「給料が上がらない」、「会社がケチだからボーナスも出ない」と日々嘆いている会社員のかたは多いかもしれません。
しかし経営者の目線で言えば、所属しているだけでとりあえず「一定の給料」がもらえるというのは「非常に楽な商売だな」とつい皮肉ってしまうわけです。
「会社員」という職業は給料の安定を手にできる一方、国は会社員から税金やら社会保障料などを好きなだけ取っていきます。
税金から取れにくくなると、社会保障費の料率を上げて搾取していき、「給料が上がらない」原因の一つとなっています。
今回は給料面で会社に不満を持っている「会社員」の人に、是非聞いていただきたいお話となります。
それは、会社員の人には見えない部分で「会社(法人)も国から同じように搾取されている」という内容です。
さらに来月(2026年4月)から新たに始まる「子ども・子育て支援金」は、健康保険などと同じく「労使折半」となり、またまた負担が増えます。
ご自分の給料の増減には関係ない部分もあるかもしれませんが、少し今回のお話にお付き合いください。
社会保険料は半分を会社が負担している
これはご存知のかたも多いでしょう。
毎月の給料明細から引かれている「社会保険料」というのは、以下になります。
- 健康保険料
- 厚生年金保険
- 介護保険料
- 雇用保険料
- 労災保険料
健康保険と厚生年金は「労使折半」で、会社員の給料明細に載っている金額とまったく同じ金額を会社も年金事務所に支払っています。
さらに会社員のかたが40歳以上になると、「介護保険料」も支払わなくてはならず、これも「労使折半」になります。
つまり40歳以上の人は「介護保険」の上乗せ分、若い人たちよりは毎月少し支払う金額が多くなります。
健康保険料率というのは、各都道府県で違いがあり、毎年増減があります。
料率が減れば、それだけ支払う社会保険料が若干安くなり、手取りが少し増えたように思えるでしょう。
ただ料率が上がった場合、会社が支払っている給料は同じ額なのに、手取りが減ってしまうのです。
では料率が上がっても、会社員たちの手取りが減らないようにするにはどうするかと言うと・・、「給料の等級内で上げられる分を増やします」。
社会保険料の算定には、月額報酬ごとに「等級」と言うのが決められていて、例えば「総支給が250,000円~270,000円の場合は20等級」のようになっています。
もし月額の総支給が260,000円であれば、20等級で決められた社会保険料や厚生年金保険料を支払うわけです。
対応が優しい会社だと、新年度で保険料率が少し増えた時に、総支給額も少し増やし手取り額が変化しないように調整してくれるところもあるでしょう。
上の例の通り、各等級には幅があります。
例えば260,000円の総支給を260,500円にしたところで等級は20等級のままになります。20等級の保険料率が上がったとしても、給与の支払い分を増やしているので、実質の手取りが変わっていないように見せるのです。
給料が大幅に増えると支払う社会保険料も増えるのは等級が上がるからですね
しかし上のような優しい対応をした会社側にしてみたら、1人の社員に対して500円多く給与を支払わなければなりません。
さらに新年度で保険料率が上がったのであれば、1人の社員に対する社会保険料の「会社負担分」も増えるのです。
仮に保険料率が100円ほど高くなれば、1人の社員の給与と社会保険料の負担分は600円増えます。
そして20人の社員がいたら、全員に同じ対応をすると毎月12,000円多く支払わなければならなくなるのです。
保険料額表はWebで見られる
会社を経営している人の中には、「社会保険料の支払いがきつい」というかたも多いですね。
もし40歳以上の社員が多ければ、「介護保険料」の負担分もあります。
もしあなたが月額の総支給を30万円くらいもらっているとすれば、健康保険と厚生年金で4万円以上は引かれているでしょう。
そしてこの同じ4万円を会社も負担しているのです。
この場合の本当の給与は、34万円なわけですね。
そして社会保険料が本当は8万円引かれていると思ってください。
実際は会社が半分を負担しているから社会保険料がそれほど高く見えないだけです。
あなたが34万円分の働きをしているなら、会社は社会保険料を考慮して、総支給を30万円に設定している可能性が高いでしょう。
そういった諸々を考慮しつつ、会社側はあなたの給料の総支給額を決めているのです。
そう、つまり社会保険料は会社の負担分も増えるため、キャッシュにそれほど余裕のない会社の場合、1人の給料を上げるのも中々難しくなるのです。
雇用保険は職種によって違いもありますが、会社側が多く負担していますし、労災保険は会社が全額負担しています。
会社が1人の社員に掛ける金額は、あなたが給与明細で見る数字以上に相当なものなのです。
子ども・子育て拠出金
さてこれはおそらく会社員のかたであれば、全く身に覚えのないものになるでしょう。
これは会社だけが社会保険料と一緒に負担している子供支援の一環となり、どの会社も必ず支払うものになります。
会社が子供をとても大事にしているとか、働いている社員に子供のいる人が多いとか、そういうのは全く関係ありません。
会社が社員に支払っている給料に一定の料率を掛けて、人数分足して計算します。
つまり社員数が多く、1人1人の給与額が高いと、それだけ「子ども・子育て拠出金」を支払う金額が高くなります。
先に書いた通り、これは計算した額を「会社側だけ」が毎月支払うものです。
そのため会社員には意識のない(見えない)会社の費用であり、もしこの支払い分が会社内部に回れば、社員の給与やボーナスの足しになってくれるはずです。
子供をお持ちの社員のかたであれば、まだ納得できる制度かもしれませんけどね。
ちなみに徴収しているのは「各都道府県の健康保険組合」ですが、制度の運営は「こども家庭庁」になります。
子ども・子育て支援金
さてこれが来月(2026年4月)から始まる新しい「保険料」になり、政府は「新しい財源確保」とうたっています。
そしてこれは・・・「労使折半」です。
支払額は微々たるものかもしれません。
令和8年(2026年)度の北海道においては、総支給額の「およそ0.23%」となり月額300,000円もらっている人であれば、自分の負担額は345円ほどです。
各都道府県で多少違いがあります
会社側もこの345円の負担が増え、社員20人の会社で皆同じ給料体系であれば、単純に毎月7,000円近い負担が増えてしまいます。
もちろん会社員側の負担も考えれば、当然倍の毎月14,000円の負担増となってくるわけです。
そしてこの「子ども・子育て支援金」は、来年、再来年と段階的に料率が上がっていくと発表されています。
急激に負担を増やさないためであり、再来年の料率からは上がらないという話ですが、どうなるかは分かりませんね。
ちなみにこの「子ども・子育て支援金」にも等級があり、月額の総支給額が高い人ほど多くの金額を支払うようになっています。
(まとめ)会社も苦しい
たったこれだけを見ても、会社員のかたの給料が増えないのは会社だけが悪いのではないのだな、と思いませんか?
好きなように色々と新しい搾取の仕方を出してくる国のやり方にも問題があるのです。
皆さんには税金を管理しやすい会社員のままでいてもらうために、国は会社側にも負担を強いて、それほど皆さんの給料から差っ引いていると感じさせないようにしている節もあるのです。
40歳以上になると支払わなければならない「介護保険」を思い出しましょう。
40歳になったばかりの人であれば、本人も身内も介護を必要としていない人はたくさんいると思いますが、強制的に「介護保険料」を徴収されます。
同じように、若い人で子供がいようがいまいが、関係なく強制的に徴収されるのが「子ども・子育て支援金」となるわけです。
「給料が上がらない」と悩んでいる人は、給与所得だけが正解なのかどうかをもう一度じっくり考えてみましょう。
税務対策というのは、法律が頻繁に変わり分かりづらいですけど、学んでおいて損はないと思いますね。

