ここ近年、福利厚生の充実を賃上げの一つと考える「第三の賃上げ」に注目する企業が増えてきています。
働いている社員のかたにしてみたら、給料アップの方が当然嬉しいでしょう。
しかし人材確保・税務・経営合理性などの多くの場合、企業側に非常に現実的なメリットがあるのも事実です。
今回はそんな「企業の第三の賃上げ」について見ていきたいと思います。
第三の賃上げとは
「第三の賃上げ」も含めた賃上げについて少し整理してみましょう。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 第一の賃上げ | ベースアップ(基本給の引き上げ) |
| 第二の賃上げ | 賞与・一時金の増額 |
| 第三の賃上げ | 福利厚生の拡充による実質的な可処分所得の増加 |
「第三の賃上げ」とは、給料自体は上がらない代わりに「生活コストを下げたり使えるお金を増やす」という発想になります。
企業がなぜ注目するのか
ではなぜ企業が「第三の賃上げ」に注目するのか。
以下の3点から考えてみます。
人件費が“固定費”にならない
給料のベースアップをすると、その後は中々下げづらい「固定費」となってしまいます。
一方、福利厚生で見ると制度の見直しや停止が比較的簡単にできます。
中小企業で一番怖いのは、「業績悪化によるリスク」です。
ほぼ恒久的となる賃上げよりは、福利厚生の充実はリスク回避となるわけです。
採用・定着に効きやすい
若年層や子育て世代は、福利厚生の充実を非常に重視する傾向にあります。
食費・教育費・健康支援は若い人ほど欠かせないと考えるので、この部分を求人で働きかけると応募率が上がるケースもあります。
従業員満足度が可視化しやすい
利用回数、利用金額、人気サービスがデータで把握できるため、「本当に使われている福利厚生か?」を経営判断しやすい点も評価されています。
節税メリット
仮に給料として月に1万円、年間12万円のアップを実行したとしましょう。
企業側、従業員側それぞれにデメリットがあります。
・社会保険料の会社負担分が増加
・法人税上は損金算入できるが、負担が重い
・所得税
・住民税
・社会保険料
がそれぞれ増える
一方、「福利厚生」として支給した場合は、以下のようなメリットがあります。
・全額損金算入
・社会保険料の対象外
所得税・住民税・社会保険料が非課税(または軽減)
同じ1万円でも、従業員の実質的な価値は給与が増えるよりも全然大きくなります。
チケットレストラン・福利アプリの税務上のポイント
チケットレストラン(食事補助)の代表的な非課税条件
チケットレストラン(食事補助)は以下の条件を満たすと、「給与課税されない」となっています。
・会社と従業員が費用を分担している
・会社負担額が月3,500円(税抜)以下
・現金支給ではなく、食事目的に限定されている
この条件を守ると、実質的に「手取りを増やす」制度設計が可能になります。
福利アプリが使われる理由
福利アプリは、以下のようなものをパッケージ化しています。
・食事補助
・映画やレジャー
・健康支援
・学習/自己啓発
税務上グレーになりやすい部分をサービス提供側が制度設計で吸収してくれるのです。
そして企業側は「福利厚生費」として処理しやすくなっているのが利点です。
福利アプリ一覧
- miive
- チケットレストラン
- カフェテリアHQ/トクトクHQ
- ベネフィット・ステーション
- 福利厚生倶楽部
- まる得ランチ
- WELBOX
- オフィスおかん
- オフィスでやさい/オフィスでごはん
なぜ「今」第三の賃上げなのか
背景には以下があります。
・実質賃金の伸び悩み
・社会保険料の上昇
・人手不足の深刻化
・中小企業の賃上げ余力の限界
「給与を上げる」以外の現実的な選択肢として「第三の賃上げ」が急速に広がっているわけです。
まとめ
| 観点 | 給与アップ | 第三の賃上げ |
|---|---|---|
| 固定費化 | 高い | 低い |
| 税・社保負担 | 重い | 軽い |
| 従業員満足度 | ◎ | 〇 |
| 制度変更の柔軟性 | 低い | 高い |
「従業員側も損とはならず、会社にとっても合理的」
それが第三の賃上げが支持される理由なのです。

