最近、人気の海外ドラマを日本版にアレンジしたドラマが多いじゃないですか。
例えば、「SUITS(スーツ)」。
2011年にシーズン1が放送されると、たちまち大ヒットとなりましたね。
敏腕弁護士がとある秘密を抱えた相棒と数々の事件を解決していくのですが、ニューヨークの大都会を舞台に、人間ドラマもユーモラスに描かれています。
法律事務所内がまったく堅苦しい世界に見えず、華やかさやドレスアップ感を演出しています。
あのヘンリー王子のお妃であるメーガン・マークルが、シリーズ放送中に婚約を発表した点も話題となりました。
日本版では、主演のガブリエル・マクトの役を織田裕二が、天才的な頭脳を持つパトリック・J・アダムスの役を中島裕翔が演じています。
そして、ここに来て俄然話題となっっているのが、あの「24」ですね。
もう20年も前になるんですねぇ~。2001年にシーズン1が放送されたのは。
”事件はリアルタイムで起きている”
というように、1話の1時間が、実際の1時間に起きたリアルタイムサスペンスであり、全24話が一日に起きた出来事となります。
長らく低迷していたキーファー・サザーランドがこのドラマで華々しく復活し、日本での海外ドラマ放送の火付け役となったドラマでもありました。
日本版が先日始まったばかりで、主演は唐沢寿明が演じています。
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さて、まず主観として・・基本的に、海外で成功した作品を輸入したもので面白いと思ったものってほとんどないんですよ。
これ、逆も然りで、日本で人気のある作品を海外でリメイクされたものも同様に、何か違和感を感じざるを得ない。
例えば、今ぱっと思いついたのが日本映画の
「ハチ公物語」
まぁ、日本で長く暮らしていれば、ハチ公と言われれば、『あ?、渋谷駅でご主人が亡くなった後も待ち続けた秋田犬の・・・』と、なんとなく分かるでしょう。
このハチのお話は実話でしたから、やはり海外でも胸を打たれる人が多かったのでしょう。
アメリカでは、リチャード・ギアが主演して「HACHI 約束の犬」というタイトルでリメイクされました。
これ、話の大筋はそのままに時代が現代のアメリカでの出来事として描かれていますよね。
アメリカで秋田犬が捨てられていて、そのままその秋田犬を家に連れてきて飼ってしまう、というのがまず現代のアメリカの風景と合わない。
レトリバーでもビーグルでも、ボストンテリアでもボクサー犬でも良かったと思うんですが、日本のハチ公と同じ秋田犬・・。
秋田犬がアメリカの鉄道駅でリチャード・ギアを待つ姿って、やっぱりちょっと違和感があるんですよ。
まぁ、リメイク作品ではないですけど、違和感と言えば、映画「ラストサムライ」やドラマの「HEROS」の日本の描写も”なんか違う”感じがしますね。
あ、誤解しないで頂きたいんですけど、この「HACHI」は、思っていたより面白かったと思ってます。
最後はやっぱりハチが駅で亡くなるんで、そりゃぁ切ないですけど。
ハチ公のような犬は、どの国にだって存在しうるじゃないですか。
だから、アメリカ版でも見られたんでしょうけれどね。
でも、オリジナルである忠犬ハチ公を知っているなら、やっぱりハチは、「今日も渋谷で5時♪」なんですよ。
ハチの周りを家路に急ぐ着物を着た人達が通り過ぎて、ハチはその中からご主人の姿を見つける。
戦前の日本でまだ貧しい頃を時代背景として、お腹が空いているかもしれない、雨が冷たいのかもしれないのに、健気にもずっとご主人さまの帰りを待っている。
そういったところに、ある種、人間と等身大に見える日本犬の愛おしさを見てしまうんですよね。
というわけで、人気映画やドラマのリメイク作品ってまったく期待しないんですけど、リメイク作品も時には”すーっと”見入ってしまうものもあるんです。
それは、どういった場合かと言うと・・。
オリジナル作品を見ていないリメイク作品です。
当たり前なのですが、オリジナル作品を見ていなければ、リメイクされた作品はまっさらな状態で新鮮に見られるので、”リメイクしたったぞ!”と言われても自分としてはオリジナルなので面白く見られる、というだけの話しです。
そういった意味で明暗が分かれたのが、冒頭に挙げた2つの作品。
「SUITS」と「24」です。
実は、「SUITS」は、アメリカ版のドラマを全く見ていません。
”さっき、ドラマの内容を少し書いとったやないかい!出演者も分かってるやないか!”
と思われた方、あれはウィキを自分なりに簡単にまとめただけでございます。
そう、自分にとっての「SUITS」の敏腕弁護士は織田裕二なわけです。
そうすると、あら不思議。
世の酷評などどこ吹く風の又三郎ですよ。
はっきり言って「SUITS」(現在シーズン2)は面白いですよ。
同じ時期に、東京のとある銀行員が1,000倍返しとかやってたので、影が薄くなってしまっている感がありますが、全然面白い。
掛け合いもあり、恋愛模様もあり、内紛もあり、都会のオシャレ感漂うドラマで悪くありません。
さて、お察しの通り「24」はその逆。
オリジナル版をすべて見て、そのスケールとストーリー展開と出演者たちの魅力にどっぷりと浸かってしまっている作品だったので、”リメイク??本気???”という思いでした。
すると、どうでしょう。
日本版の「24Japan」は、まだ1話が終わっただけですが、”やっぱり残念!”という言葉しか見つかりませんでしたね。
舞台がロサンゼルスだと、街が広く感じられたのに、東京都内はなんだか狭い感じがするんですよね。
そして、CTU(テロ対策ユニット)東京支部の内部を見て愕然・・・。
えっ、何だ?この安っぽいセットのような作りは。
キーファー演じるジャックバウアーが長く所属していた「CTUロス支局」は、セットとは思えない本物の政府設備のような広い建物内部が、本物の政府組織が活動しているようなスケールを醸し出していたんですが。。。
どう見ても、日本版はテロを対策する組織の部屋に見えなかったんですよ。
これも、つまり違和感なんです。
アメリカは、陸続きで隣に他国があって、犯罪者や麻薬などが入りやすく、人種の違いや宗教の違いなどが当たり前で、そういった違いや差別などから生まれる不満が、やがてテロという行為となる。
それがどこでどう唸りを上げているか分からない。
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だから、本当にアメリカ政府に「CTU」という組織がありそう(実際は架空の組織です)で、日々発生する不満分子を対策していそうな気がしますよね。
なので、それをそのまま日本版としてリメイクしてしまうと、日本ではほぼ起こらない人種間の争いや肌の色での差別、宗教対立などを対策する組織を描くと違和感が生じるんです。
だって、毎日テロと向き合っているはずの唐沢は優しそうでしょう(ちなみに、唐沢寿明は好きな俳優の一人です)。
オリジナル版を見てきた方ならお分かりだと思いますが、ジャックバウアーというのは、常に残酷で非情な判断をしなければならない立場に立たされて、絶対的な強さと合わせてそういった辛さや悲しさを背負っていましたよね。
強さと背中合わせの哀愁を垣間見せたりして、それがまた人間臭くて良かったんです。
作戦のために仲間を撃って涙を流したり・・。
日本版のジャックバウアーは、銃を常に携帯しているだけの「普通の刑事」に見えてしまうんですよ。
メイソンの日本版として登場した佐野史郎を麻酔銃で眠らせるのも、緊迫感や凶暴性を全く感じない。
ちなみに、佐野史郎もメイソンのような怪しい雰囲気が全くなく、その辺の公務員の上司が打合せにやって来た、という感じにしか見えませんでした。
かと思ったら、テロ組織メンバーの飛行機の脱出もそのままリメイクするから、日本人から見ると、「なんだかここだけ異国のハイジャック映画?」のような印象を持つ。
オリジナル版で飛行機から脱出したマンデイは、ただただ美しいのですが、蓋を開けて悪い方面の人だと分かると、確かに悪人に見えてくる妖艶さがありましたが、さすがにそこまで求めるのは酷でしょう。
オリジナル版で最初の一時間を見た時に、次から次へと発生する事件とスピーディーな展開に続きが気になってしょうがない、という衝動に駆られ、長時間を一気見してしまった経験もあるぐらい、オリジナル版は完成された作品でした。
リメイクするにあたっての契約の縛りなどがあるのかもしれませんが、むしろ忠実にオリジナル版の話しに沿えば沿うほど、違和感が浮き彫りとなる気がして、そういう意味で続きが気になるので、全話見るつもりです。
つまり、逆に言えばオリジナル版を見ていない方は、「24Japan」は楽しめるかもしれません。
しかし、「24Japan」が終わったら(終わる前でも)、「24」はオリジナル版の視聴をお勧めします。
皆さんはどうですか。
「SUITS」のオリジナル版を見ている方は、日本版は見るに耐えないらしいですしね。
なんとも、面白いものです。