【プラットフォームに依存する】
という状態は何を意味するのか。
それを現場の経験から話してくれている記事がこちらです。
なぜ、最悪の業績なのに年商の20%にもあたる1億円の売上を手放してまで楽天市場から退店するのか
若くして就任した三代目社長が、自社の紹介から始まり、社長就任を経て現状に至るまでの経緯を細やかに記載している内容になっています。
そして、大きな決断として挙げられているのが、「長年契約していた楽天市場からの退店」、つまり「プラットフォームからの撤退」というわけです。
プラットフォームの例
「プラットフォーム」って今の世の中たくさんありますが、以下にざっと挙げてみました。
プラットフォーマー | 内容 |
---|---|
Airbnb | 世界中の個人や事業者が提供する宿泊施設をオンラインで予約できるサービス。伝統的なホテルにとどまらず、ユニークな宿泊体験を求める人に人気がある。 |
メルカリShops | オンラインショッピング。売上発生時に、売上代金から手数料を自動的に徴収する。 |
Uber Eats | 飲食店のデリバリーサービス。配達員は自転車などもOKで、自分の就業時間を自由に決められるメリットがある。 |
Crowd Works | 仕事情報を公開するサービス。質のいい仕事職人を探したい場合など企業でも個人でもスキルに合った人材をすぐに探せる。 |
他にも、自営業の配送ドライバーと荷物を運んでほしいお客さんをつなげるサービスや出会い系サイトも一種のプラットフォームとなるでしょう。
つまり、サービスを提供したい人とサービスを受けたい人を繋げる役割を果たしているのが「プラットフォーマー」であり、彼らの運営による収益は、サービスを利用している方々からの手数料となります。
楽天市場の利用が資産価値向上になるのか
今回の記事では、楽天市場のお話が出てきましたが、この楽天のサービスももちろんプラットフォーマーであり、以下の両者を繋げています。
- ECショップを運営し広くお店を知ってもらいたい・商品を買ってもらいたい出品者
- いい商品を購入したいというお客さん
「楽天市場」というのはWeb上の巨大なショッピングモールなので、出店している企業や個人がたくさんいます。
当然、自社が販売している商品や商品カテゴリーが他社とかぶるなんてのはざらにありますよね。
この社長さんは気が付いたわけです。
楽天市場での作業を改めて見直してみた結果、自社の売り上げを少しでも伸ばすために注力した作業が、絶対の自信を持っている自社商品の商品価値を高めていたのではなく、たくさんのお客さんに見てもらうために少しでも検索順位を上げるためのSEO対策やキーワード選定ばかり必死になっていたんだ、と。
ここに気が付かず、価値ある資産を持っている人がプラットフォームに足元を救われている人や企業をいくつも見てきました。
売れればそれでいい、とばかりにショップ対策に注力してしまい、自社商品の開発や価値向上をおろそかにしてしまった場合です。
本当にいい商品、そして販売する人たちが自信をもって売りたい商品なのであれば、プラットフォームを使わなくても自社サイトでショップを構築するなど、売上を伸ばす方法はいくらでもあるはずです。
以前、こんなやりとりがありました。
ECショップ運営のほぼすべてを楽天市場やヤフーショップをメインとして、月商6~7,000万円を売り上げてきた経験者に、
「それだけ売れているのであれば”楽天市場”のような余計な手数料が発生する場所で販売しなくても十分やっていけるのではないか」
と聞いたのです。
すると、その経験者はこう返してきました。
「いや、楽天からの流入は大きい。ここを閉鎖すると大幅に売上金額が落ちるから楽天からの撤退はできない。」
楽天市場でのSEO対策が順調だったため、楽天ユーザーの検索ヒットから逃れられない状態だったわけですね。
まさにプラットフォームの力を使って”楽”をしてしまった典型です。後戻りができない状態...。
今回の記事でも上で挙げた話と同じように『楽天市場での売上は年商1億円も発生していた』と書いてありました。
それでも、この会社は「自社の資産価値の見直し」、「余計な仕事からの解放」、「新たな販売方法の模索」と総合的、また段階的に考えて勇気ある決断を下したのです。
資産価値を高めるとは
私自身もショップ運営に携わった経験はあります。
OEMで自社商品として販売しようと思った商品写真が既に「楽天市場」で販売を行う前提でカスタマイズされているのを見て、
『楽天市場で売らないでどこで売るの?』
と言われている気がしたり、
『ECショップ=楽天市場のような巨大ショッピングモール』
という図式を当然のように語るショップ担当者がいたり、様々でした。
自社の資産を向上させ、世に提供するのであれば、それは「プラットフォームに依存しない」という意識を持つ必要があります。
たとえ人が多く集まるところにいなくても、自分(自社)がいる場所に人が集まってくる...。
最初は大変かもしれませんが、「価値を高める」というのは自分の信念に基づいた行動の先にあるものだと思っています。
まとめ
今回は気になったnoteの記事について語ってみました。
「UberEats」もそうですが、実は配達員には働いた分のお金は入ってくるかもしれませんが、「配達の経験」以外の資産価値は何も生まれません。
「配達の経験」を基に『こういう配達サービスを起ち上げよう』という新たな企業価値が生まれれば別ですが...。
配達員が働けば働くほど潤い名声が上がっていくのは「UberEats」となりますが、規模は違えど楽天市場としくみは同じわけですね。