数年前に突然こんな封書が送られてきました。
「在任中は大変お世話になりました。〇〇と申します。この度新たに□□の業務を開始しました。(中略)御社におかれましてもこれまでよりも安価にご提供できると考えております。(略)」
文面ははっきり言って忘れてしまいましたが、つまり事の顛末は以下のようになります。
筆者の事業の仕入先としてAという会社と取引をしていたのですが、そこの従業員で働いていたのが文中の〇〇さんだったのです。
というより働いていたらしいというのが正直なところで、A社に在職中だったと思われるこのかたと何か特別なやり取りをした覚えは一切ありません。
名前は忘れました。
というより全文読んだ時に違和感しかなくそのままゴミ箱行きとなったため、ほとんど記憶に残っていないのです・・・。
この〇〇さんをBさんとしますか。
このBさんがA社の社員として実際に働いてたのかどうかは分かりません。
A社との普段のやり取りが特段多いわけではなく、発注時に特定の担当者がいたわけでもないので、自社・A社ともその時々に連絡し合った人同士が対応しているような感じでした。
なので、このBさんがA社の在職中にお世話になった感覚はまったくなく、言って見れば「Bさんって誰?」というような感じでした。
Bさんから「わたくしのA社在職中には大変お世話になりました。」のように言われても「?」しか浮かばなかったのです。
まぁ、それだけならまだいいのですが・・・。
このBさん、おそらくA社を退職した理由が円満ではなさそうだったのです。
文面は忘れたのですが、退職理由として何かしらそのような雰囲気を醸し出し、退職時のいざこざをこちらにも汲み取ってもらえるような書き方がされていたのです。
なおさら「知らんがな」と思った記憶があります。
なので、今までの自分の経験からおそらく同じ業種で新たに会社を起ち上げたのでしょう。
もしかしたら、「競争して自分の方にすべて取り込んでやる」くらいの勢いで始めたのかもしれません。
うちに来た封書が確か「各位」となっていたと思うので、おそらくA社と取引していたすべての業者に連絡したのでしょう。
うちは別にA社に義理立てようと思ったわけではありません。
しかし、このような文面で急に「うちと取引してください!」と言われて「いやいや、それで”はい”とは言わんでしょー」と誰もが思う程、このBさんの突然の取引依頼宣告はあまりにも滑稽でした。
先に書いてしまいましたが、そのまま1回読んでゴミ箱へ直行となりました。
A社はその後も普通に営業していたので、察するにこのBさんの謀反はまったく影響なかったのでしょう。
もちろんあまりに露骨であればA社は、「競業避止義務」でBさんを訴えったと思いますが、そこまで大事にはならなかったのだと思います。
うちから見た時のBさんのお粗末さは、他の会社さんにも同じように伝わったのかもしれませんね。
なんで、この話を思い出したのかと言うと、久々にA社に発注依頼を掛けたからです。
A社で対応されたかたに、「そう言えば・・」とこの話をしてみました。
すると、相手のかたは「あ~、ええ、ええ、たぶんもうやっていないと思います。・・何かありましたか?」と心配そうだったので、ちょっと思い出しただけと伝えました。
どのような事情があったかは分かりませんが、勤めていた会社を飛び出してまったく同じ業種でその会社の顧客を奪い取ろうというやり方はやはり反感を買うでしょうね。
A社からも応援されていて、何なら「使ってやって」のような声がA社から聞こえれば考えますけど、「あの会社やめました。こっちに切り替えてください。安くするんで。よろしく」では、「何やねん、こいつは。」で終わりますね。
封書ではなく直接北海道まで来れば覚悟を感じたかもしれませんが、「九州から北海道まで行くのは大変だし、取引が始まる前にそんなところにお金はかけたくないし」という思惑がスケスケで、結果紙1枚で済ませようというわけですから、筋も覚悟もないわけです。
あ、A社は九州の会社です。
というわけで、そんな寒い封書を思い出した-7度の寒い朝でした。