YouTubeなどの動画やちょっとした記事の合間などに表示される広告で、一時期「Temu(ティームー)」の広告が良く表示されていましたよね。
最近は、少し落ち着いてきた感がありますが、「Temuって何?」と思っていたかたも、今では「実際に買い物をしてみた」という人の方が増えたかもしれません。
「Temu」は中国ECの「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」グループが運営しています。
中国ECとは言え、「Temu」はアメリカで2022年9月に起ち上げられたのですが、なんとその約半年後に開催された2023年の「スーパーボウル」で既に、巨額な広告費をかけてたくさんのCMを流し、一躍その名を世に広めたのです。
積極的なマーケティング戦略で知名度を急上昇させると、「億万長者のように買い物しよう」というキャッチフレーズでアメリカ市場で成功を収め、90%オフや送料無料などの施策を展開していきます。
日本には2023年7月に上陸しているので、そこからしばらくはよく「Temu」の動画広告を目にするようになりましたね。
「Temu」には、以下のような特徴があります。
- すべての商品が中国からの直送
- 低価格
- 全品送料無料
- 90日返品無料
- 共同購入
とにかく、「Temu」の商品は安く、「90%オフ」や「半額」など各クーポンを画面に表示させて、ユーザーの購買意欲を掻き立てる戦略を取っています。
中国からの発送になるので、日本に送ってもらう場合には余計に時間もかかりますが、その分ほぼすべての商品が「送料無料」という大判振る舞いで、しかも90日間以内であれば返品も受け付けてくれるという対応が、ユーザー数の爆発にも寄与していますね。
「Temu」の名前の由来である「TEAM UP、PRICE DOWN(共同で購入すると安くなる)」は、一定の購入者が集まるとその商品の値段が下がっていく、というお楽しみ要素もあります。
もちろん、安かろう悪かろうにもなり得るので、「Temu」の商品品質やサプライチェーンに関してはまだまだ課題を残している部分もありますが、価格帯や共同購入のような運営方法の特徴により現在ではアリババグループ1強時代を終わらせ、「拼多多」グループがEC利用者数の王者となっています。
そんな「Temu」の価格の安さはどこから来るのでしょうか?
- 生産工場との直接のやり取り
- サプライヤーが支払う手数料などは0円
- 入札機能によるサプライヤーに対しての価格競争の設定
「Temu」が直接生産工場とやり取りするので、販売価格を大幅に抑えられています。
サプライヤーが「Temu」で商品を販売するためには、「Temu」に販売したい商品の価格を伝え、さらにはサンプルまで送付する必要があるのです。
いわゆる「入札機能」となりますが、入札機能とまた少し違うのは、一度価格競争に勝ったとしても、他のサプライヤーの商品が安ければすぐに販売される商品が入れ替わる点でしょう。
「Temu」の価格設定は、すべて「Temu」側が握っている、というわけですね。
アメリカで投じた巨大な広告費により、現地の低所得で節約志向の高い層に非常に受けた「Temu」の越境EC戦略は、価格競争の面では成功を収めたと言ってもいいでしょう。
しかし、「品質にもこだわる層」の流入が増えるなど「Temu」の利用者層の風向きが変わった場合に、低価格が売りの戦略でどこまでEC利用者数を伸ばせるかが今後のカギとなってくるかもしれません。