、量があってこその質です。

経験値を手に入れてレベルアップするには、敵を倒して倒して倒しまくるしかないのです。

和田さんと和田さんに寄り添った筆者、そして何より当事者を心配する和田さんの弟さんが言っている「がむしゃら」の意味が、いつの日か当事者に届けばいいな、と願うばかりです。

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