手数料が安いネット証券会社を探して、証券口座も無事開設し
『よっしゃぁ!投資信託(ファンド)や株を買って資産運用を始めるぞっ!』
と、高らかに宣言したあなたに一つお伝えしておかなければなりません。
ファンドは、証券会社でなくても購入できるんです。
『へっ・・?』
となったかもしれませんが、今回はそんな「証券会社にはないファンドを購入する方法」や「それに絡んだNISA口座について」などを見ていきたいと思います。
ファンドの運用を行う運用会社(委託会社)
ファンドを購入してから保有している間、そのファンドの運用成績は、「運用会社(委託会社)」に委ねられます。
「楽天証券」の「投信スーパーサーチ」を使って、「運用会社」で検索したらどのようなファンドがあるかを確認してみましょう。
「詳しい条件」を開く(上の画面は開いた後)と、「運用(委託)会社」という項目があります。
「条件を追加・変更する」をクリックします。
このように、「投信スーパーサーチ」ではファンドの成績や特長以外だと、唯一「運用会社」で検索できるようになっています。
ちなみに、「楽天証券」で取り扱いの多い順で本数が3桁ある運用会社は以下のようになります。
運用会社名 | 取り扱い本数 |
---|---|
三菱UFJ国際投信 | 374本 |
アセットマネジメントOne | 241本 |
三井住友DSアセットマネジメント | 221本 |
日興アセットマネジメント | 184本 |
大和アセットマネジメント | 166本 |
三井住友トラスト・アセットマネジメント | 137本 |
野村アセットマネジメント | 136本 |
1番本数の多い「三菱UFJ国際投信」は、「eMAXISシリーズ」の運用会社として有名ですね。
2015年に三菱UFJフィナンシャルグループ内の「三菱UFJ投信」と「国際投信」の合併で誕生した「投信専業会社」のため、元々のファンド取扱い本数が多くなっています。
2番目に本数の多い「アセットマネジメントOne」は、2016年に旧日本興業銀行系列の「DIAMアセットマネジメント」が同じみずほグループ内の「新光投信」と「みずほ投信」と合併して誕生した「資産運用会社」となります。
年金の受託運用も行っていますよね。
3番目に本数の多い「三井住友DSアセットマネジメント」は、三井住友フィナンシャルグループ傘下の「資産運用会社」になります。
ちなみに、6番目に本数の多い「三井住友トラスト・アセットマネジメント」は同じく「三井住友」と入っていますが、こちらは三井住友トラスト・ホールディングスの傘下になり、資本上は別会社になります。
ここの傘下には、「三井住友信託銀行」も入っています。
さて、ファンドを購入する際に、発生する費用として「信託報酬」があります。
これは、販売会社と運用会社、管理会社3社に対して支払われる(実際は基準価額で調整される)ものですが、運用会社と管理会社が同じ系列だと手数料率が比較的安くなったりします。
この場合で言えば、運用会社が「三井住友トラスト・アセットマネジメント」で管理会社が「三井住友信託銀行」であれば、同じ系列になります。
同じ対象(株式や債券など)や同じ地域(国内・国外など)に投資するファンド同士を比較した時に、同じ系列会社で運用・管理を担当している方が、もしかすると手数料率が安くなっている可能性もあります。
「三井住友トラスト・アセットマネジメント」とは別会社、つまりライバルとなる「三井住友DSアセットマネジメント」が運用しているファンドの管理会社も「三井住友信託銀行」になっている点はちょっと面白いですね。
銀行では「3大メガバンク」と呼ばれる「三菱UFJ」、「みずほ」、「三井住友」は、資産運用においてもやはり規模が大きいわけですね。
運用会社は独自にファンドを販売している
前置きが長くなりましたが、実は証券会社のような「販売会社」だけでなく、「運用会社」が独自にファンドを販売しているケースがあります。
今回は、上記の7社の内、2社で行っている独自の直販サイトをご紹介していきましょう。
三菱UFJ国際投信
「楽天証券」で取扱い本数1位の「三菱UFJ国際投信」は、「mattoco(マットコ)」という自前のサービスで投資信託の販売を行っています。
「三菱UFJ国際投信」と言えば、何と言っても「eMaxis」シリーズ、中でも「eMaxis Slim」シリーズがファンド全体を見ても群を抜いて人気があります。
証券会社から購入せずとも、「mattoco」からでもこれらの一部のファンド(インデックスのみ)を購入できるようになっています。
手数料率は
運用会社から直接購入すると、販売会社(証券会社)を通すより手数料が安くなるかも・・・
と考えがちですが、「eMaxis」シリーズは元々手数料率が安いので、運用会社の直販でも変わりません。
販売元が、証券会社か運用会社かの違いだけで、中身が全く同じなのであれば『「mattoco」にアカウントを作る必要はないのでは・・』と思った方もいるでしょう。
実は、運用会社の直販サイトでは、ここでしか購入できない限定ファンドが用意されている場合があるのです。
mattocoの限定ファンド
- これぞ、日本株
- 百戦錬磨の名人ファンド(以下、百戦錬磨)
「mattoco」では、この2つのファンドが直販サイト限定で購入できます。
「これぞ、日本株」はオーソドックスな国内株式へのファンドとなります。
マザーファンドを使わず、このファンド自身が株式の購入・売却を直接行って運用します。
ファンド名に「句点」が入っているのが結構珍しかったりしますね。
「百戦錬磨」は、「絶対収益追求型」という「アクティブファンド」になります。
国内株式に特化していますが、「現物取引の買い建て」と「信用取引の売り建て」を同額で行う運用(マーケット・ニュートラル運用)方式を取っています。
なお、信託報酬の計算に他ではあまり見ない特長があって、「基準価額」がこれまでの最高値を超えた場合だけ、史上最高値との差額の15%(税別)が信託報酬(成果報酬分)となります。
基準価額が史上最高値を超えなければ、信託報酬の内成果報酬は0円となり、基本報酬のみとなります。
参考基本報酬は、「(純資産総額×0.04%(税別))/年」の内で自分が持っている口数分
「mattoco」の限定ファンドでもあるので、中々資金が集まりにくい側面もあり、基準価額はしばらく最高値を超えない位置で推移していますね。
三井住友DSアセットマネジメント
「楽天証券」で取扱い本数3位の「三井住友DSアセットマネジメント」は、「三井住友DS投信直販ネット」(以降、投信直販ネット)を運営しています。
「投信直販ネット」も限定ファンドが1つだけ販売されています。
投信直販ネットの限定ファンド
- アクティブ元年・日本株ファンド
日本株のみのアクティブファンドになりますが、3年半ほど運用されている成績を見ると非常に優秀ですね。
分配金の排出もないですし、基準価額の上昇と共に、純資産額も順調に増えていますね。
3年間の「騰落率」では70%を超えていますし、参考のインデックスと比較しても1.8倍も上回っています。
投資に絶対はないですが、今後の運用も非常に期待できそうなファンドの一つと言えそうです。
「投信直販ネット」限定のファンドですから、ファンドマネージャー達も一般販売しているファンド以上に力が入っているのかもしれませんね。
独自ファンドを利用するデメリット
運用会社の直販サイトを投資家が利用するメリットの一つに「限定ファンドの購入」や「運用面における様々な付加価値」を挙げてきました。
では、デメリットを挙げるとしたらどのようなものがあるでしょうか。
- NISA口座に株やETF、リートなどファンド以外が使えない
- 購入できるファンドが1社限定となる
- 選択できるファンド数が少ない
それでは、順番に見ていきましょう。
NISA口座はファンド1択
ファンド直販で一番大きなデメリットは、「NISA口座の使い方」ではないでしょうか。
メインで使っている証券口座で「NISA」を使っている場合、他の金融機関で重複して「NISA」を設定できません。
つまり、株式やETF、リートなどを取り扱っていない運用会社の直販サイトで仮に「NISA」を設定したとすると、必然的に運用は「ファンド1択」となります。
そうなると、さらに以下2つのデメリットが浮上してきます。
購入できるファンドが1社限定
証券会社などの「販売会社」で購入するファンドは、自分が投資したい対象へたくさんの運用会社から選択できます。
しかし、運用会社の直販になると、その運用会社が扱っている銘柄のみになります。
運用会社それぞれで運用哲学やプロセスなどが違うので、「日本株への投資」や「先進国への投資」など同じ投資対象であっても、1社の運用会社だと偏った運用方法になる懸念はあるでしょう。
もちろん、メインの証券会社などに「NISA」を残したまま、限定ファンドだけを直販サイトで購入するという選択もできます。
この場合、限定ファンドからの収益には通常の税金が発生します。
選択できるファンド数
運用会社の直販サイトは、取扱い数が少ない上に、証券会社に出しているファンドと手数料率も含めて同じものが多いです。
同じファンドであれば、「NISA」を設定しているメインの証券会社で購入した方がメリットがあると思います。
やはり、直販サイトは「限定ファンドだけを購入する」という利用方法に落ち着いてしまうかもしれませんね。
まとめ今回のお話がヒットする方は・・
運用会社の直販サイトは、独自目線での情報もたくさん載っていますから情報収集の1つとして利用できるでしょう。
以下のような方は、直販サイトを利用してみてください。
- 証券会社はあれこれいっぱいあってよく分からない
- 株は手が出しづらいのでファンドだけで運用したい
- 特定の運用会社のファンである
直販サイトを運営していない運用会社もありますので、今回お伝えしたように運用会社名から検索して探してみてください。
運用会社単位でも特色を探してみると色々な発見があって面白いかもしれませんよ。