3日ほど前、筆者の自宅に「ガーさん」が遊びにやってきました。
筆者の部屋に招き、2泊していただいた後の3日目の夜に無事にお帰りになりましたので、十分休息を取られたのではないかと思います。
最近本州の方は梅雨が明けたようですね。
筆者が住む北海道は本州のような梅雨という雨はなく、気温も夜は20度ほどの涼しい日もあり、おそらく梅雨をご生活中である方々よりは幾分快適な生活をしているかと思われます。
筆者が移り住んだ12,3年前の夏だと、電気屋やホームセンターなどには扇風機しか売っておらず、クーラーがない家の方が当たり前でした。
『なんか夏も暑くなったよね』というのはここ3,4年ほどで顕著になってきたでしょうか。
今ではすっかり夏にクーラーが並ぶお店も増えましたね。
快適な日々が多いとは言え、さすがに北海道の夏でも必須アイテムになってしまったようです。
ひいき目に見ても北海道の人は暑さに弱く、27,8度になると『暑い・暑い!』と大騒ぎになります。
そんな年々暑さを増す北海道の夏ですから、クーラーの設置率がだんだんと増え、夜になっても外が少し蒸し暑く感じる日も増えていきました。
クーラーを設置している筆者の家に遊びに来てくれた「ガーさん」も人工的な涼しさに酔いしれていたかもしれません。
きっかけは単純でした。
その日、日中の陽射しが照り付ける時間帯も風が吹いていたので、扇風機と自然の風だけで執筆などの作業が捗りました。
部屋の窓を開け網戸にして、裏の森で鳴いている鳥たちの声を聞きながら夕方過ぎまでパソコンの画面とにらめっこをしていたわけです。
そういえば、以前にも語っていたかもしれませんが、筆者の自宅の裏は少し広い森のようになっており、この木々の向こう側に行くにつれなだらかな斜面になっています。
そのため、シカやキツネの生息確認はもちろん、様々な鳥の鳴き声も良く聞こえてくるのです。
夜になり、雨がしとしと降ってくるとその辺で蛙が鳴き始めました。
山の下の方とは言え、中腹に位置する我が家は、湿気が増えてくるともやのような霧のような白いガスで周辺が覆われていきます。
そう、そのために部屋の窓を閉めようと思ってアコーディオン式の網戸を閉めた時です。
アコーディオンの網戸というのは窓よりも内側にあるため、網戸が横滑りして格納部分に仕舞われてから、開いている窓を閉めますよね。
この一瞬でした。
網戸がスライドして窓を閉めるまでのわずかな間、完全に部屋と外の空間が繋がった状態の時に・・・。
「蛾ーさん」がやってきたのです。
一直線に向かった先はクローゼットの上でした。
部屋に遊びに来た「蛾ーさん」は、開いていたクローゼットの上を目がけてまっすぐ飛んでいきました。
筆者は訳が分からず、時間にして3秒ほどフリーズしていたでしょうか。
いや、確かに虫も多いので、いつもなら網戸を閉める前はちゃんと確認をして、なんならエアースプレーを吹きかけつつ窓を閉めていたんですけど・・。
この日は油断をしていました。
雨が降っていたのもあり、早く窓を閉めたかったのもあり、それほど確認もせず網戸を閉めた一瞬のスキを彼(彼女?)は見逃さなかったのです。
体の大きめな「蛾ーさん」だったので、窓からお帰りいただくか、蝿取りでパーンとはたいてからつまんで外に放り投げるか、あ~、いやお帰りいただくかのどちらかしかありません。
しかし筆者の切実な思いもむなしく、そこから「蛾ーさん」は2日ほどクローゼットの中でしっかりお休みになられました。
3日目はお腹が減ったのかもしれません。
少しの間お姿をお隠しになられていた「蛾ーさん」もついにクローゼットの外へと出てきました。
もちろん、この間クローゼットは完全に閉められず、普段まじまじと見るわけでもないクローゼットの上の方をこの2日間で何回見たでしょうか。
木や草のない筆者の部屋で、木の代わりにしがみついていたのはやはりカーテンでした。
普段カーテンを閉めず、常にくるくる巻き状態のカーテンは、「蛾ーさん」にとってはしがみつくにはうってつけだったのでしょう。
じっとしがみついているその茶色い背中に少し哀愁を感じながらも『これは”はたく”方だろう』と意を決し、気絶してもらうために、筆者は極限の集中力で蝿取りを振り上げました。
・・・というわけで3日目にして無事気絶してもらった「蛾ーさん」はお外へお帰りになりました。
実は、1発目ではたいただけではダメでした。
地上すれすれをはたはたと飛び回り茶色い天板のデスクの方へと滑り潜っていった「蛾ーさん」を探すのに本当に手間取りました。
デスクの上の物を一つ一つ丹念に調べ上げすべて脇にどかし、脇にどかした途端にデスクの汚さが目につきよくある脱線の「プチお掃除」を開始してしまったのです。
『どこに行きやがった・・?』あ、いや『どちらへ行かれたのか・・?』と独り言を言いながら探していたら天板の色と同化してじっと息をひそめていた「蛾ーさん」を発見。
2発目、 そして3発目でようやく・・・。
『既に2時間じゃん!』なんて時間を無駄にされた憤りで叫んだり、予想以上にかいた汗をぬぐったりする時間を経て、筆者の気持ちも無事に外へのご帰宅となりました。
虫の多い季節ですね。
虫が部屋の中に入ってきても慌てないでください。
部屋に入ってきた「蛾ーさん」は、窓を開けてもあまり自ら出ていこうとはしません。
むしろ、新たな訪問者を迎え入れるだけとなります。
空腹になれば自然と姿を見せますので、その際にどのようにご帰宅いただくかを考えてみましょう。
あっ、言い忘れていました。
虫が大嫌いなかたは、今日のお話は読まない方がいいかもしれません。