「世代間ギャップ」というのはいつの時代も付き物です。
特に最近は「〇〇世代」などとやたらと年齢で区切りたがる傾向にあります。
でも同じチームで作業をしたり行動をしたりする場合は、どうしてもコミュニケーションが不可欠となるでしょう。
「あの世代とは話が合わない・・」と世代の違う彼らを敬遠する前に、まず投手である年長者のかたが色んな球種を放ってみませんか?
バッターボックスに立っている若い世代は、もしかしたら敬遠するほど難しいバッターではないかもしれません。
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世代間ギャップ・・あって当然
オンラインでの就職活動が主流となり、飲み会などの機会も減少した若い世代、いわゆるZ世代は上司世代とは異なる環境で育ってきました。
Z世代と上司世代
対して上司世代は、バブル後に就職氷河期を経験した40代から50代。
筆者は上司世代真っただ中の50手前です(笑)
現代の40代・50代と若手の間には、働き方や価値観に大きなギャップが存在します。
彼らの関心事は会社の出世や給料よりも、ワークライフバランス、副業、そして「推し活」などにあります。
そのため上司世代の価値観で無理に「共通項」を見つけようとすると、かえって距離が生まれてしまうので、まずは「共通項はない」と割り切って、コミュニケーションの第一歩を図ってみましょう。
相手のあるがままの姿を受け入れる | 若者の価値観を否定せず、「自分とは違う」と点を前提に受け入れましょう。「その言葉はどういうこと?」と問いかけ、相手を理解しようとする姿勢が大切です。 |
相手のあるがままの姿に自分も興味を持つ | 上から「教える」のではなく、若者の趣味や関心事について「教えてもらう」という姿勢で接します。知ったかぶりはせず、素直に学ぶ気持ちが相手の心を開きます。 |
成長を話すのではなく、失敗談を多く語る | 輝かしい成功体験よりも自身の失敗談を話す方が、若者は親近感を抱きやすくなります。「なぜこんな失敗をしたんだろう?」と弱みを見せると、心理的な距離を縮めます。 |
その仕事が本人にどうメリットがあるかの視点で語る | 「会社のため」という理由では若者の心に響きません。その仕事を通じて本人がどう成長できるのか、どんなスキルが身につくのかといった「本人にとってのメリット」を具体的に伝えてみましょう。 |
言葉を略さず、よい点を見つけて具体的に褒める | 若者が使うような略語を無理に使う必要はありません。褒める際は、単に「いいね」と肯定するだけでなく、「〇〇という点が良かった」と具体的な根拠を示す褒め方が、信頼関係の構築に繋がります。課題を指摘する際も、まず良い点を認めてから伝えると、相手は素直に聞き入れやすくなります。 |
どのような会話がいいのか?
Z世代にも当然色々な特徴の人がいるので、個人個人の特徴に合わせて接し方を考える必要があります。
何をしていいか分からないタイプ
まだ社会に染まっておらず素直な反面、何をすべきか分からず不安を抱えているタイプです。
社会での経験が浅いので、自分を導いてくれる上司世代を求めている傾向にあります。
このタイプに対しては何でもかんでも褒めるのではなく、ある程度できた段階で具体的に褒めます。
仕事は「20%くらいできたら一度見せて」と伝え、こまめな進捗の確認と軌道修正により、安心感を与え成長を促します。
失敗を極端に恐れるタイプ
ITスキルや語学力など能力は高いものの、プライドの高さから完璧を求めすぎ、些細な失敗で心が折れてしまうタイプです。
仕事を依頼する際に「期限」と「期待する完成度(例:8割くらいでOK)」を明確に伝えます。
「途中で3回報告してね」などと具体的な指示を出し、完璧主義のプレッシャーを和らげ、身動きが取れなくなるのを防ぎます。
仕事への当事者意識が低いタイプ
いつまでも「お客様」気分が抜けず、指示待ちで仕事がどこか「他人事」になっているタイプです。
「この仕事、いつまでにできる?」と問いかけ、本人に期限を決めさせます。
自分で期限を設定させることで、仕事への責任感や当事者意識を引き出します。
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くせ者たちを相手にする年長者は
現代の若者はコミュニケーションに不慣れで傷つきやすく、一度つまずくと孤立してしまう傾向があります。
その一方で彼らは「エコひいき」に非常に敏感です。
上司が特定の部下だけを可愛がると、他の社員のモチベーションは著しく低下します。
したがって上司に求められるのは、全ての部下に対して公平である接し方が大前提です。
その上で一人一人の個性をしっかりと見極め、それぞれの強みを活かせるようなアプローチを心がける必要があります。
親のように、しかし親よりも少し距離を置いた「壁」のような存在になるのが理想かもしれません。
若者たちが安心して挑戦できるよう、彼らを守り、導いていく姿勢が重要です。
勇気を出して・・叱る
さてここが一番厳しいかもしれませんね。
叱られ慣れていない現代の若手社員に対し、パワハラと受け取られずに、彼らの成長を効果的に促すためにはどのような「叱り方」、「注意の仕方」がいいのか・・。
まず前提として、「自分はこうやってきた」を押し付けない点を挙げておきましょう。
「自分の価値観を押し付けない」という意識を常に持っておきたいところです。
現代の若者は上の世代とは異なり、厳しい競争や理不尽な環境に身を置いた経験が少なく、精神論や「俺の若い頃は・・」といった昔話は響きません。
一方で成長意欲が高く、的確な「指導」を求めています。
そのために注意する、指摘する前に意識しておく3点を挙げておきます。
- ポジティブな前置きで信頼関係を示す
- 事実と改善策を具体的に伝える
- 期待を伝えて締めくくる
いきなり問題点を指摘するのではなく、まず「いつも頑張っているね」といったポジティブな事実を伝えます。
その上で「君の成長を願っているから、あえて言うね」といった前置きをすることで、相手は安心して話を聞く態勢になります。
「なぜダメなのか」を感情的に伝えるのではなく、「事実」と「それがなぜ問題なのか」、そして「どうすれば良くなるのか」をセットで具体的に、ロジカルに説明します。
最後に「君ならできると期待している」とポジティブな言葉で締めくくって相手の自己肯定感を高め、前向きな行動を促します。
(まとめ)過去の成功体験を捨て、若者と向き合う
40代・50代が経験してきた成功体験や価値観は、もはや通用しないと認識しておきましょう。
若者は「会社への貢献」よりも「自分の成長」に強い関心を持っています。
上司が過去のやり方に固執せず、一人一人の良い点を見つけて認め、彼らの新しい視点や発想を尊重する姿勢こそが、若者を強力な戦力へと育てる鍵となります。