閲覧していた側としては、「YouTubeの切り抜き動画」って結構気に入っていたのですよ。
しかし、「これらの動画で発生していた収益を全面撤廃する」と発表があってから1カ月くらい経ったでしょうか。
すっかり切り抜き動画は、関連動画の一覧に上がってこなくなりましたね。
もう一度、この状況をさらっと確認しておきましょう。
切り抜き動画を公開しているユーザーが突然の公表
2024年7月上旬頃、YouTubeで「切り抜き動画」を投稿するユーザーが「収益化停止」との通告を受けたそうです。
特に注目されているのは、海外VTuberプロダクション「hololive EN」の邦訳切り抜きを投稿する「がるぜん」さんがYouTubeからの収益化停止のメールを受け取ったと披露していました。
その理由は、YouTubeのガイドラインに違反する「再利用コンテンツ」に該当するためだったそうです。
YouTube側は「他者が制作したコンテンツをアップロードする行為はポリシー違反であり、プロモーションは付加価値とはみなされない」と再審査を却下しました。
この対応に対し、がるぜんさんは驚きを表明し、「切り抜き動画全てがプロモーションでポリシーに違反する」という見解が示されたのではないかと推測しました。
切り抜き動画とは、クリエイターやインフルエンサーの生配信を再編集して短くまとめた動画をいいます。
以前から文化として存在していましたが、現在は広く浸透しています。
こうした状況に対し、YouTubeの正式な見解を望む声が上がっています。
また、他の切り抜きチャンネル保持者からも収益化停止の報告が相次いでいますね。
一方で、「切り抜き動画全体が全てアウトになる」との見解は誇張との声や、AIによる質の低いコンテンツの大量生成が問題の一因ではないかという指摘もあります。
いずれにせよ、この状況は投稿者と視聴者の双方に影響を与える可能性がありそうです。
この手の話は以前にも
さて、このようなWeb上のコンテンツの質に関して、インチキだから収益を減らすだの権利侵害だからコンテンツとしては認めないだの、という事件が以前にもありましたね。
そう、「キュレーションサイト」です。
若い人たちだと分からない人もいるかもしれないので、念のため説明しておきましょうか。
「キュレーションサイト」というのは、ある特定のテーマや話題について取り上げたWeb上のたくさんの記事の内容をまとめて1本の記事に加工したものです。
特定のYouTuberやインフルエンサーが発信する情報をピックアップして1つの動画にまとめる「YouTubeの切り抜き」と構造が似ていますよね。
当時、問題となっていた「キュレーションサイト」は、既に世に出ていたネット記事をほぼ無断で引用して羅列しただけのものでした。
まとめサイトを作成するキュレーターは、既に存在していた情報をまとめただけのコンテンツ整理のみで、コンテンツ自体の価値は「引用元」にあったために、まとめサイトの運営側からキュレーターに収益が発生するのはいかがなものか、という論争が巻き起こったわけです。
しかも、まとめサイトを運営する企業は、コンテンツの権利侵害が発生した際に、キュレーターにその責任を負わせて、企業側は責任逃れができる可能性もあったのです。
次第にキュレーションメディアとしての魅力が薄れ、現在は大手のキュレーションメディア運営業者は、ほぼ撤退していきました。
これが2016年ごろなので、もう8年とかになるんですねぇ。
キュレーションというのは、ただ情報を整理するだけ(しかも無断で)ではなく、まとめるためにさらにコンテンツ作成者(キュレーター)が独自に見解や実地調査などで情報を仕上げていく必要があったわけです。
もしくは、情報をまとめるための引用記事を契約によって自分のサイトに載せる許可を得るかですね。
実は、今でも「キュレーション」というまとめに特化したサービスというのは存在しています。
例えば、人気があるところで挙げてみると、「スマートニュース」や「グノシー」などは様々なニュースを1つのアプリだけで読めるようにまとめられたものになりますよね。
ただ、これらのニュースキュレーションアプリは、「契約によってニュース記事の配信を受けて、それをカテゴリ別に分けて表示している」サービスになるので、コンテンツ侵害のようなトラブルは起きにくいのです。
YouTubeのコンテンツ整理、今後の行方は
さて、そうなるとYouTubeの「切り抜き動画」いわゆる「YouTubeのコンテンツ整理」も形を変えて新たな手法が誕生する可能性はありますよね。
今までの切り抜き動画は、画面いっぱいにインフルエンサーなどの動画を表示して繋げていたと思いますが、今後はそこに切り抜き動画の制作者が解説を入れたりするような変化をつけ、「YouTube」から独自性のあるコンテンツだと認められれば、解消していくかもしれません。
どの分野にも言えるかもしれませんが、以前に発生したトレンドは、コンテンツが変わっても同じような形で現れてくるものですね。
今回のお話のように「Webコンテンツビジネス」という分野で何かトラブルが起きた場合に、以前に同じような事象は起きなかったか、起きたのであればどのように形を変えていったのか。
過去の傾向を追っていくと解決の道が見えてくるかもしれません。