久々に数字と戯れますか。
昔は学校の成績で「偏差値」というのが重要視されていました。
今の若い人にはあまり馴染みがないかもしれませんね。
これ、実は学生時代を偏差値と共に生きてきた世代の人でも、「どういう指標でどう計算するのかが分からない」と言う人は結構多かったりします。
実はこの前、知り合いとの会話で「偏差値」の話題になったのです。
その指標がどうやって算出されたのか、
どれ位の点数を取ったらあと2~3の数値を上げられたのか、
などはよく分かっていなかった。
あの当時、多くの生徒に埋もれている自分は、勉強の成績においてどの位置にいるのか?
そう、30年から40年前は今の倍くらいの生徒数がいて、「マンモス校」みたいにとんでもない生徒数を抱えている学校もありました。
偏差値と同じく「マンモス校」という言葉もあまり聞かなくなりましたねえ
各自0点から100点の間の狭い範囲で取得したテストの点数から算出される偏差値というのは、だいたい30から80手前くらいのさらに狭い範囲になります。
こんな狭い範囲の数値を名刺代わりに、どの生徒も高校・大学へと進学していったり、進学しない選択をしたり、と進路を決めていたわけです。
というわけで、意外とよく分からない偏差値について算出する方法、エクセルを使う時の数式や関数について見ていきたいと思います。
特にエクセルでは、絶対参照の計算や「平均→偏差→分散→標準偏差→偏差値」と順番に計算していく過程で出てくる関数など覚えられるものが盛りだくさんとなります。
「今更そんなものは分かっている」というかたも多いでしょうけれども、最後にこの計算過程で偏差値を算出するエクセルファイルをダウンロードできるようにしておきますので、是非ご覧いただければと思います。
平均
偏差値というのは何を図っているかと言うと、大量のデータから特定の数値がどれだけ突出しているか、または小さいかを評価するために使う指標です。
統計学では割と早い段階で学ぶ理論で、ビジネスの世界でも結構使われる指標となります。
後は投資においても、リスク管理において標準偏差が使われたりもしますね。
統計において、大量のデータからある値を求めるのに一番馴染みのある指標は、「平均値」ではないかと思います。
平均値の例
A君0点、B君50点、C君100点の平均は50点
(0+50+100)÷3=50
母数(上の場合は3人)の点数を合計して、それを母数で割ると平均が取れます。誰でも知っていますね。
それでは、これを計算式で書いてみましょう。
「シグマ(Σ)」という数学の和の計算に使う記号を使うと、途端に難しく感じるかもしれません。
その下に、普段よく目にする分数計算も書いておきました。
シグマの計算式も分数計算も計算の内容は同じです。
例の3人の平均点は50点だと分かりました。
偏差
では、この3人の偏差を図ってみましょう。
偏差というのは、平均値から見て各データがどれくらい離れた場所にいるか、という偏り(かたより)を図ります。
例えばA君は0点なので、平均値の50点から見るとマイナスの方に50離れたところにいます。同じように考えると・・
A君)0-50=-50
B君)50-50=0
C君)100-50=50
B君は平均と同じ場所、C君も平均から50離れた位置にいると分かります。
「偏差」というのは単純で、各観測値から平均値を引いて、平均からどれくらい離れているかを図ります。
つまり偏差は「平均からの距離」であり、今回のように母数が3件でも1万件でも「偏差をすべて足すと0になります」。
偏差をすべて足して母数で割りたいのですが、この「すべて足すと0になる」性質が、データ全体のばらつきを確認できない原因となります。
そこで使うのが「分散」となります。
分散ではなく平均偏差を使う場合もありますが、ここでは分散だけ説明します
分散
分散は、観測値ごとに2乗した「偏差」をすべて足して、母数で割ります。
先ほどの例だと、以下のようになります。
A君)(-50)^2=2500
B君)0^2=0
C君)50^2=2500
(2500+0+2500)÷3=約1667
ちなみにエクセルで2乗する関数は「POWER関数」になります。
そして統計用の関数として、母数全体の分散を求める関数も用意されています。それが「VAR.P関数」になりますね。
さて、この分散の値は「各観測値の偏差」を2乗したものです。
最終的にこの2乗を元に戻す(正の平方根を取る)と、標準偏差が求められます。
標準偏差
√1667=約40.82点
標準偏差は「40.82点」と出ました。
ちなみに平方根を取る関数は「SQRT関数」となります。
「SQRT(4)」と指定すると、2が返ってきます。√4=2という意味ですね。
さて、この標準偏差というのはどのように解釈すればいいでしょうか。
50点という平均点から、3人の成績においてプラスマイナスを考えずに実際の距離を見てみると、「50点、0点、50点」と分かります。
単純に距離の平均を図ると、「(50+0+50)÷3」となり、約33.33点となります。
しかし標準偏差は「40.82点」なので、単純な距離の平均よりも数値が大きくなっています。
これは3人の成績の内、0点や100点など平均から極端に離れている値があると、この値の影響で標準偏差は少し大きめの数値となるのです。
もちろん母数がもっと増えれば、単純な距離の平均に数値が近づくでしょう。今回は3人しかいませんからね。
統計的な考え方としては以下のようになります。
平均点である50点から標準偏差の40.82点を引いて求められる「9.18点」
平均点である50点から標準偏差の40.82点を足して求められる「90.82点」
この間の成績を取る人が一般的であり、9.18点より下の点数(A君の0点)や90.82点より上の点数(C君の100点)はこのテストでは飛び抜けている、と言えるわけです。
つまり上の3人の成績を例に言えば「データ全体として、平均からだいたい40点くらい外側までは「よくある範囲(標準圏内)」とみなそうという指標になるわけですね。
エクセルでもし標準偏差の計算をしようと思ったら、今までの計算の流れをすべて反映させる必要があります。
平均を算出して、観測地から平均値を引いて「各観測地の偏差」を求め、
「各観測地の偏差」を2乗してから、すべて足して「分散」を求め、
「分散」で出た数値の平方根を取る。
この流れを1個1個踏んでいくのは面倒くさいですよね。
そのため、エクセルには標準偏差を一発で計算してくれる「STDEV関数」というのがあります。
母数すべてを対象にするのが「STDEV.P関数」になります
この関数を使えば先ほど書いたような偏差や分散をわざわざ計算しなくても、すぐに標準偏差まで求められるのです。
偏差値
さあ最後の「偏差値」です。
ここに来るまで長かったですし、最初から計算の過程をすべてを書くと結構面倒くさいもんですね(笑)
偏差値に行く前にまずは「標準化(zスコア)」を理解しなければなりません。
例えば、「身長170cmの人」と「体重60kgの人」のデータを比較したとしましょう。
「平均から大きく離れた位置にいるのは身長170cmの人と体重60kgの人のどちらか」を比較したところで、単位が違うので単純には比較できません。
同じテストでも東京都の生徒数がたくさんいる学校と、田舎の生徒数が少ない学校では、どちらの学校の成績が良いかは母数の違いで平均点がずれるため、単純に比較ができないのです。
そのためにまずは標準化(zスコア)を、以下のように求めるわけです。
データ(x)は、平均から見て標準偏差(s)何個分だけ離れた位置にあるかを算出しています。
z=1のとき、平均より標準偏差1つ分だけ大きい値です。
z=-2のとき、平均より標準偏差2つ分だけ小さい値です。
データを「0を中心とした狭い範囲(多くは-3〜3の範囲)」に収めて、単純に比較できないデータの集まりも、各観測値が平均からどれくらいの位置にいるかを図るようにしているのです。
「標準化」はエクセルの関数では、「STANDARDIZE関数」を使って求められます。
そして「偏差値」です。
標準化(zスコア)によって、狭い範囲に集められたzに対して、後は良いか悪いかの数値(-3から3くらいの範囲)に物差しとして「10」を掛け、真ん中とする「50」を足してあげると、再度広い範囲で比較できます。
そうすると、都会の学校で出した平均も田舎の学校で出した平均も一旦「標準化」されて狭い範囲に集めた後のデータに、一律10を掛け50を足した同じ規則で数値化されるので、以下のような比較ができるようになるわけです。
- 学校内の偏差値
- 東京都の学校全体の偏差値
- 日本全国の学校の偏差値
母数(この場合は生徒数)に極端な差があって、単純に平均や標準偏差で比較ができないような場合でも、一旦全部のzスコアを出しておけば、そこから新たに調整値を使って比較ができるようになるのです。
そして、-3から3くらいの範囲に標準化された数値を、上のような10を掛けて50を足して調整しているからこそ、どんなに頭のいい人でも偏差値が90をオーバーして100に到達したり、どんなに頭が悪くたって偏差値が10以下になって0になったりする人がいない理由でもあるのです。
まとめ
たまたま今回「偏差値」の話題が出たので、書いてみましたけど、数学というより「統計」のお話となります。
そして、エクセルにはそれぞれ答えを出しやすいように関数が用意されています。
関数の存在が分からなくても、計算過程をセルを使いながら一つずつ丹念に数式にしても、もちろん同じ答えが算出されます。
エクセルファイルに、統計用の関数を使って偏差値を求めたパターンと、統計用の関数を使わずに偏差値を求めたパターンの両方を載せてみました。
そう言えば偏差値って今でもよく分からないんだよな・・・という人は是非ダウンロードしてみてください。






