「京王電鉄」は、都内で生活・仕事をしている人であれば良く乗る電車ではないでしょうか。
小田急線と並んで新宿から西の方に走る私鉄沿線のイメージがありますが、都会から段々と住宅の多い地域が広がっていく風景は北海道暮らしとなった今でもよく覚えています。
京王電鉄は記事執筆時点で日経平均225を構成する1社でもあり「京王グループ」の一員でもありますが、この京王電鉄が「京王NEOBANK」と言う金融サービスを2023年9月27日に開始してから様々な取り組みを行ってきましたね。
「NEOBANK」という名前からも分かる通り、住信SBIネット銀行(以降、SBI銀行)との提携で鉄道グループとしては初の「フルバンキングサービス」を提供しています。
フルバンキング機能とは
預金の受け入れだけでなく、資金の貸し付けから為替取引などのすべての機能を備えたサービスを言います。
SBI銀行のBaaSでサービスを提供しているので、ネット銀行のヘビーユーザーにとってもスマホアプリによる同じような使い勝手を提供してくれています。
しかも、SBI銀行の特徴でもある「ATMの利用」や「他行あて振込」の無料回数の多さもそのままなので、京王電鉄利用の幅広い顧客にネット銀行の良さを知ってもらうには十分な宣伝にもなっているでしょう。
また京王グループが提供しているサービスの一つに「不動産事業」があり、不動産購入者が利用する不動産ローンも「京王NEOBANK」で提供できるるようになり、一元的な顧客へのサービス対応が可能となりました。
そして、京王電鉄を普段から利用している人への特典として「京王ポイント」があります。
「京王NEOBANK」での預金残高や利用状況によってポイントが貯まり、京王グループが提供する様々なサービスでそのポイントを使えるようになっています。
給与や年金の受取口座に指定したり、公共料金の支払い口座に指定したりとポイントを貯める方法も色々と用意されています。
そしてもう一つ、京王電鉄の利用で貯まる「京王トレインポイント」にも注目したいところです。
これは京王アプリ内の「京王トレインポイント専用ページ内で会員登録したPASMO」で乗車する、定期区間外で利用するのが条件ですが、乗車ごとに運賃に対するポイントが貯まっていきます。
大人運賃の場合は5%、小児用PASMOを登録している場合は50%分の「京王トレインポイント」が貯まるのです。
貯まったトレインポイントは、以下のような交換先があります。
- 京王ポイント
- モバイルPASMOにチャージ
- カードのPASMOにチャージ
- 京王NEOBANKに入金
京王ポイントに交換すると1.1%と少しお得になりますね。
1,000京王トレインポイントが1,100京王ポイントになるようで、逆にカードのPASMOへのチャージは手数料分が差し引かれるので若干減ります。
小児用PASMOでの運賃はトレインポイントが貯まりやすいので、子供のいるご家庭では移動手段として「京王電鉄」と言う選択がしやすくなりそうです。
公共交通機関としての電車と言うのは、特に都会であれば黙っていても人が利用する手段ですが、都内を走る京王電鉄はいち早く「電車への乗車によるそれ以外のサービスとの融合」を目指したわけです。
金融機関との融合は意外でしたが、サービス開始から1年半が経ち、フルバンキングとポイントサービスで「電車に乗る楽しさ」を違ったアプローチで提供してくれています。
まぁ地方では車社会が多いですし、新しいサービスを柔軟に提供できる私鉄というのはほとんど走っていません。
それこそ筆者の周辺でも「SUICAとかPASMOって見たことがない」とか「JRと私鉄の乗り換え方が分からない」いうレベルの人が多いですが、地方の公共交通機関でもこのような何か新たなアプローチを見せてくれると「惜しまれながら交通サービスを廃止してしまった」という流れも止められるのではないか、と思ってしまうのです。