先日、MLB球団が本拠地にする州や街の地域に関するお話をしました。
メジャーリーグベースボール所属の30球団が持つ本拠地の”州名・都市名”に関するお話
これまでも日本で活躍した多くのプロ野球選手たちが、アメリカのメジャーリーグベースボール(以降、MLB)の舞台へと挑戦していきました。 現在も投手・野手・両方と様々な選手が活躍していますが、今回はそんな ...
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近年、アメリカの全土で比較しても特に治安が最悪の都市と言われる「オークランド」について語ってみたいと思います。
オークランドってどの辺?
オークランドは、アメリカ西海岸のカリフォルニア州にある都市で、サンフランシスコ湾の東側に面しています。
サンフランシスコ湾西側で太平洋沿岸にあるのがサンフランシスコ、湾の南側にはサンノゼがあります。
オークランドには、MLB球団のアスレチックスの本拠地である「オークランドコロシアム」があります。
ちなみに、ホームランボールがサンフランシスコ湾に飛び込む「スプラッシュヒット」で有名なサンフランシスコジャイアンツの「オラクル・パーク」は上の地図上の位置にあり、オークランドコロシアムとは橋を渡って30分から1時間くらいで行けます。
地下鉄でも40分くらいで着く距離ですね。
サンフランシスコは「ゴールデン・ゲート・ブリッジ」を始めとするベイサイドの観光地というイメージがありますが、そのサンフランシスコと距離も近く地方都市として外国人観光客からも人気の高いエリアでした。
アスレチックスの本拠地
オークランドの「オラクルパーク」と言えば、MLBのアスレチックスの本拠地として1968年から50年以上も地域に根付いた球場です。
そんなアスレチックスは、今年2024年がオークランドでプレーを見せる最後の年となってしまいました。
2028年に、ネバダ州ラスベガスへの移転を発表したのです。
移転までまだ3年もあるのに、どうして今年がオークランド最終年になってしまうのかと言うと・・・
それは、2025年から2027年までは暫定的にカリフォルニア州の州都である「サクラメント」をホームにして試合をするからです。
MLBがア・リーグとナ・リーグの2リーグ制になった初期からオークランドアスレチックスとして存続してきた球団に一体何があったのでしょうか?
移転したスポーツチームは
かつてオークランドに本拠地を持つスポーツチームとしては
- NBAのゴールデンステイト・ウォリアーズ
- NFLのレイダース
という2つのプロスポーツチームがありました。
しかし、ゴールデンステイト・ウォリアーズはサンフランシスコに、レイダースはラスベガスへと移転していきました。
アスレチックスは今回の本拠地移転について、「球場の老朽化」を理由に挙げています。
NFLのレイダースについても同様に、「球場の老朽化」を理由としたラスベガスへの本拠地移転が完了しています。
「球場の老朽化」が理由であれば、なぜ、同じ場所で球場を作り直さないのか・・・?
そこには、「球場の老朽化」という理由以外にも、オークランドの治安の悪化にも原因がありそうなのです。
治安の悪さは有名
オークランドの治安の悪化は、年々増加の一途をたどっています。
殺人や強盗などの重犯罪も多発していて、オークランドに本社を置いていた企業も次々と移転し、街は昼間でもシャッターが下りているような場所が多くなっているようです。
人や企業が減少し、犯罪が増加するため、また企業が減る
という悪循環に陥っていますね。
これまで店舗閉店数が「0」であったハンバーガーショップの「In-N-Out」は、初めてオークランド店を閉店するという憂き目にあってしまいました。
今では、すっかり日本でもおなじみとなった「ウーバーテクノロジーズ」もオークランドから離れていき、企業によっては出社する従業員を警備員が警護しながら送り迎えする、という命がけの出社を経験しているところもあるのです。
サンフランシスコは人口100万人弱の都市ですが、サクラメントやストックトンに車で向かう際には、敢えて回り道をしてオークランドを通らないようにしている、と言われています。
理由は無差別に車に向かって銃で発砲されるから・・という何とも怖い話ですね。
観客あってのプロスポーツですから、これだけ治安が悪化すれば、球場内の警備にも余計な手間とお金がかかります。
アメリカ3大スポーツのすべてのオークランドのチームが散り散りに散ってしまったというオークランドシティとしては散々な結果となってしまったわけです。
そういえば、2023年のMLBが開幕して間もない頃、オークランドコロシアムで行われたロサンゼルスエンゼルスとオークランドアスレチックスの試合後に、エンゼルスのアンソニー・レンドンがやじを浴びせてきた観客に暴行を働いて何試合かの出場停止を食らっていましたよね。
あの時のオークランドコロシアムの球場はガラガラだったため、やじがよく聞こえてレンドンが反応したとも言われています。
球場入りするファンには手荷物検査が実施されてはいるようですが、オークランドの実情を考えてみると、この時の観客の反撃がおとなしかったのは、ケガの多すぎるレンドンにとってはかえって幸いだったのかもしれません。