マイクロソフトのソフトウェアといえば、ワープロの「Word」や表計算の「エクセル」、プレゼンテーションの「PowerPoint」などが昔からの定番で認知度が高いですよね。
これらはオフィス製品と言われ、CDからパソコンに直接インストールした(もしくは購入したパソコンにあらかじめインストールされていた)25年以上前の時から、オフィスのパソコン内で統合的にいつでも使える業務用ソフトウェアとして重宝されてきました。
様々な仕事生産性の向上に役立ってきたソフトウェアなわけですが、実はこのマイクロソフトのオフィス製品というのは、今でも新しいものがどんどん追加されているのです。
その中の一つに、動画を編集するソフトウェア(アプリ)である「Clipchamp」があります。
先に言ってしまうと、この「Clipchamp」、あまりお勧めしたいアプリではありません。
では、なぜお勧めできないアプリなのか・・・
その理由を以下に簡単に書いていきます。
分かりづらいライセンス内容の肝を紐解く
マイクロソフトによる買収
マイクロソフトは、2021年9月7日にClipchampの買収を発表しました。
Clipchampの使いやすさと強力な動画編集機能が、企業ユーザーから個人ユーザーまで幅広い層に価値を提供できると見込んでいるのが理由の一つでした。
実は、この「Clipchamp」は、Microsoft365ライセンスで利用できるアプリの一つになっているのですが、このライセンス周りが少し複雑です。
まずは、各ライセンスについてどのような違いがあるのかを見ていきましょう。
Microsoft365の個人アカウント | 「Personal」、「Family」とも利用できるアプリの一覧に「Clipchamp」が含まれています。 しかし、「Clipchamp」の有料プラン(Essentialsプラン)の機能の内、一部の機能しか利用できません。 |
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Microsoft365の法人アカウント | 「Standard」、「Premium」で利用できるアプリの一覧に「Clipchamp」が含まれています。しかし、「Clipchamp」の有料プラン(Essentialsプラン)の機能の内、「Standard」は非常に限定的、「Premium」は「Standard」より若干使える機能が増えるものの、一部の機能は利用できません。 |
元々、「Clipchamp」には単体で販売されている「Essentialプラン」という有料プランがあるのですが、「Clipchamp」のすべての機能をちゃんと使いたいならこの有料プランを使った方がいいでしょう。
マイクロソフトに買収され、Microsoft365ライセンスのアプリ一覧にも「Clipchamp」が含まれるようになったわけですが、それだけでは「Essentialプラン」のすべての機能を利用できないようになっているんですね。
Microsoft365ライセンスを持っていると利用できるアプリとしてこの「Clipchamp」があるので、つい使ってみたりするのですが、マイクロソフトのライセンスを持っていても「Clipchamp」で利用できる機能はここまでか...という残念な思いになり、「Clipchamp」をちゃんと使おうと思ったらマイクロソフトライセンスの他に「Essentialプラン」にもお金をかけなければだめだな、と言う印象になってしまうのです。
それだったら、他の動画編集ソフトウェアの方がいいかもしれない、、、となるのですが・・
とりあえず、プランによって利用できたりできなくなったりする、気になる機能の一部について確認してみたいと思います。
4Kでのエクスポート
「Clipchampの有料プラン」でないと、制作した動画をエクスポートする際に4Kでの出力ができないようになっています。
これは、Microsoft365の個人・法人アカウントでも4Kでのエクスポートができるのは法人アカウントの上位である「Microsoft365 Business Premium」だけであり、それ以外の「Personal」、「Family」(以上、個人アカウント)・「Business Standard」(以上、法人アカウント)では4Kでのエクスポートはできないのです。
法人アカウントで利用できるアプリの一覧に「Climpchamp」が載っていればすべての機能が使えるかと思ったら、このような機能の制限があったりするのです。
GIFアニメが作成できない
動画編集ソフトと言えば、通常の動画ファイルを出力する以外にGIFアニメの出力にも対応している場合が多いですが、Microsoft365ライセンスの「Clipchamp」では利用できません。
GIFアニメくらいの動画でいい場合やWebサイトに手軽にGIFアニメを載せたい場合、「Clipchamp」ユーザーであればGIFアニメを作成できるツールを別に用意しておく必要があるわけですね。
テンプレートが利用できない
動画編集ソフトには、オープニングや季節的な動画のテンプレートが用意されているものが多いですが、Microsoft365ライセンスの「Clipchamp」ではテンプレートを利用できません。
動画編集に慣れてくるとテンプレートを使う必要もなくなるのですが、これから動画編集を始めようとする方には、「Clipchamp」はあまり向いていないかもしれません。
色の管理が足りない
最低限の「露出」や「コントラスト」、「彩度」などは用意されていますが、色のブレンドが少なかったり、オーバーレイやエフェクトですぐに適用できるカラーの種類も少ないため、カラー調整については物足りなく感じると思います。
同じ有料なら他のアプリを選択すべし
一度、何かしらのソフトウェアで動画編集を行った経験のある人は、「Clipchamp」だと少し物足りなく感じる部分はあるかもしれません。
無料でも動画に透かしが入らないのは救いかもしれませんので、気になる方は無料でまずは試してみた方がいいと思います。
少し慣れている方なら、「PowerDirector」や「Filmora」、「FinalCut」などの有料プランを選択した方がいいかもしれませんし、凝った動画を作るなら「Premire Pro」にお金をかけた方がいいかもしれませんね。