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フリートーク

どんな時でも「アンコンシャス・バイアス」にかからないように意識しておく

2026年1月30日

先日、道路の工事現場のそばを徒歩で通っていたら、同じくその近辺を歩いていた母親と小学校低学年くらいの親子の会話が聞こえてきました。

「ねぇ、お母さん見て見て。あの人、女の人だぁ。」

「あら、ほんとねぇ。寒いのに大変そうねぇ。」

よくよく見てみると、その工事現場付近の車道で交通整理を担当している人が、女性のかただったのです。

筆者やこの親子から見て、少し離れた逆側で交通整理をしていたのは男性のようで、この子供は「こっちだけ女の人なんだね。なんで男の人がしないんだろうね?」と母親に話していました。

たまに女性のかたが誘導している姿を見かける場合もありますよね。でもこの子供は、もしかしたら交通整理をしている女性を初めて見たのかもしれません。

「工事現場の交通整理は男性がするもんだ」という常識が覆された、というそんな顔をしていました。

よっぽどの衝撃だったのでしょう(笑)

歩きながらもずっと交通整理をしていた女性を目で追っていて、母親から「ほら、ちゃんと歩く!」と手を引っ張られていました。

この子供は、無意識の内に「工事現場の交通整理は男性だけの仕事だ。」と思ってこれまで過ごしてきたのでしょう。

これまでに見てきたサンプルも少ないでしょうし、長い人生はまだまだこれからですから、他にも色々な物を見ていく内に「男性しかできない仕事なんてほとんど存在しない」と気が付いていくと思います。

こういった「無意識の内に思い込んでいる」というのは、実は子供だけでなく大人にもあるものです。

「アンコンシャス・バイアス」と呼ばれるものですね。

よくある例を2つほど出してみましょうか。

近所の家に住むニート

割と最近、近所に越してきた老夫婦はどちらも上品な感じで愛想が良く、道端で会えば笑顔で挨拶をしてくれました。

ところが、だんだんとこの一家の闇が分かってきたのです。それは・・・。

夜な夜なこの家の2階から、叫び声やドスンドスンという大きな物音が聞こえてくるようになったからでした。

たちまち近所でもこの話題で持ちきりとなりましたが、日中は相変わらず老夫婦はいつもにこやかだったそうです。

ただ、ほとんど毎晩と言っていいほどこの老夫婦の家からは大きな声や物音が聞こえていて、近所では「どうやら息子らしい男の人が暴れているようだ」と噂になっていたのです。

ある日の晩、警察や救急車がこの老夫婦の家の前に集まってきて、物々しい雰囲気となりました。

ご夫婦の奥さんの方が、額から血を流して救急車に乗り込んでいきました。

続いて一人の若い男性が、警察官らしき2人の人物に挟まれながらパトカーに乗せられていきます。

見た目もひどく、髪はぼさぼさで無精ひげ、よれよれのシャツにシミがたくさんついたズボンを履いていました。

この若い男性は老夫婦の一人息子だったようで、どうやら家庭内では息子による両親への暴力が絶え間なかったと言います。

近所の人たちの噂話はさらに加速します。

「なんであんないいご夫婦の息子さんが、ニートみたいな生活をしているのかねぇ」

「あのご夫婦のお子さんだったら、もっとしっかりした青年になってもいいのにねぇ」

「案外育ちが良すぎて、子供は荒れたのかもよ」

「一日中家にこもってゲームばっかりしていたらしいわよ。社会人になってから1度も働いていないんだって」

後日、ケガの治療を終えて頭に包帯を巻いた奥さんと旦那さんが、夫婦共々「お騒がせしました」と近所の家を1軒1軒歩いて謝罪に回りました。

最後に謝罪へお伺いしたお宅は、噂好きで有名な家でした。

その家を訪問すると、このお宅の奥さんは厭味ったらしく「あんな息子さんだと大変ですねぇ。」とニヤリとします。

「うちの子は来年、東大受験が控えていますから。今後はあまり騒ぎを大きくしないでくださいね。」と言い放つのでした。

それを聞いた老夫婦は気の毒そうな顔をしてこう言いました。

「あら~。それでは東大に入った後にお気を付けください。うちはケンブリッジ大学を卒業するあたりからだんだんと調子がおかしくなったものですから。」

父親が2人

ある日、いつも仕事に忙しかった金持ちの男は、「たまには父親らしくしよう」と自分の息子をドライブへと誘います。

ところが高級外車で楽しくドライブをしていた矢先、不運にもこの父親の運転する車が交通事故を起こしてしまったのです。

事故現場は騒然としていました。

頑丈そうな車はひっくり返って大破し、炎が上がっています。

到着したレスキュー隊の間では、大人1人と子供1人が確認できたのですが、「大人の方はもうダメだろう」というほど、この父親の体の損傷はひどかったようです。

助手席に乗っていたと思われる子供は、衝突のタイミングで運よく車外に投げ出されたせいか、重体で意識はないもののかろうじて息をしていました。

息子はすぐに病院に運ばれていきます。

病院は日本でも有名な大学の付属病院でした。

集中治療室で緊急手術が行われるため、各科のエキスパートが揃う医療チームが結成されました。

外科を担当する医師は、血まみれになって運ばれてきた少年を見てこう言いました。

「息子は私が絶対に助ける。」

思い込みは危険

さて最初のお話、まずケンブリッジ大学の名誉のためにも言っておきましょうか。

これはあくまでも即興の作り話です。

ケンブリッジ大学に通っていた人がニートになったわけではないので、誤解のないようにお願いします。

どうでしたか。

「うわっ、家庭内暴力だ」

「髪ぼさぼさのニート」

「無精ひげ」

「働かずゲーム三昧」

という話を読んだだけで、勝手に高校生あたりから引きこもっていたイメージを持ちませんでしたか?

まさか大学を卒業していた、しかも世界の一流大学を卒業していた、とは思わなかったかもしれませんね。

「無意識の思い込み」と言うテーマだから「ニートだけど実は頭のいい大学に通っていた」とかそういう話だろう、と何となく読んでいた人もいるかもしれません。

でもせいぜい東大とか京大とか日本の大学だけ想像できたとしても、実は世界の大学ランキングでも3本の指に入る「ケンブリッジ大学」を卒業していたニートだった、という想像はしにくかったのではないでしょうか。

結局「今がニートなんだから、当然いい大学になんか通っていたわけがない」というのが正しくないわけです。

噂話を聞いただけでそう思ったのであれば、それは「アンコンシャス・バイアス」にかかっているわけですね。

お次はちょっと意味が分からなかった人もいるかもしれません。

「あれっ、確か”息子を誘って”ドライブに行ったから間違いなく親子で、でも大人の方は死んだのではなかったのか・・?」と。

「医者もお父さん?」

「あっ、このドライブした方は母親の再婚相手の新しいお父さんか!」

・・・・・と思いましたか?

実はこの医療チームの外科を担当する医師は女性、つまり運ばれて来た少年の「お母さん」です。

有名な大学附属病院、専門の医療チーム、外科を担当する医師、これらが並ぶだけで「医師が男性」だと思った場合は、「アンコンシャス・バイアス」にかかっています。

つまり世の中の常識と言われている範疇で物事を見てしまうと、「自分がそう思い込んでいただけだった」というのは結構あるものなのです。

無意識に思い込まないと意識する

今回の2つの例を見て、思わず「無意識にそう思いこんでいたなぁ」と感じたのであれば、対処方法は「そう思い込まないように意識する」しかありません。

長時間働いている人が必ずしも「やる気のある優秀な人ではない」わけですし、ITの開発チームに60代の再雇用の人が加わって怪訝に思ったとしても「年寄りが最先端機器に弱い」わけでもないのです。

「今、自分で勝手に決めつけて物事を考えていたな」と常に意識してみると、新しいアイデアが浮かんだり思わぬ可能性を探り当てたりできるかもしれませんね。

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